アップルの衛星対応iPhone、NTN普及の呼び水に

米アップルがiPhone14の衛星経由の緊急SOS機能の対応地域をイギリス、フランス、ドイツ、アイルランドにも拡大すると発表した。これによって信頼性の高い通信のカバレッジを遠隔地に提供する市場機会の存在にスポットが当たるとともに、5G NTN(非地上系ネットワーク)に向けた5Gなどの3GPP仕様策定が進められていることの意義が高まったという。英TTPグループのNTN担当先進技術リード、ピーター・キブツ(Peter Kibutu)氏が語った。
キブツ氏は同社の5G NTN部門に所属、既存/新規の衛星事業者、通信事業者、ネットワークベンダー、端末メーカーと共にNTNの展開、商用化に取り組んでいる。5G NTNについては実現可能かという点で憶測が交わされていたが、ここ数年で通信大手Tモバイル(T-Mobile)が宇宙開発企業スペースX(SpaceX)と提携、マイクロソフトが衛星向けプラットフォーム「Azure Space」をアップデート、スペインの5G ナローバンドIoT(NB-IoT)衛星事業者サテリオット(Sateliot)が初の衛星打ち上げを控えるなか、その様相は様変わりした。今回のアップルの発表以前にも、宇宙に進出しようと競争する通信業界ではおびただしい関連ニュースが飛び交っている。
「アップルやTモバイルが早期に動いたことで、いずれは多くの行動を喚起することになるでしょう。2023年にはさらに多くの提携が発表されると見ています」。米SDxCentralの取材に対してキブツ氏が語っている。「現在は『準NTN』の実装に注目しています。アーリーアダプターを刺激することを目的としたもので、これが無ければ別途衛星電話を購入しようという気を起こす人はいないでしょう」
早期導入に伴う「トレードオフ」
アップルが本機能を提供することで、ネットワーク構成規格のマッピングに必要となる「トレードオフ」がどのようなものかについての理解が進むだろうと氏は指摘する。
「アンテナのサイズとフォームファクタが非常に重要になります」。「地上(通信)とは異なり、アンテナ性能と衛星サービス提供の経済性との間には直接的な相関があります。リンクの片側が貧弱なアンテナであればネットワーク全体の容量に影響を及ぼします」
さらに、NTNー地上ネットワーク間をスムーズに移行できるように開発を進めるうえでは、ユーザー視点での使いやすさが重要なポイントになる。
「それからサービスの提供リージョンです。非静止軌道全体をカバーするには非常に多くの衛星コンステレーションを打ち上げ、運用する必要があります」と氏。「早期参入企業はまずコンステレーションの部分的な運用から始めるでしょう。カバレッジの面で波及効果が出ることになると思います」
キブツ氏は「リリース17のNTN仕様を利用したチップセットが入手可能になれば、それが臨界点になるでしょう。2023年の話です。2024年には真に5G NTNに対応した端末の採用が可能になります」と話す。
「大手メーカーの対応端末がマスマーケットに登場すれば、準NTNネットワークの実装から方向転換して真の5G NTNによる大きなスケールメリットを目指すチャンスになります。そうなれば5G NTNの新機能がベルトコンベア式に次々と登場するでしょうし、リリース18などに伴って新しい展開もあると思います」
Apple Satellite-Enabled iPhone Will ‘Galvanize’ NTN Adoption

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

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