ネットワーク
文:Tobias Mann

シスコ、オンデマンドWAN戦略でサウザンドアイズに期待

シスコ、オンデマンドWAN戦略でサウザンドアイズに期待

ネットワーキング大手のシスコはSD-WANサービスの提供範囲を拡大するべく、この1年半の間にコロケーションベンダーやパブリッククラウドプロバイダとの提携を数多く発表してきた。

シスコでエンタープライズクラウド・SD-WANプロダクトマネジメント担当シニアディレクターを務めるRaj Gulani氏によると、こうした提携は、昨年買収したサウザンドアイズ社のプラットフォームを活用して任意のWANでルーティングポリシーを作成するというはるかに大きな目的の基盤になるものだという。

 

シスコのオンデマンドWAN戦略

シスコはこれまでに、Google Cloud、Microsoft Azure、Amazon Web Services(AWS)、Equinix、Megaportとの提携を発表している。

Gulani氏によれば、既存のSD-WANファブリックを企業データセンター外のワークロードに拡張する方法がほしいという顧客やパートナー企業の要望からこうした提携が生まれたという。

顧客は単一のクラウドに縛られたくないし、クラウドへのワークロード展開は既存の人材で対応したいと考えている、と氏は言う。「あとは、『いかにして安全に、確実に展開するか』という話になります」

シスコはコロケーションプロバイダやクラウドプロバイダと提携することで、ワークロードへの直接最適化ルーティングを提供するとともに、これらのプロバイダの各データセンターを結ぶ巨大かつ高性能なバックボーンネットワークを活用することを可能にした。

「ワークロードを置いているクラウドにSD-WANを拡張することができれば、クラウドをトランジットネットワークとして利用することができます」とGulani氏は言う。「私たちは、MegaportやEquinixといったソフトウェア定義型の相互接続ベンダーと提携、自動化し、GCP(Google Cloud Platform)のバックボーンを開放したことで、非常に包括的なSD-WANプラットフォームを提供することができるようになりました」

これにより、シスコのSD-WANプラットフォームでは実質的にアンダーレイネットワークを自動構成できるようになった。これは本質的にはオンデマンドWANだ。

この戦略を取った結果、シスコはSD-WANプラットフォームの価値をあらゆるトポロジーに提供し、ワークロードがクラウド、コロケーション施設、プライベートデータセンターのいずれで稼働しているかを問わず、いずれの顧客もサポートできるようになったとGulani氏は言う。

「オーバーレイファブリックオーケストレーション、可視性、ポリシーに加えて、アンダーレイも提供できるようになりました。つまり、真のエンドツーエンドのファブリックオーバーレイ、ファブリックアンダーレイを提供し、その制御をエンタープライズのお客様に提供できるようになったのです」と氏は言う。

 

可視性に関する課題

氏の説明によると、この戦略によってMPLSやブロードバンドに代わる高性能かつ柔軟性の高い選択肢を顧客に提供できるようになった一方で、ネットワークの可視性に関しては新たな課題が発生したという。

シスコは2020年初頭に米サウザンドアイズを10億ドルで買収した。今年にはサウザンドアイズ社のネットワークパフォーマンス監視エージェントをViptela SD-WANアプライアンスと連携させている。

「当社にはインターネットの可視性がないため、サウザンドアイズは全体を完成させるうえで非常に重要な資産となりました」とGulani氏は言う。「インターネットは主要なWANリンクの1つであるため、企業WANの外にあるあらゆるものが今日ではじっさい企業全体に影響を及ぼします――当社が可視化できていない部分です」

この統合によって、顧客はネットワーク上でトラフィックをどのようにルーティングするかについて十分な情報を得たうえで決定できるようになった、と氏は説明する。「インターネットリンクはMPLSリンクと比べて、GCPやMegaportと比べて、何を提供してくれるのかということです」

とはいえ、パフォーマンスを定量化し、ネットワークの障害を特定することは、サウザンドアイズ製品がシスコのSD-WAN顧客に提供できることの第1歩にすぎないという。

 

ループを閉じる

Gulani氏によると、このレベルの可視性があれば、サウザンドアイズ製品によってSD-WANポリシーを通知したり、パフォーマンスの向上あるいは障害回避のためにトラフィックを再ルーティングしたりすることができるという。

「これをさらに発展させることができるのは、閉ループテレメトリです」と氏。「何かが見えた時に報告できれば、それに基づいて行動することができます」

そうした機能はまだ利用可能にはなっていないことをGulani氏は認めているが、シスコはそう遠くない将来にこの機能を提供しようと取り組んでいる。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/cisco-looks-to-thousandeyes-for-wan-on-demand-strategy/2021/08/

Tobias Mann
Tobias Mann Editor

Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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