電気通信業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を阻む要因

DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みは、5Gネットワークへの投資からより多くの収益を得たいと考える大手通信事業者にとって、依然として重要なテーマだが、その推進は、マクロ経済的な課題や、人工知能(AI)、機械学習(ML)、自動化などの新技術の影響をより細かく解明しようとする取り組みによって影響を受けている。
Technology Business Research (TBR)でシニアアナリストを務めるMichael Soper(マイケル・ソーパー)氏は最近のウェビナーで、こうした取り組みはさまざまな角度から逆風を受け停滞していると述べた。
「市場で起きているマクロ経済上の問題により、これらの取組に対する投資は一時停止しているようです」と氏は述べ、その問題には「経済的なスタグフレーション、金利の正常化による資金調達の難しさなどが含まれます」と付け加えた。
氏は、この制限が主に小規模な通信サービスプロバイダー(CSP)に影響を与えていると指摘。「これらのプロバイダーは「低金利での資金調達」が難しくなっており、そのため、ネットワークをタイムリーにアップグレードすることができず、結果として通信インフラ・サービスへの投資が減少し、市場の衰退を引き起こしています」
この財政的な圧迫は、中小規模の通信事業背に影響を及ぼし、市場全体に波及してる。
現在、姉妹会社である EchoStarの管理下にある米通信事業者ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)は財務状況の立て直しに苦戦している。特に、近づく債務返済に備え新たな資金を調達することに注力しているが、その資金を非常に高い金利で借りる必要があり、状況をさらに悪化させている。
地域通信事業者のUSセルラー(U.S. Cellular)は、すべての事業を断念し、先ごろ、最大44億ドルと評価される取引で、より大きなライバルのT-Mobile USに買収されることを発表した。
このような市場の激変により、通信事業者がレガシーインフラの合理化や廃止する可能性があり、その結果DXへの取り組みに対する支出が一定期間遅れる可能性もあると同氏は指摘した。
「通信サービスプロバイダー(CSP)が、2024年に資金管理を厳格に行った後、状況が安定し、2025年には再び活動を活性化させると考えています」と氏。
AI、ML、自動化がデジタルトランスフォーメーションに影響
この投資フローは新しいテクノロジーを中心に急増することが予想され、「予測期間中、AIへの投資が活発になり、DX関連のプロジェクトの一環としてAI業務に統合していくだろう」と氏。
これにはITサービスやシステム・インテグレーション企業への投資も含まれ、氏は「AI、ML、自動化を自社の内部投資にますます活用しようとしています」と述べた。
このAIトレンドは、英調査会社オムディア(Omdia)が最近発表したグローバルな通信業界のDXリーダーのランキングでも強調されており、これらの市場をリードする企業のAI関連の取り組みに注目された。
この報告書では、世界の主要な通信事業者12社の中で、China Mobile社、NTTドコモ、SKテレコム(SKT)が、DXの目標に向けて最も前進した企業と評価している。China MobileはAI、ビッグデータ、セキュリティにおける能力が高く評価され、SKテレコムはエコシステム全体で通信AIイニシアチブを推進するリーダーシップが評価された。
これらのAI及びDXの取り組みにより、氏が言うところの「より効率的なネットワークアーキテクチャ」の実現にもつながり、全体的なネットワーク支出にも影響を与える可能性がある。
「クラウド仮想化、ホワイトボックス・ハードウェアの増加、オープンな(仮想化された)無線アクセスネットワークなどを採用した新しいネットワークアーキテクチャは、予測期間中にメンテナンス費用に対しますます悪影響を及ぼし、結果として、この市場の衰退を一層加速させるだろう」と氏は述べた。
What’s hindering telecom digital transformation efforts

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
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