VMware社では通信・エッジクラウド担当の幹部が1人減ることになった。同氏の移籍先は新しい「SPAC（特別買収目的会社）」で、VMware社の通信・エッジ分野での計画に資する可能性のある、通信・5G・エッジといった分野の企業に投資する予定の会社だ。仮想化大手のVMware社は現在、長年同社を率いたPat Gelsinger氏の後任となる新しいCEOを探しており、そのさなかでのことだ。

VMware社でEVP兼通信・エッジクラウド担当GMを務めるShekar Ayyar氏は、新たに設立されるAdMY Technologies社の投資戦略を指揮することとなった。氏はあるコメントの中で、同社の設立によって「通信、5G、エッジ産業の投資候補企業を見つけ出し、ターゲットとして投資を行う（VMware社の）能力が大幅に高まる」と説明している。

Ayyar氏は当面、VMware社の暫定CEOであるZane Rowe氏の特別顧問を続ける予定だ。Ayyar氏の現在のポジションは、VMware社のSVP兼SD-WANサービス担当GMであるSanjay Uppal氏が現職と兼任で引き継ぐ。

VMware社はまた1人幹部を失う形だが、「通信事業者業界、通信サービスプロバイダ業界のイノベーションを加速するため、引き続き投資を増やして」いくと述べている。

VMware社の通信関連セクション、役員人事の最新情報

Ayyar氏はVMware社の通信分野への進出を指揮してきた人物だ。通信分野への進出は「テレコムクラウドプラットフォーム」を拠り所に進められ、ゆるぎないものとなった。同プラットフォームは現行の4G LTEネットワーク、5Gネットワークを支えるオーケストレーション・自動化レイヤーとして作られ、サービスプロバイダがTTM（市場投入までの時間）、VNF、CNF、ネットワークサービスの展開に要する時間を短縮できるようにと開発された。同社は最近、Samsung社・米Dish Network社が提供する5G RANサービスに製品提供する契約をいくつか結んでいる。

Uppal氏はVMware社のSD-WANで大きな成功を収めた。VMware社のSD-WANは、同分野で長いことトップを走っている。

VMware社は、Intel社のトップに就任するために先月同社を去ったPat Gelsinger氏の後任となる新しいCEOを探してもいる。アナリストらは、Gelsinger氏の退任は短期的にはVMware社にとって良い兆候とは言えないと指摘している。

米調査会社ZK Researchの主席アナリスト、Zeus Kerravala氏はGelsinger氏退任のニュースを受け、SDxCentralへのメールで「衝撃的でした」と述べている。「Michael Dell氏が退任を選択した時、私はPat（Gelsinger氏）がDell Tech社の全てを担う明らかな後継者だと感じました。経営陣が既に減っているVMware社にとって、これは良いニュースではありません」

Gelsinger氏は在任中、30件以上の買収を監督し、ネットワーク、クラウド、セキュリティ、コンテナ、5Gなどの分野で同社を成功に導いた。その間、売上を就任前の3倍近い120億ドル（約１兆2800億円）に伸ばしている。

「VMware社は分散クラウド、セキュリティ、ネットワーキング、コンテナに軸足を移す中で、他の多くの企業と同様に、いくつもの大きな変化を迎えています」とKerravala氏は言う。「会社として長期的な変革よりも短期的な成功を優先することのないよう、強力なリーダーシップが必要な時なのです」

VMware社は昨年末にも幹部を2人失っている。前COOのRajiv Ramaswami氏は米Nutanix社のCEOとなるために同社を去り、クラウド管理担当SVPのAjay Singh氏は米Pure Storage社に移籍した。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/vmware-telecom-5g-edge-cloud-exec-to-exit/2021/02/