米調査会社シナジーリサーチグループ（Synergy Research Group：SRG）によると、第2四半期の企業によるクラウドサービスへの支出額は前年同期比で29%急増し、547億ドル（約7兆3,980億円）に達した。

第2四半期はクラウド利用のそうした実際の伸びよりも、マクロ経済による影響が大きかったという。「各国の市場データを米ドルで集計すると、年間成長率は為替変動の影響で6ポイント以上低下しています。下落幅の半分以上が第2四半期によるものです」。SRGのチーフアナリスト、ジョン・ディンズデール（John Dinsdale）氏が説明している。

「各社の決算報告で明らかになったように、世界のクラウド事業者が今起きている為替レートの変動の影響を免れることはありませんでした」と氏。

とはいえ、為替市場の混乱をよそにクラウド市場自体は業界大手のAmazon Web Services（AWS）、Google Cloud、Microsoft Azureがけん引する形で急成長を続けている。

第2四半期は3社で世界市場の65%を占めた。前年同期の61%からの増加だ。3社の優位性はパブリッククラウド市場だけを見ても明らかで、合わせて72%という圧倒的なシェアを握っている。

その他のプロバイダーの合計売上高も2018年以降150%あまり伸びているが、3社の実力と成長率の高さに押され、2019年には合わせて49%のシェアを持っていたのが35%まで減少している。

全体としては、クラウド市場は今後も主要セグメントすべてで大きく成長するというのがSRGの予測だ。「表に現れていないクラウド利用の伸びが実に驚くべき速度で続いているという事実に変わりはありません。その結果、ハイパースケールデータセンターの新設とデータセンター向けのハードウェアおよびソフトウェアへの支出水準に明らかな加速が見られました」。ディンズデール氏は書いている。

AWSが市場シェア34%を獲得

報告では、世界のクラウドサービス市場におけるAWSのシェアが1ポイント余り増の34%近くになったことに触れている。

AWSの第2四半期の決算報告ではクラウドの売上は33%増となっており、前四半期の成長率37%を下回った。

とはいえ、CFOのブライアン・オルサフスキー（Brian Olsavskey）氏は同社の今後について楽観的な見方を保っている。「AWSの収益成長は再加速しています。お客様がクラウドへの取り組みを拡大されており、AWSが選ばれているためです」と決算電話会議で話している。

Microsoftは21％のシェアを確保

SRGの報告では、Microsoftのクラウド市場シェアは前四半期の22%から21%に減少している。一方、Microsoftは直近の決算電話会議で大きな成長を遂げたとアピールした。

同社では「インテリジェントクラウド」の売上が209億ドル（約2兆8,260億円）に達し、前年同期比20%増を記録した。決算電話会議の記録によると、特にサーバー製品およびクラウドサービスの売上が前年同期比で22%の大幅成長を遂げたとし、「Azureおよびその他のクラウドサービスの売上高が40%増となったことがけん引役となった」と話している。

Googleは10%で奮闘

Google Cloudの市場シェアもわずかに増加、10%強となった。SRGはこれを「重要な成長」だとしている。

米アルファベット（Alphabet）の決算報告では総売上高は697億ドル（約9兆4,250億円）で、そのうちGoogleの各種クラウドサービスの売上高はわずか63億ドル（約8,520億円）だったが、前年同期比では35%増となっている。

とはいえ、Google Cloud社では依然として8億5800万ドル（約1,160億円）の損失を計上しており、前年の赤字幅より45%拡大している。アルファベットCFOのルース・ポラット（Ruth Porat）氏は、「（Google Cloud社は）長期的な成長を支えるための投資を行っています。当社で把握している良い面を踏まえ…（中略）…黒字化への道筋を見据えています」と話している。

https://www.sdxcentral.com/articles/analysis/amazon-microsoft-google-lead-q2-cloud-growth/2022/07/