6G
文:Matt Kapko

米VMware・米Google、5Gへの移行を6G時代まで引きずらないよう警告

米VMware・米Google、5Gへの移行を6G時代まで引きずらないよう警告

もう6Gの取り組みが始まっているって? 少し待ってほしい。米VMwareの「Telco Cloud」事業でエッジエコシステム担当部門長を務めるBenoit Pelletier氏によると、現世代の5Gには重要な課題が2つあり、無線通信業界はまだこれを解決できていないという。

「1つはインターネットです。インターネットは不完全です。2つ目として、5Gは複雑すぎます。6Gはその解決策になるのかということです」。氏は9月下旬に開催された「6G Symposium」で語っている。

Pelletier氏によると、今日のネットワークインフラは大部分がすっかり構築完了しており、ほとんどのインテリジェンスは大規模な中央集中型データセンターから提供されているため、最も革新的なアプリケーションの能力を発揮させられるだけのリソースやアーキテクチャを提供することができないという。「インターネットは、そうしたアプリケーションが必要とするものとはほぼ正反対に作られているのです」

インターネットの重心はエッジに移っていると氏は言う。何十億ものコネクテッドデバイスや計算集約型アプリケーションを扱うためだ。そうしたニーズに応えるための共有プラットフォームとしては「Open Grid Alliance」(OGA)を挙げている。

「現在行われている5Gネットワークの展開は、主に高性能な帯域幅と5Gの新しい無線機によるネットワークの高密度化、それに4G LTEネットワークの増強を目的としています」とPelletier氏は説明する。「無線通信業界、ネットワーキング業界、クラウド業界を横断する広範な要素について、すべきことがまだほとんど完了していない状態です」

5Gや6G向けのキラーアプリケーションが構想され、発展していっているが、「あまり普及はしていません。世界中の人々に届けるためには大規模なインフラが必要であり、そうでなければうまく機能しないからです」。米Googleの通信・エンタープライズ向けエッジ事業を統括するSunay Tripathi氏は言う。

 

インフラの遅れがキラーアプリケーションの普及を遅らせている

「キラーアプリケーションはすでに存在しています。そうしたアプリケーションをどうにかして人々に提供していく必要があると思います」と氏。この目標を達成できるくらい通信インフラが十分に現代化するのには、少なくとも10年はかかるだろうと付け加えた。「技術的にはまだそこまでいっていません」

カーネギーメロン大学の計算機科学教授、Mahadev Satyanarayanan氏はこの点について、克服すべき最大のハードルの1つとしてAI技術の民主化というテーマがあると指摘する。

「この種のアプリケーション開発への参入障壁を引き下げる必要があります」と氏は言う。また、企業や研究者、オープンソースコミュニティなどが先進的な技術をより簡単に組み立てて展開できるようにしなくてはならないとした。

「人々はインフラに関心があるのではなく、どんな新しい機能を実現できるかに関心があるのです。そして、現状では鶏が先か卵が先かというような問題が見られます。5Gが実際にどれほどのものになるかがわからないために、革新的で価値の高いアプリケーションを実装しようという人々はまだ手を控えています」とSatyanarayanan氏。「逆に、5Gネットワークの展開に投資している人々は、本当にこれを求めているのは誰なのか、と周囲を見回している状態です。この行き詰まりを打破することこそ、業界が自らを助けるためにできる最も重要なことだと思います」

単なる接続だけでなく、機能性を大規模に提供することは依然として難しい課題だとSatyanarayanan氏は言う。90年代後半にモバイル機器の計算処理をサーバーにオフロードするというアーキテクチャ上の決定がなされたことが、今日これを行ううえで妨げになっているとした。

「1997年当時はクラウドがなかったので、エッジについて考える必要もありませんでした。現在まで話を進めると、5Gや6Gによってたぐいまれな機会が開かれたことで、これについて考える必要がでてきたのです」。Satyanarayanan氏は説明する。「5Gや6Gのキラーアプリケーションはいずれも、非常に対応の難しい3つの特性を備えるところから生まれてきています――計算集約型で帯域幅を消費し、レイテンシの影響を受けやすいという3拍子揃ったアプリケーションです。こうしたことはサイバーヒューマンシステム、サイバーフィジカルシステムのどちらでも起こりえます」

イベントに参加したパネリストらによると、初期の6G研究が始まっている一方で、5Gが約束していた可能性の多くはまだ達成されていないという。

「5Gの展開状況について話をしますと、現在の5Gネットワーク、特に商用ネットワークはほとんどがまだ4Gコアネットワークに繋がっています」。米Crown Castleの技術戦略担当VP、Mark Reudink氏は言う。「現段階では、低遅延能力を備えた真の5Gインフラにはまだ移行できていないのです」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/vmware-google-warn-5g-infrastructure-limping-into-6g-era/2021/09/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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