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文:Dan Meyer

AIの需要はクラウド宗教戦争を引き起こすのか?

AIの需要はクラウド宗教戦争を引き起こすのか?

生成AIは業務効率の向上をもたらすと期待されているが、高騰するエネルギー需要を管理するためには、クラウド活用に向けた新しいアプローチが必要になるのだろうか。

アナリスト各社は、AIの利用拡大がデータセンターの電力要件を一気に押し上げると予測している。

調査会社IDCによる最新のレポートでは、AIのデータセンターのエネルギー消費量は今後数年間に年平均成長率(CAGR)44.7%で急増し、2027年までに146.2TWh(テラワット時)のエネルギーを消費すると予測し、「AIワークロードがデータセンターの総電力使用量に占める割合が増加する」としている。同社はまた、電気が企業のデータセンターを運営するために費やす総支出の46%を占め、サービスプロバイダーのデータセンターの場合は60%を占めると指摘している。

米ABIリサーチは自社のレポートで、AIアプリケーションとトレーニングモデルはデータセンターの電力の最大20%を消費すると推定されていると指摘した。

この急増により、データセンター事業者は、クラウド環境のどこで特定のAI関連ワークロードを実行するかを含め、AIトラフィックの管理方法を再考する必要がある。

今日、その焦点の多くが基礎モデルのトレーニングに集中しているが、これは通常1回だけ行われる。これには大量のリソースの必要だが、時間は限られているため、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などのようなパブリック・クラウド・システムに最適であると米Nutanixのハイブリッドマルチクラウド担当SVP兼GMであるInduprakas Keri(インドゥプラカス・ケリ)氏は、説明した。

「しかし、AIにおけるエネルギー消費の将来を考えると、企業内とエッジの両方で、より多くのことが起こるでしょう」とKeri氏は付け加えた。

このアーキテクチャの転換は、企業がAIプラットフォームを微調整するために、より具体的なデータを使用して基礎モデルを強化することに目を向けることで起こるだろう。これにより、企業のファイアウォール内でAI強化モデルを実行することから、ネットワークエッジで推論を実行することに移行する。

「スペクトラム全体でのエネルギー消費を考えると、基礎モデルは一度だけエネルギーを費やすものです」とKeri氏は説明した。「エンタープライズ内で行われる改良やトレーニング、改良の強化、あるいは検索ベースに基づく強化は数回から100回程度行われます。一方、推論は100万回行われるため、今日では基礎モデルをトレーニングするのに90MWh(メガワット時)や6か月がかかるという点に注目が集まっていますが、実際のアクションは推論をより効率的にする方法になります」

AIクラウド管理のヒント

エッジの効率性を高める1つの方法は、コンテナのようなクラウドネイティブアーキテクチャを活用することである。このモデルでは、コンピューティングリソースとストレージリソースを共有し、容量を必要な場所に移動し、不要な場所から減らすことが可能になる。

「推論のコストを30%削減し、そのモデルを100万回実行する場合、モデルを圧縮すれば、より効率的なストレージがあれば、未使用のコアをオフにできれば(疎行列演算のみを処理しているため)、リソース消費が非常に効率的なコンテナプラットフォームを活用できれば、これらすべてによって推論エンジンをより効率的に実行でき、電力の効率的な利用につながります」とKeri氏は述べている。

同氏はまた、さまざまなクラウドアーキテクチャがAIイニシアチブをどのようにサポートするかを理解することが重要だが、それらの異なるモデルに対してオープンマインドを持つことも重要だと指摘した。

「AIは本当に現代的で、ほぼハイブリッドなマルチクラウドアプリケーションになりつつあり、それに対して固定観念を持つ余裕はありません」とKeri氏は述べる。「あなたが本当に実現したいのは、基礎モデルから始まり、トレーニングを経て、データセンターまたはエッジで行われる推論に至るまでのモデルのフローです。そして、AIパイプラインを本格的に推進するためには、モデルフローとデータフローを促進できる環境が必要です」

AI管理が一部の企業にとって困難に思えるかもしれないが、企業がその課題に向けて取り組み始めることが重要だと同氏が付け加えた。つまり、AIを用いて解決すべき課題に対する明確なミッションステートメントを持ち、たとえ限定的であっても、できるだけ早くプロセスを開始することが求められる。

「彼らが望んでいるのは、実験ができるくらいのスピードで何かを立ち上げ、ある程度のビジネス価値を示した上で、それに基づいて規模を拡大することです」と氏。「これは、3年計画を立てることができない状況の一つです。かなりアジャイルなアプローチが必要で、『よし、6週間以内に、例えばサポート組織にどのような利益をもたらすかを実証する方法を達成したい。その利益に基づいて、5,000人規模のサポート組織全体に適用できるようなものをスケールアップするつもりだ」と言う必要があります」

しかし、これらすべては、リソースを最も効率的に活用できるオープンクラウドアーキテクチャの考え方に基づいて進める必要がある。

「この点に固執しないでください」と氏は結論づけた。「ポータビリティの必要性やインフラの進化、エンドツーエンドのAIバリューチェーンを完全に理解している人と協力することが重要です。つまり、プライベートクラウド、パブリッククラウド、そしてエッジを網羅する必要があります。宗教的な固定観念にとらわれないことそれが本当に重要だと思います」

Will AI demand cause a cloud religion war?

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
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