5G
文:Dan Meyer

Cisco社、楽天の仮想ローミングの道を開く

Cisco社、楽天の仮想ローミングの道を開く

楽天モバイルの顧客が(ライバルでもある)KDDIの全国に広がるネットワークにローミングできる、ネットワーク間ローミングサービスをCisco社が提供し、楽天モバイルの稼働後間もない4G LTEネットワークのリーチを拡大させた。この動きはまた、楽天モバイルの5G計画に対するCisco社のサポートを深めるものでもある。

Cisco社はこの仕事で、通信標準化組織3GPPが策定したシグナリングインターフェイス規格「S10」をベースにしている。Cisco社は楽天モバイルのため、Virtual Ultra Packet Core内でこのインターフェイスを実行し、楽天モバイルとKDDIのネットワーク間のモビリティ管理エンティティ(MME)を接続している。MMEはユーザーのデータセッションを追跡し、同ネットワーク間でのセッションの引き継ぎを支えている。

データパスは、CUPS(Control and User Plane Separation)アーキテクチャを支えるCisco社のVNF(仮想ネットワーク機能)「SAEGW(System Architecture Evolution Gateway)」とKDDIのネットワークを接続することで管理されている。CUPSにより、通信事業者はEPC(進化型パケットコア) を1か所(例えば国の中央)に一元的に置くことができる制御プレーン内に分離し、サポートするアプリケーションに近い場所にユーザプレーンを配置することが可能になる。このアーキテクチャは5Gネットワークには必須とされており、4G LTEネットワークにも導入できる。

楽天モバイルとKDDIのネットワークはすでに3GPPに基づいたS8インターフェイスで接続されており、このインターフェイスはコアネットワークに配置されたSAEGWのVNFを接続し、ユーザーデータを転送するのに利用されている。

Cisco社のサービスプロバイダ・モビリティ事業の責任者であるKishen Mangat氏は、SDxCentralのインタビューで、今回の作業では「真の本番サービスを提供するにあたって、悪魔は細部に宿る」ことが示されたとしている。

「楽天モバイルはKDDIのネットワークとのS10統合を利用して、真の本番グレードのサービスを提供しています」とMangat氏は言う。「それこそが今回の発表の意義です。楽天のアーキテクチャでこれを実現するために必要だったあらゆるリソースを使い、大規模なネットワークを実現したことです」

また、Cisco社はKDDIと協力して同社の5Gやネットワーク仮想化の取り組みにも臨んでいる。取り組みの1つには最近完了したPoC(概念実証)があり、Cisco社のUltra Packet Coreプラットフォームでクラウドネイティブソフトウェアの実証がなされた。

Cisco社は、T-Mobile US社と5Gスタンドアロン(SA)ネットワークで行ったのと同様のネットワークアーキテクチャの領域に楽天モバイルとKDDIを引き込むことに注力している、とMangat氏は述べた。

「そこまで両社を持っていきたいと考えています」と氏は説明する。「両社の4G・5Gのネットワークが共通のプラットフォーム上に存在し、シームレスな相互作用が可能になるということです」

 

楽天モバイルの5Gの旅

楽天モバイルは第2週、完全仮想化グリーンフィールドネットワークを立ち上げた。同ネットワークはコンテナなどのクラウドネイティブインフラストラクチャ上で動作し、オープンな無線アクセスネットワーク技術を使用している。CTOのTareq Amin氏によると、このネットワークアーキテクチャは従来の通信インフラよりもコストが40%低く、運用コストはさらに節約できるという。

同社は、Airspan社、Altiostar社、Cisco社、Intel社、Mavenir社、NEC、Nokia社、Red Hat社、Qualcomm社など多くのベンダーと協業している。3月末までに日本全国に4,400の基地局を配備し、来年中には少なくとも8,600の基地局を設置する計画だ。年央までには5Gサービスを開始する予定でいる。

日本の既存の携帯電話事業者であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社は、いずれも5Gネットワークの稼働を始めている。これらの事業者は、2024年までに合計144億ドルを各々のネットワークに投資することを約束している。同国最大の通信事業者であるドコモは71億ドルの投資を約束し、最も大きな負担を負っている。KDDIは少なくとも41.6億ドルを投資するとしており、ソフトバンクは18.4億ドルの投資を約束し、楽天は17.3億ドルの支出を計画している。

Cisco Paves Rakuten’s Virtual Roaming Road

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

記事一覧へ