米大手キャリアT-Mobile、モバイル基地局数万カ所を廃止=買収した米Sprintの所有分

米大手キャリアT-Mobile US(TモバイルUS)では今年、セルサイト(モバイル基地局)の廃止数が稼働数を上回ることになりそうだ。同社は現在、合併した米Sprint(スプリント)の古いネットワークインフラを統合する複雑な作業を完了しようとしている。
「昨年は何千もの基地局を廃止しましたが、2022年はそうした廃止作業をすべて終了する年になります」。T-Mobile US技術担当社長のNeville Ray(ネヴィル・レイ)氏がモルガンスタンレーのテクノロジー・メディア・テレコムカンファレンスで語った。
同社は引き続き、ポートフォリオからSprintのセルサイトの80%を撤去し、残りのサイトをアップグレードする計画を進める。同社は2020年4月にSprintを買収した。
Ray氏によると、これは複雑な手順で、基地局廃止による顧客への影響と、各地域で新しい機器によって5Gサービス提供のカバレッジを拡大・向上していくスケジュールとを考慮し、基地局ごとに慎重な計画が立てられているという。
「今年は何万もの基地局を廃止しようとしています。それはこの(買収)案件で常に横たわっていた重要なテーマの1つでした。全ての廃止作業を終えた後も、当社のネットワークが米国最大のものであることに変わりはありません」と氏は胸を張った。
「今年末までに2億6000万人のカバレッジを達成するという目標に向けて順調に進捗しています。2023年末には3億人です。競合他社はそれに近い計画の発表すらしていません」と氏は言う。
T-Mobileの5Gはマクロサイトを利用
T-Mobileの5G無線アクセスネットワーク(5G RAN)の大部分はマクロセルで運用されているが、同社はスモールセルの数も5万台規模になると予測している。
「この計画はマクロが基本になっています。こういうものでは物理的な考え方をするものです。当社はミリ波スモールセル基地局による5G構築はしていません。ふさわしい分野ではそういうこともするでしょう」。Ray氏は言う。
そして、いつものように、ミリ波の展開に大きく依存した米ベライゾンの初期の5G戦略との比較を述べた。
ベライゾンのミリ波5Gネットワークは「当社のネットワークで運んでいるトラフィックの1%にもはるかに満たない量しか運んでいません」と氏。「光ファイバーを利用した33,000カ所の基地局への投資を思えば、私の見方では計算がうまく行っているとは言えません。当社の事業のやり方とも異なります」
ベライゾンで技術計画・開発担当VPを務めるBill Stone(ビル・ストーン)氏がSDxCentralの取材に対して最近語ったところによると、ベライゾンのミリ波5Gネットワークは主に都市部にあり、トラフィック全体の10%以上を伝送しているという。
Ray氏によると、T-Mobileは広範囲のミッドバンド5Gを持っていることから人口の少ない地域でのFWA(固定無線アクセス)事業や顧客獲得においても大きなチャンスがあるという。
Sprintとの合併、特に保有する周波数帯が増えたことによってネットワーク容量を大幅に増やすことが可能となった。「通信容量を1桁増やすだけでなく、14倍も増やすようなマイグレーションを経験した無線通信企業はこれまでありません」と氏。
この結果、家庭内ブロードバンドなど他の用途のための余剰容量も残る。「LTEドメインではついぞ起こらなかったことです。どのキャリアも従来の無線通信容量に後れを取らないことだけを考えていました」と氏。
「各基地局の経済的側面は同じです。2.5 GHzの無線機は最大200 MHz幅の帯域をカバーすることができるので、同じ無線機をマンハッタンの中心部に展開しようがカンザスの田園地帯に展開しようが、実質同じ費用で済むのです」

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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