ソフトバンクによる実機検証=5Gで映像を送信、AIで人物検出
ソフトバンクがベンダー各社と共同で実施した実機検証について発表した。5G接続で送信した人物の映像をAIアプリケーションで映像認識することに成功したという。
実証ではGPU(Graphic Processing Unit、画像処理装置)を搭載したvRANコンポーネント間で5G信号を送受信し映像のストリーミングに利用、2つの端末の間でMEC(Multi-access Edge Computing)AIアプリケーションを利用した映像内の人物の検出に成功したという。
実証はソフトバンクの「AI-on-5G Lab.(エーアイ・オン・ファイブジー・ラボ)」で行われた。昨年NVIDIAと共同で開設した研究施設で、NVIDIAのハードウェア、基地局の仮想化・AI処理のミドルウェア、マベニアが提供する仮想化無線信号処理ソフトウェア、コアネットワークのソフトウェア、AI映像解析のMECアプリケーション、フォックスコン(Foxconn Technology Group)が提供する物理的アンテナを使用している。
3社はRANとAIの両方にGPUを利用できることが確認できたとアピールしている。これは重要なことで、ベンダー各社は現在CPUを必要とする処理を軽減、GPUやDPU(Data Processing Unit、データ処理装置)への移行を目指している。
「今後AIの活用などさまざまな用途で利用されているGPUの基盤に、vRANのソフトウェアとRU(Radio Unit)を追加することで、5Gのネットワーク基盤を構築することができるとともに、ソフトバンクが持つvRANの拠点を、GPUを利用するソフトウェアのためのMECの拠点にすることも可能になります」。ソフトバンクのステートメントにはある。「ソフトバンクは、今後これらのMECアプリケーションやRANのソフトウェアの需要に基づいて、コンピューター資源を動的に割り当てる検証や、vRANのさらなる低消費電力化などに取り組んでいく予定です」
通信業界におけるAI
通信事業者はAIにますます注目するようになっている。複雑なものになったネットワーク展開の支援や、新サービスに活用するためだ。
「5G時代に入り、通信事業者のネットワークでさらなる自動化を進める必要性が高まっています」。英調査会社GlobalDataのシニアアナリスト、Malcolm Rogers(マルコム・ロジャース)氏が最近のブログ記事に書いている。「新しく登場したクラウドネイティブアーキテクチャは複雑なもので、通信事業者がこれを採用するとなれば、ネットワークを構築・管理・運用する際の方法を変える必要があります。各種のAIベースの新技術がオーケストレーションやサービス保証の最前線となっています。…(中略)…AIは魔法の弾丸ではなく、通信事業者の環境はそれぞれ異なります。AIモデルのトレーニングにも異なるアプローチが必要だということです。5Gの台頭によってネットワーク管理には新たな課題が出てきています。新しくクラウドベースのアーキテクチャを組み込み、エッジコンピューティングを利用するという部分にまつわる課題だけでなく、5Gで可能になると考えられている新しいビジネスケースが台頭してくることも関係してきます」
ソフトバンクの競合、NTTとモバイル部門のドコモでは、ノキアと共同で将来の6GサービスにAI、機械学習、サブテラヘルツの周波数帯域を活用する開発を進めており、最近その成果について発表している。
そのうちの1つでは、AIと機械学習を無線インターフェースに活用、「6G無線機に学習機能を搭載」したと説明。技術的には6G無線の信号劣化の問題を解決、信号のオーバーヘッドを大幅に削減するとともにスループットが30%向上したとしている。
これはネットワークスライシングのユースケースにも関わる部分で、6G無線機は「アプリケーションやデバイス、ユーザーが要求する接続タイプに柔軟に対応できるようになる」と両社は述べている。
「例えば、工場内のネットワークを産業用センサー用に一度に最適化したり、ロボットシステムやビデオ監視用に再構成したりすることができます」。両社のステートメントにはある。「パブリックネットワークでは、AIによって強化されたネットワークにより、高速で走行する緊急車両だけでなく、XRを使用している歩行者にも最適化された接続を提供することができます」
NVIDIAとソフトバンク、忙しく動く
発表前の週にはNVIDIAがAI関連で忙しく動いている。自社で主催している「GTC Developer Conference」に関連して、AIに関する進捗を多数発表した。
以前NVIDIAによるソフトバンク傘下のARMホールディングス買収が頓挫したことがあるが、両社の間には苦い気持ちが特に残っていないことも協業からうかがえる。この時の買収案件は2020年に発表、買収額は400億ドル(約5兆2,600億円)とされたが、「規制上の大きな課題」にぶつかった。
2021年初頭、英国政府がこの件について独占禁止法調査を開始、同年4月には国家安全保障上の理由で介入を行うと発表している。
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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