インテルラボ、シリコンフォトニクスと光インターコネクトに取り組む
インテルラボが今月上旬に新しく設立した研究センターでは、電気の代わりに光を利用した、従来よりも高速かつ効率的なコンピュータインターフェースの実現を目指している。
メモリ、AIアクセラレータ、GPU、ストレージデバイスといった最新のコンピュータコンポーネントはCPUソケットから放射状に伸びる複雑な格子状の電気配線で相互に接続されている。残念なことに、次世代技術が登場するたびに帯域幅の需要が指数関数的に増加していることから、こうした電気的なインターフェースは急速にボトルネックになりつつあるという。インテルラボのPHY Research Labを率いるJames Jaussi氏がSDxCentralに語った。
ボトルネックは2つの形で現れている。帯域幅のスケーラビリティの低下、高いデータレートを支えるのに必要な消費電力の増加だ。
これは決して新しい問題だというわけではない。電気が信号を運ぶことができる距離は信号が劣化して認識できなくなるより手前までに限られる。時には数千マイルの距離に渡って世界を結ぶのに使われているのは光ファイバであり、古くからある電線ではないのはこのためだ。
世界中の主要学術機関の研究者が集うインテルのResearch Center for Integrated Photonics for Data Center Interconnects(データセンター相互接続のための統合フォトニクス研究センター)では、これと同じ論理をコンピュータのインターフェースに適用し、前述の差し迫った課題への対応として、ともかくコンピュートプラットフォームに関わる部分に対処することを目指している。
具体的には、シリコンフォトニクス、CMOS回路とリンクアーキテクチャ、パッケージ統合、ファイバーカップリングなどの光I/O技術の開発を進める。
「光I/Oには、到達距離、帯域幅密度、消費電力、レイテンシといった主要な性能指標で電気を大幅に上回る可能性があります」と同社は主張している。
とはいえ、光インターフェースがすぐさま銅配線を駆逐するわけではないし、こうした開発が一夜にしてなされるわけでもない、とJaussi氏は指摘する。「プラットフォーム内には多くの電気配線が残るでしょう」
「1つの技術から――電気のことですが――光に移行する際には、特定の世代に適したポイントソリューションを用意するだけでは不十分です」と氏。「何世代にもわたって使い続けられる技術にする必要があります。この研究センターはそこに注力しているのです」
前途は有望
データセンター相互接続の限界に挑んでいる半導体メーカーはインテル以外にも多数ある。
昨年末には米Marvellが100億ドルを投じて同Inphiを買収、光電スイッチやコパッケージ光スイッチを強化した。
現代のネットワークは帯域幅と効率の改善のために光ファイバに移行して久しいが、光ファイバ技術はまだ光電気的なものだ。信号処理の前に光信号を電気信号に変換する必要がある。
コパッケージオプティクスでは、プラガブルモジュールやラインカードが一般的に備えている光インターフェースをスイッチチップのパッケージ自体に移動させ、通常はチップとオプティクスを隔てている数インチの銅線部分を無くしている。Inphi社でネットワーク相互接続マーケティング担当VPを務めるHugh Durdan氏によると、スイッチチップとオプティクス間の距離を数インチから数ミリに短縮できれば、消費電力を30%以上削減することができるという。
インテルの目標はコパッケージオプティクス技術をさらに一歩進め、直接サーバーパッケージに組み込むことだとJaussi氏は話している。
Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com
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