オラクル、日本でのクラウド事業拡大に80億ドルを投資
オラクルが18日、日本でのクラウドコンピューティング事業の拡大に今後10年間で80億ドル超を投資する計画を発表した。これにより、世界のどこでも、各地域内でAIおよび100余りのクラウドサービスを提供できる、唯一のハイパースケール・クラウドプロバイダーになるとしている。
計画では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の日本国内における事業を拡大するとともに、日本で活動している顧客やパートナー企業向けにデジタル主権要件への対応を支援する。中でも、データセンター運用チームとサポートエンジニアリングチームを国内の人材によって拡大する計画だ。
東京と大阪にあるパブリッククラウドのリージョンの国内カスタマーサポートと、ソブリンクラウドサービスの「Oracle Alloy」「OCI Dedicated Region」の国内運用チームの拡大を目指す。
ミッションクリティカルなワークロードのOCI移行
これによって、日本でもさらに多くの官民事業がミッションクリティカルなワークロードをOracle Cloudに移行し、オラクルのソブリンAIソリューションを活用できるようになる。オラクルのソブリンクラウドやAIサービスは、顧客がガバナンス、コンプライアンス、セキュリティのポリシーを遵守できるように、国境の内側や、顧客の敷地内から提供することが可能だ。
日本オラクルの三澤智光取締役執行役社長は、次のように述べている。「私たちは、日本のお客様やパートナー企業のためのクラウドを提供する取り組みに注力しています。日本におけるクラウドの事業を拡大し、国内のソブリン要件対応をサポートするチームを強化します。お客様やパートナー企業が、規制や主権に関する要件に対応しながら、AIやクラウドサービスの活用によるイノベーションの機会を提供します」
統計データを提供するドイツのStatistaの調査レポートによると、2023年第4四半期、世界のデータセンター容量に占める中国を除いたアジア太平洋地域の割合は、ちょうど10%だった。2022年の日本のクラウドサービス市場を見ると、オラクルのシェアは5%、Google Cloudが5%、IBM CloudとSalesforceがそれぞれ4%となっている。マーケットリーダーのAmazon Web Services(AWS)が26%、2位のMicrosoft Azureが14%を占めた。
生成AIの利用に当たってデジタル主権の確保が必要な理由
米調査会社ガートナーの予測では、生成AIを導入している企業・団体のうち、どのパブリッククラウドを選択するかの意思決定でデジタル主権に関する要素を考慮するケースが2027年までに3分の2を超えるとされている。競合に遅れまいとするクラウドサービス事業者にとっては重要な問題だ。
たとえば、エンタープライズ環境に生成AIを実装するとなると、LLMや、LLMを利用したアプリケーションに内在するデータの規制に関して、多くの課題が出てくるとある。
このため、専門のクラウド事業者が提供地域を拡大し、生成AIのユースケースに対応すれば、ほとんどの企業が利用を検討するようになるとガートナーは予測している。
「デジタル主権に関しては、ソブリン運用の要件が特有かつ発展し続けているものであることから、これに対応できるクラウド事業者を利用する必要性が高まっていくでしょう。これはどこの地域でも同じです」。ガートナーのバイスプレジデント・アナリスト、Sid Nag(シド・ナグ)氏が述べている。
SDxCentralのレポーター。データセンターのテクノロジーとビジネス ケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブ エコシステムを担当。エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
連絡先:echervek@sdxcentral.com
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