スマートプラグは過剰消費を終わらせる鍵となるか?

気候変動問題の一筋縄ではいかない側面の1つは、世界の産業が過剰消費によって繁栄しているところだ。食品、ファッション、エネルギー、電子機器、そのほか何であれ、世界経済は人々が余分にモノを消費することで成り立っている。
米WattIQ(ワットアイキュー)のPriya Vijayakumar(プリヤ・ヴィジャヤクマール)CEOは、産業界の慣習を変え、すでに持っている資産をもっと有効活用する方向に転換したいと考えている。提供するのは機器のエネルギー消費を監視・制御するスマートプラグ製品だ。
「今よりも持続可能性の高い経済を実現するためには、私たちは消費を減らし、廃棄物の量を削減していかなくてはなりません」。Vijayakumar氏はSDxCentralの取材に対して語った。「現在は世界人口の25%で世界の資源の75%近くを消費しています。もし誰もが同じように消費を始めたら、文字通り惑星がもう1つ必要になるでしょう」
こうした非効率や過剰消費が続いているのは、世の中の機器が実際にどれだけのエネルギーを使用しているかを示す正確なデータがないせいも多分にある。
冷凍・冷蔵機器や空調システムユニットなど、エネルギーを大量に消費する多くの機器は「停止させることができません」と氏は言う。「私たちが見かけるようになったのは、ゼロックスのコピー機の電気を節約しようとして、午後6時から午前6時の間は電源を切ったりするようなことでした。でも、そのコピー機はほとんど使われていないというのが興味深い点でした」
WattIQは企業がこの問題に取り組むのを支援する。資産ライフサイクル全体を考える観点からカーボンフットプリントについても検討できるようにするのだ。氏によると、WattIQは当初スマートプラグ技術をエネルギー管理に応用していたが、もっと深く機器の使用状況と状態に関する判断情報を提供する方向に転換したという。
これによって「機器の寿命だけでなく、エネルギー消費量にも影響をもたらすことができます」と氏は説明する。
非効率な機器、不十分なデータ
WattIQが最初に力を入れた業界の1つは研究所だった。通常こうした施設には物理的にスペースを取る設備が多く存在するため、個々の消費電力が少ない場合であっても多くの資源を消費する。「設備の使用率に関しては10%台前半だということが往々にしてありました」と氏は言う。
「いわゆるエネルギー効率の良い設備をたくさん目にします。ところが、実際にはデータシートに記載されている値のほとんど2倍を消費していると分かることもよくあります。ですが、これまではそうしたデータがありませんでした」
研究所でよく見られ、一般に新型コロナワクチンの保存に使われる-80℃の冷凍庫も例に挙がった――施設側の想定の2倍近くのエネルギーを消費するのだという。
「でも、データがなかったですよね。そして、データこそが人々の消費に対する取り組み方を変えていくと当社は考えているのです」。WattIQによれば、顧客企業に正確なデータを提供することで、既存の資産を十分に活用するというより良い決断を助けることができるという。
「お客様は、もしかすると新しい建物を建てる必要はないかもしれないといったことに気付かれます。既存のスペースを(これまでよりも)効率的に使用することが可能だからです」
環境フットプリントや環境影響に対するこうした意識が生まれれば、環境や気候変動に対するプラスの効果をもたらす可能性が高いだけでなく、ビジネス上の価値にもなる。「いわばWin-Winの関係です。地球を守るとともに、驚くほどの業務効率が手に入ります。こうしたデータを取得した結果です」。Vijayakumar氏は言う。
資産のフル活用は、産業界が利益のための過剰消費から脱却するというはるかに広範な変化のごく一部に過ぎない。氏によると、企業は環境への取り組みを誓い、実施しているが、意義のある気候変動対策を行うには「あらゆる面でビジネスモデルを劇的に変える」ことが必要だという。
「これを進めるには規制が必要になる部分もあるでしょう。産業界にとってはそれほど大きな変化です。大変なのはそのためです――何の価値も得られないからではありません。もっともっととモノを売ることで収益を上げてきた巨大企業に挑戦しているようなものなのです」。氏は説明している。

Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering environmental sustainability and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering environmental sustainability and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.
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