米インシーゴ（Inseego Corp.）がエンタープライズネットワーキングサービスにクラウド管理機能を追加、セキュリティ機能を強化した。同市場ではSD-WANエッジデバイスに5G技術を統合しようとする動きが高まっているが、その一端がうかがえる。

新しく追加された「Inseego 5G SD Edge」はハードウェアとソフトウェアを組み合わせたプラットフォームで、屋内エッジロケーションに設置するオンプレミスデバイスとクラウドベースのサービス管理レイヤーが含まれる。分散ロケーションやエッジロケーションから接続する際の選択肢を提供することが目的だ。

同社のエンタープライズネットワーク担当シニアバイスプレジデント、リテシュ・マッカージー（Ritesh Mukherjee）氏は米SDxCentralの取材に対し、企業が同プラットフォームを利用すれば、SD-WAN接続の品質をより適切に制御できるようになると説明した。ルータのサービス品質を動的に管理、さまざまなサービスレベルの接続品質を維持できるという。

「職場に行けば使える企業Wi-Fiの信号を自宅で使えない理由は何もありません」。マッカージー氏は言う。「自宅にある会社のデバイスを会社用のWi-Fiに繋ぎ、同じセキュリティ機能、認証機能をすべて利用することが可能です。家にある他のものは既存のWi-FiやゲストWi-Fiに繋げることができます」

また、自宅に設置するルータでは5GチャネルとオンプレミスのWi-Fiチャネルの両方を利用、接続チャネルを拡大することも可能だという。

「たとえば、5Gで100 Mbpsの通信ができるとすると、自宅では200 Mbpsの通信が可能になります。Wi-Fiで100 Mbps、5Gで100 Mbpsです。これらの接続を結合して高速化することが可能です」

また、米通信大手のベライゾンやAT&Tが使用しているCバンドにも対応、5Gネットワークの帯域や到達範囲を確保している。

ベライゾンは今年、緊急支援を提供するレスポンスチームでインシーゴのデバイスを採用した。同チームはスーパーボウルの期間中、カリフォルニア州イングルウッド警察署の公共安全業務に対し機器と後方支援を提供している。

最近では、USセルラー（U.S. Cellular）がミリ波5Gサービスを展開する際に、インシーゴが屋外CPE機器の「Wavemaker」を提供している。

セキュリティについては、今回追加となったクラウド管理機能ではZTNA（ゼロトラストネットワークアクセス）機能をサポート、企業のニーズに合わせた管理が可能となっている。

「ユーザーとデバイスの検証を実施しています」とマッカージー氏。「WiFiネットワークに接続している会社のノートパソコンが実際にそのノートパソコンかどうか、MAC IDなどを使って確認します。また、そのパソコンからネットワークにログインしているユーザーが許可されているユーザーかどうかの確認も行います。その後、その人が許可されているリソースにアクセスできるよう、限られた権限を付与する流れとなっています」

5G WAN市場の拡大

インシーゴの新製品が属する市場セグメントでは、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックで人々の働く場所が分散したことから競争が激化している。マッカージー氏によると、インシーゴのプラットフォームはシスコ、ジュニパー、クレイドルポイント、フォーティネットなどの競合他社が提供している類似サービスよりも成熟しているという。

「当社の5Gポートフォリオを見ていただければ、規模の大きさに加え、当社の5G製品がすでに第4世代に入っていることがお分かりいただけるでしょう」と氏。「そうした大手企業の中には、真に5Gに対応した認証済みの製品ということになると第1世代さえ持っていなかったり、あってもルータが1種類あるだけというところもあります。当社にはこの分野での経験があります。取り組みと開発を続けてきたことで準備が整っているのです」

また、経験があることで各種機能を小さな筐体にまとめ、使いやすいプラットフォームにすることが可能になったという。

「当社がどうやってこれをまとめ上げたか、これが秘策です。5Gセキュリティと在宅勤務、オフィスの外のあらゆる場所で利用できる企業Wi-Fiを組み合わせたようなもので、当社の秘伝のソースとなる部分になっています」

https://www.sdxcentral.com/articles/interview/inseego-integrates-cloud-security-to-5g-wan/2022/07/