米Sysdigはコンテナとクラウドの統合セキュリティのユニコーンだ。12月15日、英ペルミラをリードインベスターとする3億5千万ドル（約400億円）のシリーズG資金調達を行ったと発表した。これにより調達総額は7億4,400万ドル（約850億円）、評価額は25億ドル（約2,860億円）に達した。

「このタイミングで資金調達を行ったのは、クラウドセキュリティ市場が離陸し、当社の事業のあらゆる面でキャパシティを拡大するべき時だからです。資本不足が足かせとなるのを避けたかったのです」。Sysdig社CEOのSuresh Vasudevan氏はメールでSDxCentralに語った。

Sysdig社はクラウドネイティブなアプリケーション向けに特化したセキュリティサービスとパフォーマンスの監視サービスを提供している。Vasudevan氏によると、今回の資金調達ラウンドによってこうしたサービスの新しい市場への展開を早め、従業員を増やして顧客基盤を拡大し、研究開発にも資金を投じるという。

Sysdig社の顧客基盤は前年比140%増の約700社に成長した。最大手顧客50社の平均年間経常収益は875,000ドル（約1億円）を超えるという。

この1年間で従業員数も倍に増やしており、「欧州、中東、アジア太平洋、南米での成長を加速させるため、さらに倍にする計画」だとVasudevan氏は述べている。

この1年の間にSaaS（Software as a Service）のホスティング拠点も9カ所から16カ所に拡大しており、近い将来にさらに多くの拠点を稼働させる計画だ。

大手クラウド事業者との提携拡大

GTM戦略の構築に加え、Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azure、IBM Cloudといった主要クラウド事業者との提携も強化していく方針だ。

Sysdig社は8月に米Apolicyを買収、セキュリティのシフトレフトをさらに進めることが可能となった。Apolicy社のIaC（Infrastructure as Code）技術を自社のプラットフォームに統合し、DevOpsワークフローの安全性をさらに高めている。その後まもなくIaCマニフェストのガイド付き修復機能と、GitHub、GitLab、Azure DevOps、Bitbucketとの統合が即時利用可能になったことを発表した。 

Vasudevan氏によると、Sysdig社はPolicy as Codeとガイド付き修正機能を利用してコンプライアンスとガバナンスを実施する仕組みを来年早期にも提供する予定だという。

また、2021年はクラウド構成リスク管理機能とCIEM（クラウドインフラ権限管理）機能を追加した。「今後はこうした機能を主要なクラウドサービス全てで提供できるように提携を拡大していく予定です」とVasudevan氏は話している。

Sysdig社のオープンソースプラットフォーム、勢いに乗る

2013年の設立時、同社は2つのオープンソースプロジェクトを基盤としてスタートした。「Falco」というコンテナ・クラウド向けの脅威検知エンジンと、ディープデータ・ディープコンテキストを利用したインシデント対応のためのSysdigプラットフォームだ。

プロジェクトは好調で、Falcoは2020年前半にインキュベーションプロジェクトとなり、現在のダウンロード数はその時点から335％増の3,700万回に達しているという。

Vasudevan氏によると、これらのオープンソースプロジェクトは同社がクラウドセキュリティ標準を推進する上で一役買ったという。「SysdigとFalcoは、共にコンテナやクラウドにおける脅威や異常の検知、インシデント対応までカバーする最新のランタイムセキュリティの業界標準となりました」。氏はブログ記事に書いている。

急成長を遂げ、資金調達ラウンドは今回も好調だったにも関わらず、Vasudevan氏によると向こうしばらくは株式公開の予定はないという。「当社は規模を拡大し、次なる偉大なセキュリティ企業を築くことに集中しています。短期で株式を公開するとなれば、それがおろそかになってしまうというのが私たちの考えです」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/sysdig-raises-350m-rides-the-wave-of-cloud-security/2021/12/