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文:Dan Meyer

Amazon、GoogleがベアメタルKubernetesのブームを後押し

Amazon、GoogleがベアメタルKubernetesのブームを後押し

Amazon Web Services(AWS)とGoogleは最近、オンプレミスのベアメタル環境での展開をサポートするKubernetesベースのコンテナ管理システム(製品版)をそれぞれ公開した。

企業にはオンプレミスのニーズがあり、大手パブリッククラウドにはこれを支える必要性が継続的にあることが伺える。このことはCNCF(Cloud Native Computing Foundation)が最近行った調査でも明らかになっており、エッジ開発企業はコードのホスト先としてプライベートクラウドやパブリッククラウドと同じくらいオンプレミスサーバーも好むということが分かっている。上記3つの環境はいずれもマルチクラウド/ハイブリッドクラウドでのホスティングを大きく上回る結果となった。

「こうした数字から分かるのは、Kubernetesを利用してエッジアプリケーションを開発している企業がより安全性が高く複雑でないインフラに引き寄せられる傾向にあるということです」。同調査報告にはある。

この課題への取り組みとして、AWSは「EKS Anywhere」プラットフォームを最近アップデートしている。顧客企業が同プラットフォームをベアメタル環境で実行できるようになった。

これによってハードウェアのプロビジョニングからKubernetesで管理しているクラスタの実行まで、オンプレミスのKubernetes展開の自動化が可能になる。同サービスはすべてのEKS Anywhereコンポーネントおよび統合したサードパーティソフトウェアをサポートしており、サポート提供元はAWS1社となる。

AWSのコンピュートサービス担当バイスプレジデント、ディーパック・シン(Deepak Singh)氏は米メディアSDxCentralの取材に対し、ベアメタル展開モデルではユーザーに対して一歩踏み込んだカスタマイズを提供すると説明している。「ライセンス費用管理から密度向上の試み、時には低レベルのハードウェア機能へのアクセスといったパフォーマンス上のメリットに至るまで、(活用例は)多岐にわたります」

このオプションを利用すれば、顧客企業はAWSが管理するKubernetesのコンテナ管理サービスを利用しながらデータの厳格な管理を要求するデータ主権法への対応を強化することもできる。

AWSは当初、2020年末に開催したイベント「AWS re:Invent」で「EKS」「ECS」のアップデート「Anywhere」を発表している。全体的なコンセプトは、これらのプラットフォームを顧客が実行できる環境を増やすことだった。

同プラットフォームのパブリックバージョンは昨年9月に発表。VMwareのプラットフォーム「vSphere」を利用したオンプレミスでの実行に焦点を当てていた。

 

「Google Distributed Cloud Virtual」

Googleの取り組みは、急速に拡大中のGDC(Google Distributed Cloud)エコシステムを中心に展開されている。先ごろベアメタル版「Google Anthos」と「VMware vSphere」をGDCに取り込んだサービス、「GDC Virtual」を発表した。

GDC Virtualの提供形態はソフトウェアとサービスのパッケージのみとなっている。顧客企業はオンプレミスに自社のベアメタルハードウェアを設置してこれをホストする。

Google Cloudのアウトバウンド製品管理ディレクター、リチャード・セローター(Richard Seroter)氏がSDxCentralへのメールで説明したところによると、ターゲットにしているのは「特定のハードウェア要件、セキュリティ要件、ローカリティ要件があるためにオンプレミスのデータセンターで運用するのがベスト」という企業だ。

GDC Virtualの前には「GDC Edge」「GDC Hosted」が発表されている。

GDC Edgeは4月に一般提供が開始されており、ターゲットは5GC/RANの資産をエッジで運用したいと考える通信事業者だ。ハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントが含まれる。

GDC Hostedは機密性の高いワークロード向けに作られており、厳格なデータレジデンシー要件、セキュリティ要件、プライバシー要件のある公共セクターの顧客や営利団体を支援するサービスとなっている。完全に顧客が管理するもので、インフラ、サービス、API、ツールの管理に当たってGoogle Cloudに接続する必要はない。

 

ベアメタルKubernetesの人気

オンプレミスやベアメタルのブームに乗っている企業は他にもある。

VMwareは6月下旬、主力製品の「vSphere」「vSAN」をアップデート、オンプレミスやプライベートクラウド環境で運用するプラットフォームの管理をし易くした。Kubernetes に特化した「VMware Tanzu Standard」を利用して、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジロケーションでコンテナベースのアプリケーションを管理・実行できるようにしている。

エリクソンは仮想化インフラを運用するよりも簡単であるとして、通信事業者向けにベアメタル上でKubernetesを実行するコストメリットを提案している。

「ベアメタルインフラ上でKubernetesを運用した場合に(総所有コストで)優位性があるのは、主に繰り返し発生するソフトウェア費用が少ないためです」。エリクソンは自社ブログで述べている。「ベアメタルインフラソリューションには仮想化レイヤーがありません。このためソフトウェア料金が少なく、41%のコスト削減も可能です」

https://www.sdxcentral.com/articles/analysis/amazon-google-boost-kubernetes-bare-metal-bandwagon/2022/07/

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on containers, lifecycle service orchestration, cloud automation, and DevOps. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

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