IoT
文:Matt Kapko

AWS社幹部、IoTという用語は消滅すると予測

AWS社幹部、IoTという用語は消滅すると予測

Sarah Cooper氏はIoTと、以前からあるM2M(Machine-to-Machine)の世界を進歩させようと、少なくとも13年間に渡って取り組んできた人物だが、同技術を指すこの名称は消滅間際にあると考えている。

Amazon Web Services(AWS)社で成果指向エンジニアリング(Outcome Driven Engineering)担当GMを務める同氏はSDxCentralの電話インタビューで、「IoTという用語はなくなると思います。モノのインターネット(IoT)は、今の時代だけのスナップショットのようなものです。今後は基本的に、あらゆるものが接続していくことになるからです」と語った。

そうした進化は、モノがデジタル化することや、接続した機器がデータを補足・生成するのに加え推論する機能を持つことで、ユーザーや企業がメリットを得られることが原動力となって進んでいる、と氏は説明する。

「もはや議論されているのは、モノを接続する必要があるということだけにとどまりません」。むしろ、接続した製品や機器が、どのように事業価値に貢献しているかということなのだ、とCooper氏は話す。そのため企業との対話の焦点は、企業が得たい結果や、それを促進するためにどのように各種機器をパッケージ化するべきか、そうした機能をどこに置くべきかといったことに移っている、と氏は付け加えた。

AWS社にとっては、企業のIoT用リソースをアベイラビリティゾーンに置くべきか、「AWS Outpost」に収容するか、それとも「Wavelength」(AWS社の急成長しているエッジコンピュートサービス)と組み合わせた5Gネットワーク上に置くかを判断するということだ。

 

通信事業者のIoTにおける役割が進化

「通信事業者各社はここ数年、IoTを、販売できるもう1つのユーティリティ、デバイスへのダイヤルトーンのようなものだと考えてきました」とCooper氏。「私たちが学んだのは、IoTを可能にする技術は、重要なゲートキーパーではあるが、それだけでは完全なソリューションにはならないということです」

5Gとモバイルエッジコンピューティングは、たくさんの技術レイヤーが前もってIoTに組み込まれていることに伴う複雑性と摩擦を軽減するのに役立つ、と氏は話す。また、接続、デバイス管理、セキュリティは現在、個別の製品ではなく機能としてサービスセットに組み込まれている、と補足した。

5Gがデータのエクスペリエンスと流れをさらに標準化・シンプル化していくことでIoTの発展への原動力を強化していく一方で、5GだけでIoTが抱える根本的な課題を克服することはできない。モバイルネットワーク事業者、ベンダー、デバイスメーカー各社が、あらゆるものをあらゆる場所で接続するというビジネスチャンスを15年以上に渡って目標にしてきており、成功の度合いはまちまちだ。

米調査会社ABI Research社が今年警告したところでは、IoTの成長を後押ししている大規模な産業の多くでも、COVID-19の世界的パンデミックのなか支出が引き締められ、短期的な下り坂を迎えているという。

Cooper氏によると、AWS社の多くの役割の1つに、サプライチェーンのような細分化された環境でデータを統合し、データの流れを根本的に変え、物流会社やサプライヤーがそのデータに基づいて予測やレコメンデーションを行えるようにすることがあるという。

「私たちは、こうしたプロジェクトに巨大な技術基盤をもって取り組んでいます。Amazonが製品レベルでどのようにイノベーションを起こすかという方法論は、これまで製品企業ではなかった企業にも役立ちます」と氏は言う。

「当社のほとんどのパートナー通信事業者は、本当の意味での製品企業ではありません。彼らも私の意見に反対ではないと思います。ですが、こうした新しいデジタルサービスが持つ能力を得て、彼らは製品企業になっていくのです」とCooper氏は続けた。「今、彼らは製品のライフサイクルというものについて全体観をもって考える必要があります。また、自社製品のライフサイクルについても考える必要があります。それが彼らの顧客の製品ライフサイクルに関わってくるからです」

 

「ワンサイズですべてに対応する」アプローチは、常に適用できるとは限らない

AWS社の目標や願望は、必ずしも企業の視点を変えさせたり、IoTの可能性について納得させたりすることではない。「私たちは、未来、ある種理想的な未来を想像することができ、それを追求することを恐れないパートナー企業を探しています。それが当社の後方支援プロセスのうち、大きな部分を占めています」と氏は言う。「それはすべての企業のDNAに備わっているものではないので、私たちはそうした最初の共同開発部分に注力しているのです」

もちろん、業界や企業によって要件やスキルセットは異なる。たとえば、企業によってはフルパッケージのサービスは必要としておらず、むしろ柔軟なツールセットを手に入れ、自社のイマジネーションや専門性をプロジェクトに反映させたいという場合がある、とCooper氏は説明する。

場合によっては、こうした要望に対してAWS社は自社のプロフェッショナルサービス部門を通じて特別な製品やカスタムサービスを開発する必要があることもある。「私たちは常に、各企業に共通する重労働を伴う部分に焦点を当てていますが、こうした部分は業界が異なれば内容が異なる、と認識しています」と氏は言う。

「ほとんどすべての業界に大きなビジネスチャンスがあります」とCooper氏は言う。「デジタル変革は、まだ期待されているほどの成果を上げていません。ということは、そうした業界すべてに潜在的に新たなビジネスチャンスが眠っているということです。いくつかの分野では、他の分野よりもデジタル改革が急務になっていると考えています」と氏は述べ、短期的な成長が見込まれる分野として、サプライチェーン、自動車、共同輸送サービスを挙げた。

AWS Exec Predicts IoT Namesake’s Demise

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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