HPE社の第3四半期は「Aruba」がけん引＝サプライチェーン問題が続くなかで

ヒューレット・パッカードエンタープライズ（HPE）では2021年度第3四半期、サプライチェーンの課題が続いたにもかかわらず、インテリジェントエッジ事業部門「Aruba」が際立った業績を収めた。

「HPEは第3四半期、受注の増加、利益率の拡大に加え、フリーキャッシュフローが記録的なプラスとなるなど、非常に素晴らしい結果を出すことができました」。CEOのAntonio Neri氏は2日の決算発表で語った。「先を見越した在庫管理を行い、サプライヤと緊密に協力し合い、当社が持つ最高クラスのエンジニアリング能力を活用して具体的な対応計画を策定しました。これによって業界全体の供給制約を緩和しつつ、こうした結果を出すことに成功しました」

昨今の半導体不足によるサプライチェーンの制約は業界各社の業績に影を落としており、多くのハードウェアベンダーがリードタイムの増加や部品費・単位原価の上昇を報告している。こうした難題があったにもかかわらず、HPEは第3四半期、為替調整後の前四半期比で3％増となる69億ドル（約7,570億円）の売上を上げた。前年同期比では2％減となっている。

また、ARR（年間経常収益）は33％増の7億500万ドル（約770億円）だった。純利益も引き続き回復を見せ、前年同期がわずか900万ドルであったのに対し、第3四半期は3億9,200万ドル（約430億円）を上げている。

Neri氏によると、安全な接続に対する需要が高まっていることで、インテリジェントエッジ部門の売上は前年同期比で27％押し上げられたという。また、「昨年第3四半期末の5倍」の受注残が発生している。

HPE、AIとHPCでビジネスチャンスを狙う

第3四半期、インテリジェントエッジ事業がどのセグメントよりも高い成長を遂げた一方で、HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）事業とミッションクリティカルサービス事業も前年同期比で約9%の成長を見せている。この3つの製品セグメントの売上で総売上の25％近くを占めている、とNeri氏は胸を張る。

「あらゆる規模の企業でHPCやミッションクリティカル対応能力に対するニーズが高まっています。AIやビッグデータ分析の需要に加え、データ量が急増しているためです」とNeri氏は言う。

昨年末に「GreenLake for High Performance Computing」プラットフォームを発表し、今夏には米Determined AIを買収したことで、HPCはHPEにとって重要な成長分野となった。HPEは前者のおかげで米国家安全保障局（NSA）にHPC能力を提供する20億ドル（約2,190億円）の契約を獲得している。契約は10年間に及び、NSAはAIや機械学習の利用を拡大し、増え続ける生データからより詳細な知見、分析結果、予測を得ることが可能になる。