「HPE Open RAN Stack」がアップデート=自動化機能を追加
米ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)が「Open RAN Solution Stack」にRAN自動化プラットフォーム「HPE RAN Automation」を追加した。AIと機械学習を活用し、マルチベンダーRANインフラ環境のゼロタッチ管理/オーケストレーションを提供するものだ。
同プラットフォームは仮想分散ユニット(vDU)と仮想中央ユニット(vCU)のライフサイクルをオーケストレーションするもので、通信事業者が利用すればセルラー展開全体でスペクトルと無線リソースを動的に管理できる。複数のプラットフォームを利用して5Gネットワークを稼働させている通信事業者向けにはクロスベンダーのサポートも提供される。
業界団体「O-RAN Alliance」の「SMO(Service Management and Orchestration)」アーキテクチャにも準拠している。機能を分離(ディスアグリゲーション)したRAN展開の全レイヤーについて、プロビジョニング・監視・運用の方法を綿密に定めたアーキテクチャだ。ネットワークと機能の展開後はAIおよび標準インターフェースをサポート、O-RAN準拠のNon-RT RIC機能を提供する。
O-RAN Allianceは4月にリリース2を発表、SMOおよびNon-RT RICの仕様を公開した。
HPE RAN Automationプラットフォームは現在初期の試用版が提供されている。クラウドネイティブ製品としてパッケージ化されており、サービスとしての提供であるためあらゆるパブリック/プライベート環境で利用が可能だ。とはいえ、HPEの注釈によると本製品はトータルソリューションスタックの重要なパーツであり、「HPE ProLiant DL110 Gen10 Plus Telcoサーバー」向けに検証および最適化がされているという。
HPEは2020年前半に同社初の5Gコアスタックを発表、5G通信分野でクラウドネイティブな展開および技術原則を推し進める取り組みを始めた。2021年にはOpen RAN Solution Stackを発表。これにはオーケストレーション/自動化ソフトウェアとRANインフラのブループリント、オープンRAN環境の5Gワークロードに最適化されたサーバーが含まれている。
オープンRANの複雑さに関する議論
この新プラットフォームは通信事業者が行うさまざまなオープンRANインフラ展開の管理業務を支援することができるという。HPEでサービス保証およびRAN自動化の責任者を務めるStefano Capperi氏が自社ブログで説明している。
「O-RANは未来のRANで何が可能になるのかについて強力なビジョンを提供しています」。Capperi氏は書いている。「とはいえ、RANベンダーも、それよりも広範なエコシステムに含まれる企業も、まだ完全なオープンアーキテクチャを支える製品・サービスを構築する初期段階にあるというのが現実です。そのため、当社はお客様が昨今のvRANインフラストラクチャを展開・管理する上で具体的なメリットをすぐに得られ、かつ将来への明確な道筋も立てられるようにHPE RAN Automationを設計しました」
こうした思いは、オープンRANベースのネットワークコンポーネントを展開する際の複雑さが懸念材料となっていることとも関係がある。実際にネットワークに利用する準備がどの程度整っているかについてはベンダー各社の意見はさまざまだ。一方で、市場は急速に発展していると考えるアナリストもいる。
デンマークのStrand Consult(ストランド・コンサルト)社CEOのJohn Strand氏は、世界の5G展開の状況を踏まえ、短期的にオープンRANのビジネスチャンスがどの程度あるかについては懐疑的な見方をしているという。「私には、規模が小さすぎるし時期ももはや遅すぎると思えるのです。世界では現在、200近い5G 3GPPネットワークが既に稼働しています」。氏は最近開催されたIEEEのパネルディスカッションで述べている。「最近では毎月10,000台の基地局が展開されているというのが実情です」
一方で、オープンRANコミュニティに属している企業は試用版の製品やサービスを大いに誇らしげに宣伝しており、まるで実際の商用展開で受注したかのようだ、と氏は言う。
「オープンRAN分野の企業各社は定評ある通信事業者に自社のソリューションを販売するのは非常に難しいと気づくことになるでしょう」。Strand氏は締めくくっている。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/hpe-open-ran-stack-gains-automation-updates/2022/04/
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on containers, lifecycle service orchestration, cloud automation, and DevOps. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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