5G FWA=企業の関心は変わらず高いのか
米国の5G FWA(固定無線アクセス)需要があいかわらず堅調だ。TモバイルUSやベライゾン、AT&Tが決算を発表し、各社の5G FWA事業がいずれも成長していること、需要を最も押し上げているのは法人市場だということがわかった。
その傾向が最もよく表れているのがベライゾンだ。第2四半期は法人向けFWAサービスの接続数を16万件伸ばし、5G FWA全体の増加分のうち42%を法人ユーザーが占めた。3分の1程度だったところから大きく伸びている。
「サービスへの需要は高まっています。中小企業様にも大企業様にも、サービスの信頼性、導入の速さと簡単さ、両方にご安心いただいています」。決算説明会で、CFO(最高財務責任者)のTony Skiadas(トニー・スキアダス)氏が投資家に語った。
Hans Vestberg(ハンス・ベストベリ)CEOは以前、第1四半期の決算説明会で、法人向け5G FWAサービスが顧客独自のユースケースを促進していると述べている。
「法人向け事業では、以前にはなかった新しいユースケースが登場しています。コーヒーショップで有線ネットワークをやめてFWAを導入されるケースから、大企業様がさまざまなユースケースで実際にFWAに移行されるケースまで、実にさまざまです」
TモバイルUS、AT&Tも法人市場に熱意
TモバイルUSでは第2四半期、5G FWA接続数が560万件を超えた。個人向けがひきつづき最も伸びている一方で、法人向けの需要が今後高まると予測している。
「法人向けでは、今後もそうした機会がたくさんあるかもしれないと考えています」。第2四半期決算説明会で、Mike Sievert(マイク・シーベルト)CEOが投資家に説明した。
法人向け事業担当プレジデントのCallie Field(カリー・フィールド)氏も、FWAは中小企業向けでも売上が伸び続けていると補足している。
TモバイルUSでは最近、シスコ製品に加えてクレイドルポイントの機器をラインナップに追加した。法人向け5G FWAサービスに力を入れ、同市場でのポジションを強化している。
AT&Tの経営陣も、法人向け5G FWA事業を伸ばそうという熱意を表明している。この分野に関しては最も新参で、事業の規模もまだ小さいが、CFO(最高財務責任者)のPascal Desroches(パスカル・デローシュ)氏は、法人向けに成長機会があると述べている。
John Stankey(ジョン・スタンキー)CEOが詳細を説明した。法人顧客の利用の仕方は個人市場とは異なることを踏まえ、5G FWAを提供するケースを慎重に選んでいくという。
「当社としては、(中略)ふさわしい企業様が購入を希望されるのであれば、販売していく予定です。現時点で容量があるかは関係ないということです」と氏。「法人向けサービスは(個人向けとは)別物です。利用の仕方も違いますし、収益の出方も違います。また、複数のサービスをどのようにバンドルして提供するかに関しても、あり方が異なります」
そうした違いがあるために、法人向けに5G FWAサービスをさらに拡大していくことで利益が見込めるのだと語った。
「当社が法人向け市場でさらに規模を拡大していくのをご覧いただけるでしょう」と氏。「法人向けについてはまだ販売ルートを調整しているところですが、向こう数四半期のうちに、このセグメントの数字が伸びていくところをご覧いただけると考えています」
5G FWAという分野には限りない成長の可能性がある。妨げになる要素があるとすれば、1つはネットワークの完全性に関する問題だ。3社の最高幹部がいずれも回答をせまられた質問は、大量のFWAトラフィックを支え続けられるのかというものだった。FWAの使用量については、従来のスマートフォンによる月間トラフィックの10倍を超えるケースも報告されている。
ベライゾンのVestberg氏は、5G FWAの接続数が当初の上限である400万件から500万件に近づいてくるようなら、成長予測を見直すと話している。(TモバイルUSの)Sievert氏も同じように回答しており、(AT&Tの)Stankey氏は、収益性に基づいた5G FWA成長計画についてあくまで説明した。
米ABIリサーチが最近発表した予測によると、世界のFWA市場は2029年まで年平均成長率14%で成長し、接続数は2億6,500万件近くに増加するという。ただし、全セグメントの成長を支えていくには、ネットワークの完全性が重要なポイントになると指摘した。
「FWAは性能が高く、効率的です。もっと(通信で)つながった社会へ、という需要が拡大し続けるなか、インターネット接続の格差を埋めるうえでも、法人、個人両方に対して高速かつ信頼性の高いインターネットアクセスを提供するうえでも、重要な推進力になっています」。アナリストのLarbi Belkhit(ラルビ・ベルキット)氏が述べている。
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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