プライベートRAN市場に勢い=ファーウェイ、ノキア、エリクソンがリード
米調査会社Dell'Oro Group(デローログループ)の最新レポートによると、プライベートRAN市場は2028年までに20億ドル規模に達する可能性があるという。主力プレイヤーはファーウェイ、ノキア、エリクソンだ。
昨年は世界のプライベートRAN市場をこの3社が支配した。中国企業を除く場合は、首位のファーウェイが外れ、ノキアとエリクソンの順位が1つずつ上がり、3位にはサムスンが入る。
レポートの中でも重要なのは、同市場が昨年40%も急増し、RAN市場全体に占める割合も2%増えていることだ。また、向こう5年間のCAGR(年平均成長率)予測は21%、2028年の市場規模は20億ドルに達すると見込まれている。これに対し、パブリックRAN市場の向こう5年間のCAGR予測はマイナス2%となっている。
「RANに対する設備投資全体を見ると、現在もパブリックRAN領域の投資が最大の割合を占めています。また、全体の投資規模としては、当初、5Gエンタープライズ市場がハイプサイクルの早期にあったころにベンダー各社が示していた予測の一部を下回る状況です。その中で、プライベートワイヤレスは驚異的なペースで伸びているというのが実際のところです」。バイスプレジデントのStefan Pongratz(ステファン・ポングラッツ)氏が書いている。「パブリックRANやエンタープライズWLANとは対照的です――この2つについては、いずれも2024年には縮小が予測されています」
プライベートワイヤレス分野ではベンダーが優位
プライベートネットワーク市場全体を見ても、優位を占めているのはベンダーだ。
「MWCバルセロナ2024」の閉会後、英調査会社Rethink Technology Researchでシニアアナリストを務めるAlex Davies(アレックス・デイヴィス)氏がポッドキャストで説明したところによると、氏がイベント期間中に複数の人から聞いた話では、現在あるプライベートネットワーク案件のほとんどが、モバイルネットワーク事業者(MNO)の関わっていない案件だという。
「プライベートネットワーク関連の機会については、特に工業や製造業、石油・ガスといった分野のものがそうですが、MNOもビジネスチャンスと捉えているようなものが多くあります。ですが、こうした層の顧客はそうそう変化するものではなく、テレフォニカやボーダフォンが扉をたたいたとして、すぐに喜んで受け入れてくれるとは私は思いません」と氏。「プライベートネットワークに取り組んできたのにはそれなりの理由があります。パブリック5Gネットワークで可能になることを伝えたとしても、白髪交じりのオペレーターのような人々が意見を変えることはないように思います」
米調査会社Technology Business Research (TBR)プリンシパルアナリスト、Chris Antlitz(クリス・アントリッツ)氏も同じ考えだ。同イベントの後に行ったプレゼンテーションの中で、次のように話している。「多くのケースで、バリューチェーンの中に通信会社は入っていないようです。周波数帯の提供すらしていません――これは国によって異なり、プライベートネットワーク用の周波数帯がある場合の話ですが」
「通信会社からすると、プライベートネットワークの導入は比較的ゆっくりだということになります」と氏。「ですが、ベンダー目線、たとえばノキアがプライベートネットワークでどのくらい売上を作っているかを見てみると、2桁成長をしているのです。急激な成長です。他にも同じように勢いよく成長しているベンダーはあって、ファーウェイがそうですし、エリクソンもある程度はそうだと言えます」
実際、ノキアはプライベートネットワーク分野で力のある企業だ。直近の決算説明会では、Pekka Lundmark(ペッカ・ルンドマルク)CEOが投資家に向けて、プライベートネットワーク事業は「2桁成長を続けている」と話している。2023年末時点で710社を超える顧客を抱え、エンタープライズ部門売上高に占める割合では4分の1を超えている。
Antlitz氏によると、こうした成功から市場機会の大きさが伺える一方で、現在のところ、MNO各社はそうした機会を活かすのに必要な要素にはなっていないという。
「こうしたプレイヤーに注目し、提供元を直接見てみますと――インフラやアプリケーションの提供元、顧客の環境の構築、管理、サポートといったサービスの提供元ということですが――通信会社よりもはるかに良い業績を上げているのです。通信会社にとっても、このことから、バリューチェーンの一部を除外した直接取引が行われていることが分かるでしょう」と氏。
「もう少し簡単に言うと、プライベートネットワークのバリューチェーンでは、通信会社以外にも、ベンダーが提供元になることができ、通信会社を上回る業績を収めているということです。全体的な視野に立ってみれば、プライベートネットワーク市場には、実はかなりの牽引力があるのです」
Private RAN gains momentum, Huawei, Nokia, Ericsson lead the way
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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