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文:Emma Chervek

サーバレス分野の勢いは減速=CNCFの市場調査レポート

サーバレス分野の勢いは減速=CNCFの市場調査レポート

2021年はサーバレスコンピューティングの領域が勢いを増した。米DigitalOceanが米Nimbellaを買収し、最近CNCF(Cloud Native Compute Foundation)のインキュベーションに応募したオープンソースのサーバレスプロジェクト「Knative」のバージョン1.0がリリースされている。とはいえ、全体としてはサーバレスアーキテクチャを導入する動きは停滞期に入ったようだ。

CNCFが委託し、米SlashDataが実施した19,000人以上のソフトウェア開発者を対象とした調査の結果によると、サーバレスアーキテクチャに取り組む開発者の数は減ってきているという。サーバレス開発者の人数は400万人強と言われているが、同レポートでは2020年は全開発者の27%を占めていたのが2021年には24%に減少している。

こうした傾向はサーバレス技術が普及に必要な柔軟性を欠いているのではないかという懸念が高まっていることや、利用側は特定の技術やプロバイダに傾倒することに消極的であることを反映した結果だという。CNCFCTOChris Aniszczyk氏がSDxCentralの取材に対して語った。

Aniszczyk氏は今後について、クラウドネイティブ界隈で「劇的な変化」がない限り、2022 年にサーバレスの導入が大きく増えることはないと考えている。

一方、この下降傾向には良い面もあると氏は言う。現在サーバレス技術が直面している最大の課題の1つ、「相互運用性や統合に関連した標準」を求める需要が促進される可能性があるのだ。

氏の説明によると、CNCFのサーバレスワークフロープロジェクトではこの問題に取り組むに当たりベンダーニュートラルな宣言型ワークフロー言語を定義しているという。プロジェクトの最終目標はワークフローを一度モデル化すればいつでもコンテナやクラウドにデプロイできるような仕様ベースの言語を開発することだ。

 

エッジ開発者はサーバレスを支持

エッジ開発者の間ではサーバレスは今も魅力的な選択肢となっている。SlashData社によると、バックエンド開発者がサーバレスを使用している割合は33%に留まるのに対し、エッジ開発者では全体の48%だ。

Aniszczyk氏の説明によると、サーバレスコンピューティングを利用すれば、「エッジにおける際限のないリソースの検討やさまざまなハードウェアの種類に悩まされることなく」大規模なサービスを展開することができるという。

サーバレス開発の市場ではAWSGoogle、マイクロソフトがシェアの大部分を占めている。最初に登場したサーバレス製品の1つである「AWS Lambda」が2021年の市場調査でもバックエンド開発者の53%が利用していることが報告され、トップの座を維持した。2位は「Google Cloud Functions」で、利用しているバックエンド開発者の人数は全体の41%となっている。「Azure Functions」は35%3位に入った。 

ただし、Google Cloud Functions2021年、前年比3ポイント減と唯一シェアを減少させている。また、AWSが競合クラウドに対して大きなリードを保つ一方で、2021年に最も勢いを増したのはGoogleの「Cloud Run」サービスだった。9ポイント拡大して導入率は30%となっている。

2022年はLambdaがリードを維持し、Google Cloud Runが勢いを加えるとAniszczyk氏は予想している。

 

Amazon、マイクロソフト、Googleがコンテナオーケストレーション市場を寡占

バックエンド開発の領域ではAmazonの「Elastic Kubernetes Service」(EKS)が競合を上回り15ポイント成長、バックエンド開発者全体の37%を獲得したことがわかった。

一方、「Azure Kubernetes Service」は9ポイント成長しバックエンド開発者の30%を獲得、「Google Kubernetes Engine」(GKE)が8ポイント成長して市場シェアは36%と僅差で続いた。

一方、広い意味での開発コミュニティではAmazonの「Elastic Container Service」が依然として最も支持されており、市場の33%を占めている。GKE32%Amazon EKS30%と僅差で追う。オーケストレーションツールを使用している開発者のうち、マイクロソフトの「Azure Kubernetes Service」を利用している割合は全体のわずか25%と報告された。

なお、開発者の17%が「Red Hat Open Shift」を、12%が「IBM Cloud Kubernetes Service」を、11%が「VMware Tanzu」を使用しているという。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/cncf-report-serverless-loses-steam-goes-off-edge/2022/01/

Emma Chervek
Emma Chervek Reporter

Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering environmental sustainability and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering environmental sustainability and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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