米国の地方キャリア、中国製機器の撤去作業に19億ドルを確保

ネットワークから中国製機器を撤去することを義務付けられている米国の地方の通信事業者に対し、ようやく資金援助が始まった。
12月第4週に議会で可決された9000億ドル(約93兆円)規模の新型コロナウイルス救済法案では、コロナ禍の初期の頃に立法された「Secure and Trusted Communications Networks Act(安全で信頼性のある通信ネットワーク法)」に対し19億ドル(約2000億円)の資金が充てられている。
連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)が運営し、今月初めに全会一致で採択された対応プログラムでは、国家安全保障上のリスクと見なされる機器やサービスはすべて、国内の全ネットワークから撤去しなくてはならない。FCCは基準に該当するベンダーのリストを公開するとしているが、最大のターゲットはHuawei社とZTE社だ。
米政府、資金提供によって影響力を及ぼす
米政府は中国ベンダーが供給したネットワーク通信機器を撤去・リプレイスしようと数年間かけて多角的なキャンペーンを展開してきたが、今回の法案が可決されるまでは特にこの取り組みのための資金提供はしてこなかった。
この「撤去・リプレイス」命令によって最も影響を受ける米国の地方のキャリア各社は、安全でないと考えられる機器の交換費用を政府が補償して埋め合わせるよう求めるロビー活動を行ってきた。多くのTier 2・Tier 3 通信事業者を代表する競合キャリア協会(Competitive Carriers Association:CCA)は、今回の資金提供を称賛している。
CCAの会長兼CEO、Steve Berry氏は、「安全で信頼性のある通信ネットワーク法に対し、全面的に資金提供を行うことの重要性を強調してもしすぎることはありません。対象となるネットワーク要素を持つ通信事業者は、必要な機器のリプレイスを進めなければならないが、それでも顧客に対するシームレスなカバレッジを提供し続けることはできるという確信を得ることができました」とコメントしている。
9000億ドル(約93兆円)の景気刺激策のうち、ブロードバンド関連の政策には70億ドル(約7200億円)が充てられている。このうち32億ドル(約3300億円)はFCCによる低所得者向けブロードバンドアクセス提供に、13億ドル(約1340億円)は商務省によるブロードバンド助成金に充てられており、このうち10億ドル(約1030億円)は部族の土地におけるブロードバンドを改善するためのものだ。また、6500万ドル(約67億円)がブロードバンドデータマッピングの改善に充てられる。
「正しい方向へ向かう、大きな一歩です。COVID-19のパンデミックで、僻地や地方に住む人々を含めた全てのアメリカ人がモバイルブロードバンドサービスを利用できるようにする必要があることが浮き彫りになったのですから」とBerry氏は話す。
FCC委員たちは救済の範囲を称賛
1月に退任を予定しているFCC議長のAjit Pai氏は、この件に関する議会のアクションに満足していると述べた。「撤去・リプレイス」プログラムへの資金提供は、米国のネットワークから安全でない機器が撤去されるよう同機関が計らうのを支援するもので、もってネットワークと国家の安全性を強化することになるだろう、と氏はコメントしている。
FCC委員のJessica Rosenworcel氏は、「あまりにも多くの場所で、あまりにも多くの人々がオンラインにアクセスできずに苦労しています。現代の生活のうち、これほど多くの部分がインターネットアクセスに依存している今、誰もブロードバンド料金を支払うことと家賃を支払うこと、食料品を買うことの間で選択を迫られるべきではありません」とコメントしている。
「この法律はほんの始まりに過ぎませんが、重要なスタートです。私たち全員がブロードバンドに接続できるようにする国家的な取り組みが始まったということだからです」と氏は言う。
この悲惨な年が終わろうとしている今、米国の小規模な通信事業者各社は国家安全保障上のリスクに指定されたベンダーからの機器・サービスの撤去やリプレイスに対して政府の資金が十分に支払われることを知り、安堵のため息をついている(訳注:原文記事公開は12月23日)。

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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