OPEN-RAN
文:Matt Kapko

米MavenirのCEO、オープンRANに関する雑音を一蹴

米MavenirのCEO、オープンRANに関する雑音を一蹴

オープンRANの話題になると、さまざまな団体や技術を表すアルファベットの略語の数々にくらくらしそうになることがある。米MavenirのCEO、Pardeep Kohli氏は、そうした雑音をかき分けて問題の核心に触れることを好む人物だ。

氏はSDxCentralの取材に対し、「オープンRANとは、RANにオープンなインターフェースを導入すること以外の何物でもありません。結局はそれが全てです」と語った。

氏の説明によると、現在でもタワーの上に送受信機とペアになった無線機を設置する必要があり、それらのコンポーネントはベースバンドユニットと通信する必要があり、そしてそのベースバンドユニットはプロプライエタリなハードウェア上で動作していてもよいし、汎用ハードウェアでも、クラウド環境で動作しているのでもよいという。最後の2つの選択肢ではオープンインターフェースが必要になると付け加えた。

Mavenir社は最近、自社のソフトウェアをAmazon Web Services(AWS)と統合して米Dish Networkなどの通信事業者向けに提供する契約を結び、クラウド分野にさらに積極的に進出している。Dish Network社はワークロードの一部、あるいはすべてをパブリッククラウドに移行する選択をしている。「他のクラウドベンダーとも同様の発表ができるようにする予定です」とKohli氏は話しており、すでにMicrosoft Azure、Google Cloud、IBM Cloudとの取り組みが始まっていると付け加えた。

「5Gによって、クラウドで実行されているアプリケーションにエンドユーザーがはるかに高速に、低遅延でアクセスできるようになるということであれば、ネットワークもクラウドに持ってくる方がよいということになります」と氏は言う。

Mavenir社のオープンRANソフトウェアは8月までにAWSで完全にサポートされる予定で、これはDish Network社がラスベガスなどの都市で今秋に5Gサービスを開始するという目標を達成するのに間に合うタイミングだ。グリーンフィールドのオープンRAN事業者を目指すDish Network社は最近AWSと結んだ契約を独占的なものだとはしていないが、この世界最大のパブリッククラウドにできる限りのものを収容する計画のようだ。

 

シンプルなビジョンでありながら、複雑な契約を生むオープンRAN

Kohli氏の説明によると、こうしたフレームワークでは通信事業者とベンダーの両方がAWSと、あるいは通信事業者が選んだパブリッククラウド事業者と契約を結ぶことが必要になるが、今回のケースでは通信事業者とAWSの間、通信事業者とMavenir社の間で資金が流れるという。「当社が単にAmazonから何かを購入しているのでも、Amazonが当社から何かを購入しているのでもありません」

Dish Network社は多くの点で異例の存在だ。通信事業者のほとんどは、プライベートおよびパブリックのエッジコンピューティングが持つビジネスチャンスに集中し、ハイパースケーラとそれほど包括的でない契約を結んでいる。

そうしたシナリオでは事実上、通信事業者のネットワークは分散型クラウドインフラとそれを利用するサードパーティの開発者や企業との間にあるモバイル接続レイヤーとして位置づけられている。

Mavenir社CSO(最高戦略責任者)のBejoy Pankajakshan氏は次のように話す。「Mavenirのようなベンダーの製品をなぜそうした環境で動作させる必要があるのかというと、通信事業者がAWS Outpost内でパケットコアのインスタンスを立ち上げたい場合、そのOutpostスタック内でネイティブに動作するアプリケーションが必要になるからです。そしてすべてのベンダーにそれができるわけではありません」

Mavenir社は、自社のソフトウェアをネイティブにサポートする各クラウドについては中立を保つと決めている。「当社は選択をしません。当社としては、通信事業者が選ぶ様々な選択肢で当社のソフトウェアを利用可能にするだけです。実際に選択がなされるのは主に通信事業者とクラウドベンダーの間だからです」とKohli氏は言う。

 

Mavenir社、オープンRANクラウドの競争に拍車をかける

とはいえPankajakshan氏の指摘によると、5G事業者のほとんどはクラウドへの取り組みを始めるのにAWSを選んでいる。AWSにはエンタープライズ顧客の巨大なコミュニティがあり、ビジネスチャンスにつながる可能性があるからだ。「ツールセットが利用可能なうえ、多くの企業がAWSクラウドにつながっています。通信事業者がAWSを選択する理由はそこにあります」と氏。

とはいえ、「どの程度準備が整っているかという面から言えば、通信事業者のアプリケーションということになると、今日のクラウドプロバイダーはいずれもあちこちに足りない部分を抱えています」とPankajakshan氏は言う。各ハイパースケーラは独自のツールキットと特定技術の実績を持っているとも補足した。

また、氏の主張によると、ポスト・クラウドの世界でネットワーク事業者が果たす役割については大きな懸念があるものの、現在のところモバイル事業者とクラウド事業者は共生関係にあるという。

「片方はネットワークインフラをコントロールしたいと考えており、双方が互いに依存しています。ハイパースケーラはより多くのトラフィックを自社のクラウドに送り込みたいと考えています。その方法のひとつが通信事業者のネットワークを5Gに対応させることであり、それによってさらなるトラフィックをクラウドインフラに送り込むことができます」と氏は言う。

「ハイパースケーラは『目的を達成するための手段』です。目的とは、私たちが提供する実在のアプリケーションです。多くの選択肢でこれを利用できるようにしている限り、真にロックインされるということはないでしょう」とKohli氏。

「最終的には、接続を保証できさえすれば、無線を1つのクラウドか、2つか、あるいは3つのクラウドに向けなくてはならないでしょう」と氏は補足する。「実際、3社に競わせるというシナリオもあり得ますし、1つのクラウドから他へ移行するのも簡単です」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/mavenir-ceo-cuts-through-open-ran-noise/2021/06/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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