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文:Sean Michael Kerner

OCP、チップレットとイーサネットの取り組みを拡大=データセンター、AI向け

OCP、チップレットとイーサネットの取り組みを拡大=データセンター、AI向け

Open Compute Project (OCP)は、データセンターに対する仕様のオープン化の促進という中核的な使命を進める非営利組織だ。このほど開催したOCP Summitでは数多くの発表をしている。

今回の発表の中には、チップレット技術をデータセンターの主流にするための半導体技術協会JEDEC(英: JEDEC Solid State Technology Association)との提携についても含まれている。OCPはまた、データセンターのハードウェアのセキュリティにも取り組んでいる。OCPの発表の最後を飾るのは、AI(人工知能)ワークロードの需要増加に対応したネットワーキングの改善を支援する、Linux Foundation傘下で発足した団体Ultra Ethernet Consortium(UEC)との提携である。

OCPはいかにしてチップレットの採用を促進するのか

チップレットとは、現在一般的に使用されているSoC(System-on-a-Chip)よりも小さなチップユニットを構築するという、チップ設計における新たなアプローチである。

JEDECとOCPの提携は、チップレットのような新しいデバイス・コンポーネントの世界標準を確立し、バラバラに重複した取り組みが行われるのを防ぐことを目的としている。そのためOCPは、チップレットの記述仕様を標準化、CDXML(Chiplet Data Extensible Markup Language)をリリースした。これにより、チップレットメーカーが顧客に情報を電子的に提供できるようになる。CDXMLはJEDEC JEP30規格に統合される予定である。

CDXMLは、熱、物理、動作、電力、電気、テスト、セキュリティ等の情報を含むチップレットの標準的な記述を提供するもので、これにより、SiP(Systemin-Package)設計ワークフローの自動化と、複数のチップレットを積層型3次元IC(3D IC)に統合することが可能になる。

Image source: Open Compute Project.

 

OCPの最高イノベーション責任者(CIO)であるCliff Grossner氏は、報道陣やアナリストとの説明会の中で、OCPはJEDECやその他の標準化団体と共同で、チップレット製造の改善に必要な部品記述やその他の要素を定義するための新たな取り組みを行っていると述べた。

OCP、UECとの提携でイーサネットのAIニーズを取り込む

Ultra Ethernet Consortium(UEC)は、AI向けにイーサネットを改善するために2023年7月に設立された。

OCPとUECは、AIおよびハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ワークロードに最適化された次世代データセンター機器で協業する新たな提携を発表した。この提携は、特殊なワークロード向けにイーサネットを最新化するUECの専門知識と、フルシステム・ソリューションや新技術の仕様策定におけるOCPの経験を結集するものである。

提携の目標には、AIやHPCワークロード向けに、規模、帯域幅、マルチパス、輻輳といった課題に対処するためのイーサネット性能の向上が含まれる。この提携により、UECが推進するイーサネットの機能強化を、OCPがマルチベンダーのサプライチェーンを通じて提供できる完全なシステムに、迅速に統合することが可能になる。

「我々は非常に長い間、持続可能な大規模コンピューターのインフラ構築に取り組んできました」と、氏は言う。「AI向けにこれを微調整することは、私たちが行っていることの非常に自然な延長線上にあります」

UECの取り組みは、OCPがすでに行っている、光ネットワーキングと大容量のメモリプールを使用した特定計算による大規模AIクラスタの構築を補完するものだと述べた。

OCPはデータセンターのファームウェア・セキュリティを「S.A.F.E.」にすることを目指す

OCPは、データセンターのハードウェアとファームウェアのセキュリティを改善するため、「S.A.F.E.」(Security Appraisal Framework and Enablement)と呼ばれる新しいセキュリティ・プログラムも発表した。

このプログラムは、オープンソースかつ標準化された監査チェックリストと、デバイスのファームウェアをレビューする第三者監査人を選ぶための基準を提供する。デバイスベンダーは、OCPが承認した監査人(通称セキュリティレビュープロバイダー)に、チェックリストを使ったファームウェアの監査を依頼することができる。この取り組みの目標は、ファームウェアのアップデートに関して顧客に保証を提供する一方で、デバイスのセキュリティレビューに関するコストと冗長性を削減することである。

「これはOCPにとって新たな展開であり、まさに新しい取り組みです」と、OCPの新興市場担当バイスプレジデントであるSteve Helvie氏は説明会の中で述べた。「当社は、必ずしもセキュリティ監査会社になることなく、セキュリティ・コンプライアンスを中心としたサービスを構築する方法を長い間模索してきました。このプログラムは、データセンター内のハードウェアとファームウェアのセキュリティに対応するための良いスタートだと考えています」

Open Compute Project expands chiplet and Ethernet efforts for data centers, AI

Sean Michael Kerner
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