米Broadcom、VMware事業でGoogle Cloudと提携強化
米Broadcomが9日、VMwareを買収した後に結んでいたGoogle Cloudとの提携を強化すると発表した。Google Cloud環境で実行できるVMware製品を増やし、販売促進にも力を入れる。また、以前に発表のあったVMwareライセンスポータビリティプログラムを共同で開始する時期も近づいている。
BroadcomはVMwareのワークロードを――顧客向けの製品やサービス、社内サービスともに――Google Cloudに移行する。これによって運用効率を高めるとともに、Google Cloudが提供しているVertex AIプラットフォーム を利用できるようにする。
両社はさらに、製品開発や販売、導入、サポートを支える製品部門や市場開拓部門の提携を強化する。これによって「事業の成長機会を見出し、インフラの最新化に関する顧客支援を強化する」とした。
Google Cloud Marketplaceにも、新たに「Symantec Network Protection」などのBroadcom製品・サービスが加わる。現在提供中のBroadcom製品には、「VMware Tanzu Application Service」「AppNeta」「Clarity」などがある。
「BroadcomやVMwareのソフトウェアは、企業のミッションクリティカルなワークロードの実行に利用されています。こうした製品が、Google Cloudの安全で信頼できるインフラに最適化されることになりました」とGoogle Cloudのグローバルパートナーエコシステム担当バイスプレジデント、Kevin Ichhpurani(ケビン・イチプラニ)氏が述べている。「当社はBroadcomと協力し、ユーザー体験を向上させていきます。生成AIによる運用の効率化に加え、VMware Cloud Foundation(VCF)のユーザー様に向けたライセンスポータビリティを提供いたします」
Google Cloudが(いずれは)VCFのライセンスポータビリティに対応
Broadcomは今回、既に発表していた「Google Cloud VMware Engine」プラットフォームがVCFのライセンスポータビリティに対応する件についても改めて紹介した。時期については――「までに」という言葉の解釈次第では――想定よりわずかに遅れることも考えられる。
Broadcomは当初、Google Cloud VMware Engineの対応時期は「2024年4月から6月期」になるとしていた。末日であれば6月30日だ。今回の発表では、「7月までに提供開始」としている。
いずれにしても、ハイパースケーラーの中でもGoogle Cloud VMware Engineが最初に対応することとなる。ユーザーはオンプレミス環境へのソフトウェア導入以外にも、ハイパースケールクラウド環境を同じサブスクリプションで利用できるようになる。VCFの既存顧客は現在のサブスクリプションの残りをGoogle Cloud VMware Engineに移行・充当できるほか、VCFを完全に統合したGoogle Cloud VMware EngineをGoogle Cloudから直接購入することも可能だ。
「移行の際にもライセンスのサブスクリプションをそのまま保持できます」VMwareのマーケティング担当バイスプレジデント、Prashanth Shenoy(プラシャント・シェノイ)氏が説明している。
ライセンスポータビリティに関するこうした変更については異論も多い。以前のVMwareは永久ライセンスモデルで事業を行っていたのだが、BroadcomがVMwareを買収してすぐに廃止、移行が発表された。これは市場の動揺を招く結果となっている――アナリストらによれば、長らく永久ライセンスモデルを利用し、自社の業務にVMware製品を深く組み込んできた企業に大きな混乱が起きているという。
Shenoy氏はSDxCentralによる最近の取材で、価格設定の変更について顧客に説明するのは簡単ではなかったと認めている。
「多くのお客様が永久ライセンスを利用されていました。サブスクリプション契約に移行する際には、価格モデルがまるで違うものになります。永久ライセンスの頃に当社が受け取っていたのは主に更新費用とサポート費用で、コア数単位でのサブスクリプション料金とは運用コスト構造が大きく異なるものでした」と氏。「価格の変更に対してお客様が値上げと感じられたのは、そのようにリンゴとオレンジを比較するような状況になっていることが主な理由です。永久ライセンスのサポート費用を支払っていたのに、サポートを含めたライセンス費用を支払うことになってしまった、それも年間サブスクリプションで。お客様からすれば、そのような価格変更に見えるのです」
一方、Shenoy氏は次のようにも述べている。「お客様に対し、真の柔軟性と、投じた資金を無駄にしないで済む保護を提供できるものになっています。1度ライセンスを購入して好きな場所に導入した後は、次の日にでもお好きなマネージドサービスプロバイダーの環境に――当社がサポートしている事業者になりますが――移行することも可能です。マネージドサービスとしてデプロイする際に、VCFポッドの料金をお支払いいただく必要はありません」
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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