セキュリティ
文:Jessica Lyons Hardcastle

米Orca Security社、米Palo Alto Networks社と戦うべく2億1000万ドルを調達

米Orca Security社、米Palo Alto Networks社と戦うべく2億1000万ドルを調達

クラウドセキュリティのスタートアップ企業である米Orca Securityは23日、12億ドルの評価額で2億1000万ドルのシリーズCラウンドを調達したことを発表した。サイバーセキュリティのシードからユニコーンへと2年間で大きく成長している。同社はこの2年間を「実際に機能する」包括的なクラウドセキュリティプラットフォームを構築・販売することに費やしてきた。今回得た資金を会社の規模拡大に活用し、Palo Alto Networks社から顧客を奪う計画だ。

今回のラウンドをリードしたのはAlphabet傘下の独立系グロースファンドであるCapitalG社とRedpoint Ventures社で、Orca Security社の調達総額は3億ドル近くになった。同社は2020年には前年比1,000%以上の成長を達成している。CEOのAvi Shua氏は、Orca社のプラットフォームを使用していると公言する企業が「数十社」あることを誇らしげに語る。これは創業2年のセキュリティスタートアップ企業としては異例のことで、そうした顧客企業の多くは「Palo Alto社のロゴスからOrca社のロゴスに乗り換えた」企業だという。

Ocra社の顧客リストにはAkamai社、Robinhood社、Databricks社、Unity社、Live Oak銀行、Lemonade社、BeyondTrust社(いずれも米)などがある。

 

Orca Security社とPalo Alto Networks社

「この市場で勝つためには、最高の製品を作ることだけが大事なのではありません」とShua氏は言う。「Palo Altoに対抗するためには、より多くの機会を得るために、より多くの地域に出向いて活動する、非常に大きなチームが必要です。戦略面から言えば、当社が開始したPoC(概念実証)の70%を成功させるか、90%を成功させるのかといったことはこの市場での勝利に直接結びつくわけではありません。素晴らしい指標ではありますが、最も重要なのは、どれだけ多くの取引をしたか、どれだけ多くの人がクラウドセキュリティソリューションを購入する際にOrcaの製品を試してみたかということです」

Orca社はこの目的のため、研究開発チームと営業チームの人数を3倍近くに増やす計画だ。2020年5月のシリーズAラウンドの頃には全社員で20人程度だったが、現在では約100人まで増えているとShua氏は言う。

また、ヨーロッパでの営業拠点拡大も予定しており、最近ではオーストラリアにも新しいオフィスを開設した。同時に欧州全域にパートナープログラムを拡大しており、英国とドイツで新たな提携先を獲得している。

Shua氏によると、自社のプラットフォームの機能を拡張する計画もあるという。Orca社のプラットフォームではAmazon Web Services (AWS) やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform (GCP) 間でエージェントレスのワークロードセキュリティとコンプライアンスを提供する。Orca社で特許取得済みの、企業のクラウドセキュリティリスクを検出し優先順位をつけるSideScanning技術を使ってこれを実現している。

Shua氏によると、Orca社は2021年に向けて、ID管理・アクセス管理関連の機能をさらに追加し、開発者やセキュリティチームがワークロードのライフサイクルの早い段階でセキュリティを構築・導入できるようにすることを計画しているという。「すべては煎じ詰めれば当初の理念を叶えるためのものです。包括的で、ユーザーの環境を完全にカバーし、コンテキストに対応したものを提供するという理念です」

 

M&Aはせず、自社で構築

Shua氏の補足によると、そうした機能を他の企業から買収するのではなく、自社で構築することが確実に機能するようにするために重要なことだという。

「統合するのは非常に難しいことです」と氏は説明する。「Palo Altoが犯した過ちです。彼らは5社のスタートアップ企業を買収しました。5つのソリューションを購入したということですが、それぞれのソリューションは素晴らしいものです。しかし、私はそれを試してみた企業様と協力してきましたが、彼らは「新しく6人追加すれば使えるかもしれない」と言っていました。異なる言語を話す5つのツールを統合するようなもので、点と点を結びつけることができないのです。そして、セキュリティにおいては、点と点を結びつけることがすべてです」

Shua氏によると、Orca社は自社で技術を構築したことで大手の競合に対する優位性を獲得し、顧客の環境をエージェントレスセキュリティで確実に100%カバーできるようにもなったという。Shua氏は、Palo Alto Networksの「Prisma Cloud」のようなエージェントベースのツールではこのレベルの包括的なカバレッジを提供することはできないと主張する。この点は両社が弁護士やブログを通して戦いを繰り広げてきた部分だ。

「Palo Altoは、法的手段に訴えて私たちを黙らせようとしました」と氏。「そしてそこから手を引き、数週間前にブログを投稿してOrcaのSiteScanning技術が初歩的であるとする理由を説明しました。当然、私たちはそれに対応したのです」

 

行く手に広がるブルーオーシャン

今後については、Shua氏は向こう7年間で市場規模が700億ドル以上に達すると見ており、顧客は自社の製品を選ぶと確信している。

氏はGartner社のパブリッククラウドに関する予測を引用し、「今日のクラウド市場の規模は約1,000億ドルですが、7、8年で1兆ドルに達します」と話した。「これまでの数字から言って、サイバーセキュリティが占めるのはこの市場の5%から6%程度です。つまり、現在の市場規模は50億ドル程度ですが、7年後には500億ドルから700億ドルに達すると考えられます。Orcaで言うところのブルーオーシャンがたくさんあるのは間違いありません」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/orca-security-banks-210m-to-battle-palo-alto-networks/2021/03/

Jessica Lyons Hardcastle
Jessica Lyons Hardcastle Managing Editor

Jessica is Managing Editor at SDxCentral covering security technology, trends, and threats. She has worked as an editor and reporter for more than 15 years at a number of B2B publications including Silicon Valley Business Journal, Environment + Energy Leader, and Solar Novus Today. Jessica can be reached at jhardcastle@sdxcentral.com or @JessicaHrdcstle.

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