米HPEがジュニパーを買収=セキュリティを「中心的な構成要素」に
米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が140億ドル(約2兆円)を投じて米ジュニパーネットワークスを買収する。HPEのAntonio Neri(アントニオ・ネリ)CEOとジュニパーのRami Rahim(ラミ・ラヒム)CEOはこの件について、ネットワーキングとAIを重点強化するのみならず、ネットワーキングソリューションの中核にセキュリティを組み込もうという両社の熱意が表れたものだと説明している。
Neri氏はセキュリティが「多大な機会」を生み出す要素だと考えている。「私たちはあらゆる面でAIを核とした、セキュアなユニファイドネットワークと体験を提供しようとしています。そこではセキュリティが中心的な構成要素になるでしょう」と語った。
HPEは以前からセキュリティを重視し、あらゆる接続方式に共通のセキュリティポリシーを提供することを目指している。「当社はこれまでもネットワーキングとセキュリティの融合で成功してきました」。HPE Aruba Networkingのポートフォリオソリューションマーケティング担当バイスプレジデント、Larry Lunetta(ラリー・ルネッタ)氏が以前のSDxCentralの取材で話している。「現在、事業の中でもセキュリティについては非常に積極的に強化を進めています」
HPE Aruba事業でオンプレミスのネットワークセキュリティサービスを提供するほか、少し間にはSSE(セキュリティサービスエッジ)プロバイダーの米Axis Securityを買収している。
今回の買収で、ジュニパーがネットワークセキュリティで持っているSRXシリーズファイアウォールなどの強みも統合できるとNeri氏は言う。
「時宜を得た買収によってAxis Securityの製品が当社グループに加わりました。さらにジュニパーが持つSRXシリーズが加われば、クロスセルやアップセルの機会が生まれるだけでなく、最新のセキュアな基盤を提供することが可能になるのです」と記者・アナリスト向け説明会で語った。
ジュニパーのセキュリティポートフォリオ「Connected Security」では、次世代ファイアウォールのSRXシリーズを含め、オンプレミス環境とクラウド環境の両方に向けて、脅威防止、脅威インテリジェンス、セキュリティ分析を提供している。他の製品としては、SASE(セキュアアクセスサービスエッジ)、パブリッククラウドのセキュリティ、脅威の検知と緩和、ゼロトラストデータセンター、サービスプロバイダのセキュリティ等があるとした。
ジュニパー買収でHPEのセキュリティポートフォリオが拡大
ジュニパーのRahim氏は、本買収がセキュリティを活用して両社のソリューションの競争力と網羅性を高める機会になると強調している。
「また、両社のファイアウォール、仮想化セキュリティ、こうした包括的なデータセンターソリューションを組み合わせれば――従来型の自動化データセンターでも、AIデータセンターでも――非常に強力な組み合わせになり得ます」と説明会で語った。「ですので、そこではセキュリティが競争上の戦略において大きな部分を占めることになります」
米調査会社デローログループのシニアディレクター、Mauricio Sanchez(マウリシオ・サンチェス)氏もこれに同意している。ジュニパーが加われば、HPEはDDoS対策、ファイアウォール、クラウドワークロードセキュリティの各市場にリーチを拡大できるとした。ネットワークセキュリティ市場におけるジュニパーのシェアはシスコやフォーティネット、パロアルトネットワークスといった大手に比べると小さいが、「HPEにはないネットワークセキュリティ技術を数多く持っています」と語った。
Security is a ‘core component’ of HPE’s Juniper Networks acquisition
SDxCentralの編集者。
サイバーセキュリティ、量子コンピューティング、ネットワーキング、およびクラウドネイティブ技術を担当している。
バイリンガルのコミュニケーション専門家兼ジャーナリストで、光情報科学技術の工学学士号と応用コミュニケーションの理学修士号を取得している。
10年近くにわたり、紙媒体やオンライン媒体での取材、調査、編成、編集に携わる。
連絡先:nliu@sdxcentral.com
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