T-Mobile社、Kubernetesでクラウドコストを3,000万ドル削減へ

T-Mobile US社はKubernetesで成功を収め、現在は仮想化クラウドインフラストラクチャで2万個のコンテナを運用している。さらに言えば、Kubernetesコンテナの集中管理とクラスタへの標準化されたアプローチを組み合わせることで、クラウドコストを今後1年間で3,000万ドル削減できると同社は主張している。
T-Mobile社のシニアマネージャー兼ソフトウェアエンジニアであるThom McCann氏は今週、D2iQ社の「Cloud Native Virtual Summit featuring Kubernetes」の中で、同社の7年間に及ぶクラウドの歩みを共有した。
アプリケーションを手動で構築するところから始め、自動化へと進み、コンテナベースのワークロードを大規模に実装するに至るまで、T-Mobile社の集中型クラウドチームは「大規模な組織での一貫性のあるクラウド使用を可能にするための基盤を築いてきました」とMcCann氏は話している。
この基盤とは、「Conducktor」というT-Mobile社の社内Kubernetesプラットフォームのことだ。これにより、同社のクラウドチームはクラウド、アプリケーション、セキュリティにアクセスする共通の方法を確立することができ、各アプリケーションチームが自分たちの組織内でセルフサービスでの利用ができるようになった。Conducktorはまた、クラスタ内のすべてのデータを収集する同社のテレメトリプラットフォームに支えられている。そのため、各アプリケーションチームはクラスタデータからメモリの割合を抽出して確認することができる。
コンピュートのコスト引き下げは、思いがけない幸運によるものなどではなかった。T-Mobile社は2018年後半、クラウドで稼働しているコンテナの数が仮想マシン(VM)の数を上回るという転換点にぶつかった。一旦そうなった後は、クラウド上のVMの成長はやがて止まり、コンテナの数が急増し始めた、とMcCann氏は言う。「『何百万ドルも節約できる道』へ繋がる、『何百万ドルも使う道』だと私は呼んでいるのですが――私たちはそういう道の途上にあったわけです」と氏は付け加えた。
McCann氏は、特に自動化されたコンテナベースのワークロードを大規模に実行するためにパブリッククラウドとKubernetesを活用することと、顧客に各機能や新機能をより迅速に提供する他の多くのツールについても話している。T-Mobile社は、自社がコンテナを使用していることを「壊れた傲慢な業界を揺るがしている」として、「キャリアと逆の動き」と呼んでいる。John Legere氏は同社のCEOを既に退任したが、氏の大げさな言葉使いと超人的なマーケティングは明らかに今も同社のもとにある。
とはいえ、この場合はそれほど「キャリアと逆の動き」というわけではない。これはつまり、5Gネットワークや関連サービスを支え、自動化するために必要な、コンテナベースのインフラストラクチャの採用にコミットするということだ。T-Mobile社が小規模のライバルであるSprint社を買収し、そのための2年間にわたる活動がクローズすれば、こうした動きがすぐに試されることになるだろう。
オブザーバビリティによってアプローチを標準化
オブザーバビリティ(可観測性)は、McCann氏がプレゼンテーションで引用した重要なピースの一つだ。
「こうした節約を実現するには、T-Mobileのチーム間の協調的な取り組みが必要でした。また、人が新しくコンテナ環境に入るということは、その人たちがコンテナ環境でできるだけ能率的になれるようにするための取り組みも必要です」とMcCann氏は言う。
クラウドチームが変更を追跡できない場合、別々の組織、ワークグループ、アプリケーションチームで稼働しているクラスタを最適化することは困難だ。クラスタの管理を一元化するため、開発環境、テスト環境、品質保証(QA)環境、および本番環境などの個別の環境は個々のクラスタ専用になっている。
Conducktorを使用していれば、T-Mobile社のユーザは通常、クラスタという概念に関わる操作をする必要はない。ユーザは名前空間を取得し、その名前空間では完全な権限を持つことができる。ユーザはまた、パフォーマンステストやコンポーネントのセグメント化が必要な場合などに、アプリケーションの特定の側面をどう分離するかをクラウドチームと協力して定義することができる。
「クラスタに対するアプローチが標準化されていて、運用しているプラットフォームが自社所有のもで、アプリケーションチームのほとんどが標準化された方法でKubernetesを使用している状況だと、基盤となるリソースをどのように購入するかをクラウドの観点から最適化する機会が得られます」とMcCann氏は説明している。
コストの最適化
McCann氏によると、最適化ではコスト管理とコストを見せることに重点を置いているという。クラウドレベルでは、氏のチームはT-Mobile社で利用可能なすべてのクラウド利用のコストを個々のアプリケーションチームと経営陣に示している。アプリケーションチームがリソースを適切に使用できるようにするために、氏のチームはアクションの最適コストも示している。
これは自動化されたプロセスになっている、「データがあり、大規模なPrometheusインフラストラクチャもある」ためだ、とMcCann氏はオープンソースの監視ツールに言及している。「実際にすべてのデータをマージして、メモリ管理、メモリ使用量、発送通知などをSlackで表示しています」。このようにすることで、特定のアプリケーションがメモリを過剰に使用していたり、あるいは何らかの形で十分に活用されていなかったりしないかを明らかにできている。
「開発チームとプラットフォームを運営するチームの両方がコストを意識するという社風を、うまく確立できました」と氏は補足している。

Sydney Sawaya is an Associate Editor at SDxCentral, covering cloud storage, data management, and cloud native. She previously worked in publishing and public relations, ghostwriting articles for B2B energy and utilities publications. She can be reached at: ssawaya@sdxcentral.com or @SkidKnee_Writes

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