楽天モバイル、5G展開のスケジュールを突如延期
楽天モバイルは、5Gの導入状況についての見解を4週間ですっかり変えてしまった。この通信事業者は15日、COVID-19の危機に関連したサプライチェーンの問題により、5Gネットワークの立ち上げが約3ヶ月遅れると発表した。
4月中旬の時点では、楽天モバイルのEVP兼CTOであるTareq Amin氏は、同社の5G計画は6月に商業利用を開始するべく順調に進んでいるとしていた。今回の発表で、同社の5Gネットワークが利用できるようになるのは早くても9月になってからとなった。先月稼働した4G LTEネットワークの開始も予定より半年遅れている。
「全体的に見て、今回の流行による副作用は起きていません」とAmin氏は先月SDxCentralに語っていた。「当社の5G構築にも影響はないと考えています。建設できる基地局の数でペースが遅くなるかもしれませんが、大きな影響はないと考えます」
楽天モバイルはこの不一致について説明しなかったが、広報担当者は15日、SDxCentralに対し「COVID-19の影響は主に、移動に制限がある地域での5Gネットワークソフトウェアのテスト・検証にある」と話した。基地局の展開は「計画通りに進んでいる」とし、日本の電気通信規制当局が定めた要件は変わらず満たせるとも述べている。
「業績への影響は軽微であると予想しています」と同氏は話している。
「過剰な高揚感」と現実との出会い
「今回の原因は、COVID-19による不確実性と、(Amin氏の)過剰な高揚感によるものだと思います。高度な仮想化とオープンRAN(無線アクセスネットワーク)を使用して、従来のネットワーク構築よりも展開を加速できる可能性についての高揚感です」と、Moor Insights & Strategy社のシニアアナリストであるWill Townsend氏は言う。
「リカバリー可能なことではありますが、彼らは今後のスケジュールの共有については、もっと保守的になるだろうと予想しています。信頼性の面から言って、もう1回リセットするということはできないでしょう」とも氏は述べた。
完全仮想化、オープンRAN、クラウドネイティブのネットワークが「アルファ段階であると言われるのには理由がありますが、楽天は困難に対してさえもポジティブな見方をすることを好みます」と、ACG Research社の主席アナリストであるChris Nicoll氏は指摘する。
たとえばAmin氏は、2018年6月以降、350以上のソフトウェアアップデートをリリースしたと誇っているが、Nicoll氏は、それは主に新機能ではなく「バグや問題の修正」であるとしている。「良いニュースは問題が修正されたことです。悪いニュースは彼らが平均して2日ごとにソフトウェアのロードを行っていることです」と氏は言う。
「これでは、ネットワーク運用とネットワークの安定性の面から言って持続可能とは言えません」とNicoll氏は説明する。「非常に多くのバグや統合の修正が行われているように見えますが、まったく意外なことではありません。従来の5Gキットを導入する場合でも、最初の30日ほどは膨大な量のチューニングが行われます。完全仮想化プラットフォームを追加するとなると、対応すべき複雑さや問題がさらに増えることになります」
5G立ち上げの遅延に直面する通信事業者は他にも出てくるのか
Townsend氏はまた、楽天モバイルの課題の少なくとも一部は、同社が展開しているアーキテクチャの種類に起因しているとし、わけてもわずか4週の間にで何が起きたかを考えている。AT&T社のように従来のネットワークインフラに大きく依存している通信事業者は、世界的なパンデミックの影響で5G加入者の獲得に影響が出るかもしれないとしているものの、5Gの展開計画は順調に進んでいるとTownsend氏は説明する。
T-Mobile US社とVerizon社も今月第3週、5Gインフラの展開は予定通りに進んでいると述べている。
「時が経てばわかることですが、通信事業者やインフラプロバイダーが責任の全てをCOVID-19による遅延のせいにしようとすることがあれば、それは見抜かれることだろうと思います」とTownsend氏は述べている。
楽天モバイルのネットワークインフラは、新世代のセルラー技術である5Gと相まって「前例のない」構成になっているため、スケジュールには多少の弁解の余地があるとNicoll氏は説明する。
「楽天は予定より1年未満の遅れであれば、成功を宣言してよいと思います」と氏は言う。「5Gをこれまでの4Gネットワークの立ち上げよりもスムーズに稼働させることができれば、最初の凸凹や遅延はすべて忘れ去られるでしょう」
SDxCentralのシニアエディター。5Gネットワークオペレータ、無線アクセスネットワークサプライヤ、通信事業者ソフトウェアベンダー、クラウドを担当している。彼はiPhoneの夜明け前からテクノロジーについて書いており、ソーシャルになる前からメディアをカバーしている。
連絡先: mkapko@sdxcentral.com または @mattkapko
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