OPEN-RAN
文:Matt Kapko

HPE社、通信事業者向け新事業部からオープンRANスタックを発表

HPE社、通信事業者向け新事業部からオープンRANスタックを発表

Hewlett Packard Enterprise (HPE) 社は2月24日、7月までに発売予定の5GオープンRAN向けソフトウェア・ハードウェアスタック「HPE Open RAN Solution Stack」を発表した。HPE製オーケストレーション・自動化ソフトウェア、RANインフラストラクチャのブループリント、オープンRAN環境の5Gワークロードに最適化したというサーバを特色としている。

HPE社はオープンRANを推し進める動きとして、昨年にも5Gコアスタックをリリースした。今回の一手でHW/SW分離型のRANという成長市場にさらに踏み込んでいく形だ。HW/SW分離型のRANはソフトウェアに加え、よりプロプライエタリでなく特化型でもない機器をネットワークのワークロードと管理に利用できることによって実現される。

また、同社はCTG(Communications Technology Group:通信技術部門)という新事業部を設立し、通信事業者向けのソフトウェアとハードウェア全てをまとめて同事業部の管理下に置いた。SVPのPhil Mottram氏が兼任でGMとなり、同部門を率いる。

 

HPE社「通信事業者は完全なスタックを求めている」

多くの通信事業者は複数のベンダーによるソフトウェアとハードウェアを組み合わせて使用することを推進しているが、HPE社CEOのAntonio Neri氏によると、より信頼性が高く統一されたやり方で必要なサービスやコンポーネント全てをひとつにできる、より統合された商品を顧客は求めているという。

「私はウィジェットと呼んでいますが、自力で組み立てなければならないようなものをお客様は好みません。彼らが求めているのは、購入してすぐに展開し、クラウドネイティブな管理ができるような完全なソリューションです」と氏は24日のプレゼンテーションで述べている。「これについて、HPEは会社全体で膨大な資産を持っていたと言えます。私たちは、自分たちがしているあらゆる仕事を1つの統合した組織にまとめるよう行動する時だと感じました。そしてアーキテクチャに取り組むことが自然な次のステップとなったのです」

HPE社によると、HPE Open RAN Solution Stackはインテントベースのオーケストレーション機能に加え、数千もの仮想マシン(VM)、数百のVNF(仮想ネットワーク機能)やCNF(コンテナ化ネットワーク機能)を管理できる、人工知能(AI)を組み込んだ自動化機能を特徴としているという。

また、オープンRANの導入はまだ初期段階にあるため、現在オープンRANで稼働しているネットワークの構成は特別にあつらえられたもので、大規模に複製することができないとHPE社は指摘する。同社では通信事業者向けインフラストラクチャのブループリントを用意しており、リスクと複雑さを軽減し、様々なベンダーが提供するより多くのソフトウェアを利用できるようにすることで、オペレータがこの課題を克服できるよう支援しているという。

また、Intel社と共同でハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを備えた仮想化RAN(vRAN)のリファレンス構成を開発しているという。Intel社はvRANに関して同様の契約を複数の5Gベンダー・オペレータと交わしており、その中にはVMWare社、Red Hat社、米Verizon社、米Dish社、また直近ではGoogle Cloud社が含まれる。

 

HPE社、通信事業者向けビジョンにvRANとオープンRANを織り込む

「当社では実際に統合ができる包括的なソリューションのセットを用意しています。コアの仮想化であれ、vRANのエッジであれ、また最終的にはWi-Fiによるラストマイル接続やマルチプロトコルのあらゆる側面に至るまで、提供が可能です」とNeri氏は言う。

HPE社はオープンRANスタックのほかに「ProLiant DL110 Gen10 Plus サーバ」、複数のベンダーが提供するオープンRANソフトウェアをサポートしたオープンな標準ベースのアーキテクチャを発表している。また、Intel社から近日発売予定の第3世代Xeon スケーラブル・プロセッサも同スタックを支える。

HPE社によると同サーバはハードウェアアクセラレーションのための複数のオプションをサポートしており、ベースバンドユニット、中継ゲートウェイ、セルサイトルータを1台のショートデプスサーバで動作させることができるという。同社はまた、同プラットフォームのエッジコンピューティングでの強みを強調している。

「当社にとってクラウドは目的地ではありません。1つの体験であり、全てのアプリケーションやデータに対して――それらがどこにあろうとも――もたらすべきものです」とNeri氏は言う。「エッジからクラウドまでのPaaS(Platform as a Service:サービスとしてのプラットフォーム)を提供する企業になるという当社のビジョンを考えると、私たちにはそうしたクラウド体験をファーエッジにまで――通信事業者のエッジだけでなく人々の生活の場や仕事場のエッジにまで――もたらすチャンスがあるのです」

氏の説明によると、HPE社の通信事業者向け事業では、インフラとそのハードウェアを仮想化するソフトウェアに加え、新しい5Gアプリケーションを支えるネットワーク機能やサービスを自動化・管理するオーケストレーションソフトウェアをネットワーク事業者に提供しているという。

Mottram氏はビデオプレゼンテーションの中で、「当社には50種類のソフトウェア製品があり、世界中の通信事業者に販売しています。また、これら50の製品は通信事業者向け専任の5000人を超えるエンジニアのチームが支えています」と述べている。「当社には通信セクターの顧客に30年以上に渡って製品やサービスを提供してきた経験があり、この分野に関して非常に強固な伝統があります」

Mottram氏によると、HPE社は70社を超える通信業界の顧客と現在精力的に交渉を行っているという。一部のオペレータとは契約を締結しており、そうしたキャリアのうち数社と共に2021年半ばには本番商用サービスを展開する計画だ。

HPE社によると、同社は160カ国300社以上の通信事業者にサービスを提供しており、少なくとも8500万台のモバイルデバイスが何らかの形でHPE製ソフトウェアに接続されているという。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/hpe-debuts-open-ran-stack-under-new-telco-group/2021/02/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

記事一覧へ