トレンドマイクロの最高技術戦略責任者（CTSO）、デヴィッド・チョウ氏はセキュリティベンダー間で協業や統合が起こり、国家の安全保障において重要な役割を果たすことになると予測している。米RSAカンファレンス中に行われた米SDxCentralの取材に対して語った。

「ベンダーの統合についてお話ししているからといって当社がどこかを買収するということではありませんが、いずれ統合はなされるでしょう」。チョウ氏は言う。それどころかベンダー各社が互いに協力し、「各々のデータセットを持ち寄って調整する」ことが可能になるという。

たとえば、バイデン米大統領が出したゼロトラストに関する大統領令ではゼロトラストの5つの柱がサブコンポーネントとともに示された。

「正直なところ――競合他社も同じことを言うと思いますが――5つの柱を実際に一度に解決できるようなソリューションはこの業界には存在しません」

そこで重要になるのが協業や統合だ。チョウ氏によると、トレンドマイクロでは自社技術を補完する手段を用意している領域もあるが、たとえばID管理やアクセス管理の分野については本当にソリューションを全く持っていないという。

「そこで、当社が包括的なゼロトラストソリューションを提供できるようにするためには、Okta（オクタ）やOne Identityといったベンダーとの統合に頼る必要があるのです」。氏は言う。

とはいえ、サイバーセキュリティ分野のエコシステム全体を見渡すと、多くの分野で現在あるよりもはるかに多くの協力関係が必要な状況となっている。 

「当社には脅威インテリジェンスのセットがあり、私たちはそれを非常に誇りに思っていますが、最大限に包括的な視点を提供するためには他社が収集した情報と組み合わせる必要があるのです」。氏は説明している。

「全てのベンダーは企業レベル、国家レベルのサイバー攻撃を防ぐために協力してこれを検討していくことになるだろう、と私が考えるのはこのためです。おそらく一種の統合型アプローチを取るでしょう」

チョウ氏はトレンドマイクロの連邦政府関連事業部（U.S. Federal Business Unit）の一員でもある。同事業部は国土安全保障省、司法省、米軍の数支部などの国家機関がデジタル変革を進める中でゼロトラストを提供している。

https://www.sdxcentral.com/articles/interview/trend-micro-finds-security-vendor-consolidation-collaboration-inevitable/2022/06/