米調査会社MTN Consultingの最新レポートによると、通信ネットワークインフラベンダー業界の2020年第3四半期売上合計は556億ドル（約5兆7710億円）だった。前四半期までの売上合計は、世界中でCOVID-19の感染拡大第1波があり経済不安が大きく広がるなか、3四半期連続で減少していたが、同四半期でこのセクターは再び成長に入った。

とはいえ、MTN Consulting社の説明によると、前年同期比4.7%増という第3四半期の売上拡大は主にHuawei社とZTE社によるものだという。この中国ベンダー2社を除くと、通信ネットワークインフラ業界の売上は前年同期比で1.4%減少している。

こうした調査結果は、Dell’Oroグループによる第3四半期のインフラベンダー全体のパフォーマンス評価結果とも一致している。同四半期末時点でHuawei社とZTE社は市場全体の41%を占めた。

同レポートで、MTN Consulting社のチーフアナリスト兼CEO、Matt Walker氏は、「今や（5Gの）アーリーアダプターたちが十分なエビデンスをもたらしました。それを見ると、COVID-19のパンデミックが解決した後も、5Gへの道のりは長くかかるものになるだろうということが示されています」と書いている。

「野心的なマーケティングや、デバイスへの補助金があることによって早期の5G導入が促される面があるかも知れませんが、収益性にはつながらないでしょう。技術のアップグレードでよくあることですが、新しいものに急速にコミットすると、前世代の技術によるより安全で比較的高い利益率をリスクにさらすことになります」と氏は説明する。

ネットワークインフラベンダーの上位10社

MTN Consulting社はまた、2020年第3四半期のネットワークインフラベンダー上位10社を売上ベースでランク付けした。ここでもHuawei社が関連売上462億ドル（約４兆7960億円）で市場のトップに立った。この数字は2位のEricsson社、3位のNokia社の合計を上回る。

ZTE社が同四半期のナンバー4、China Comservice社とCisco社が続く。MTN Consulting社によれば、Cisco社は2020年第2四半期の5位、2年前の4位から6位に下がった。

「Cisco社は依然としてルータ市場では支配的な地位を保っていますが、通信事業者への売上が徐々に減少していることで全体の順位を下げました」とWalker氏は書いている。米CommScope社が7位に入り、以降はNEC、Intel社、米Amdocs社と続く。

Walker氏は、同四半期中に市場シェアを大きく増やしたベンダーとして、CommScope社、仏Capgemini社、IBM社、米Casa Systems社、Amdocs社、米Ribbon Communications社を挙げたが、その成長は合併・買収活動によるものだと指摘した。「Ericsson社のシェア拡大も（独Kathrein社の）買収による部分がありますが、それ以上に重要なのは、中国での5G事業に積極的に参入したことです」と説明する。

MTN Consulting社はまた、Intel社が「第3四半期で最大のシェア増加を記録した」としている。年率換算で0.6％の増加だ。「Intel社は近頃チップ開発の進行に不調が見られますが、通信事業者向けビジネスに力を入れたことで、同セグメントの売上は着実に伸びています」とWalker氏は書いている。「Intel社は通信市場での攻勢を緩めるつもりがないという明らかな気配があります」とも付け加えた。

ベンダー各社、2021年の成長に向けて

2021年に目を向けると、MTN Consulting社は通信業界の設備投資が2020年から4%増加すると予想している。そのうちソフトウェアが占める部分は20%近く増加するという予測だ。MTN Consulting社によると、モバイルネットワーク事業者各社はオープンRANアーキテクチャとハイパースケーラとの広範なクラウド連携を追求するなかで、サービスやシステム統合に関する支援をベンダーに求めるという。

「通信事業者がより多くのスタッフをレイオフし、効率性を追求していくなかで、ベンダーはビジネス機会としてネットワーク運用に対する運用コスト予算にますます注目せざるを得なくなっていきます」とWalker氏。「2020年、COVID-19と5G展開の減速はベンダーを失望させましたが、壊滅的な状況と言うには程遠いものでした。2021年には希望があります」

Huawei, ZTE Drive All Telecom Vendor Growth