米Mavenir社、Xilinx製チップ搭載のMassive MIMO 5G無線機を発表
オープンRANソフトウェア・機器ベンダーの米Mavenir社は、Xilinx製チップを搭載し、オープンインターフェースを備えたMassive MIMO(マッシブ マイモ)5G無線機を年内にリリースする予定だ。両社によると、5GネットワークにおけるMassive MIMOのような計算負荷の高い環境においてオープンRANが持っている価値を証明する時が来たという。
米国では今年、記録的な高値がついたミッドバンド5G周波数帯オークションを終え、ミッドバンド5Gの導入が進むなか、ワイヤレス業界の注目はMassive MIMOに集まっている。Massive MIMOはミッドバンド5Gネットワークにおいて特に重要だ。これによって通信事業者はネットワークのカバレッジを高密度化し、容量とカバレッジを増やすことができ、屋外サイトを追加する必要性が少なくなる。つまりは人件費とコストの削減につながるためだ。
Mavenir社が近日発売するMassive MIMO 5G無線機は複数のトレンドに応えたものであり、オープンRAN準拠のハードウェアが性能とコストに関して大手RANベンダーの同様の機器と比較して疑問を持たれていることに対し、積極的に解決を狙ったものだ。Ericsson社、Nokia社、Samsung社はいずれも程度の差こそあれ、仮想化RAN・オープンRANをサポートするMassive MIMOミッドバンド5G無線機を発表あるいはリリースしている。
Mavenir社とXilinx社は機器の主な仕様について一部を明らかにしていないが、製品ポートフォリオの最上位に位置する機器は信号の送受信用に64個のアンテナアレイを備え、最大400 MHzの帯域幅をサポートするとしている。また、当初供給される製品は米国のCバンドに対応したもので、その後、欧州、中東、インドでの5G展開向けにミッドバンドもサポートする予定だ。
Xilinx社のシニアディレクター、Gilles Garcia氏はSDxCentralの取材に対し、両社は力を合わせて「オープンRAN Massive MIMO無線機は現実のものであると証明し、市場に供給していきます。私たちの最初のオープンRAN Massive MIMO無線機については第4四半期の初めにはラボでの準備が整い、年末には実地検証の準備が整うでしょう」と話している。
こうした無線機は、2社間のハードウェアおよびソフトウェアを深いレベルで統合したことと、すでに同機器のテストを行っている世界の通信事業者6社による検証の成果だと氏は説明する。
Mavenir社、統合によってオープンRANの限界を試す
この点は差別化の鍵となる。Samsung社、Nokia社、Ericsson社のような従来のプロプライエタリなベンダーは、オープンRANの分野ではMassive MIMOは十分に開発されていない技術であり、性能要件を満たすにはRAN製品にカスタムチップを搭載するのが最適だと主張しているためだ。Mavenir社とXilinx社は緊密に統合した機器を年内にリリースし、そうした主張が正しいかを実際にテストする予定だ。
Mavenir社で事業開発担当SVPを務めるJohn Baker氏は、「当社が市場で競争力を持つためには、サイズや重量、消費電力が(他社製品と)同等でなければなりません」と述べ、大手RANベンダー各社が既に発表している仕様と肩を並べるか、上回るつもりであることを示唆した。
Mavenir社は2020年後半、成長を促進し、自社製品の能力を市場でさらに証明していくため、正真正銘のオープンRAN無線機サプライヤーとなる意志をさらに強く固めた。
成長を続けるオープンRAN市場でより多くのシェアを獲得しようとしているXilinx社にとっても、今回のMavenir社との取引は重要な意味を持つ。同社はAMD社によって350億ドルで買収される手続きのさなかにあり、Broadcom社、Marvell社、新規参入のQualcomm社などと並び、成長を続けるオープンRAN分野の競合企業の1社と見られている。
Xilinx社は富士通とも同様の取引を結んでおり、富士通の米国向けオープンRAN無線ユニットに搭載するチップアーキテクチャを提供している。これらの無線機は、米Dish Networks社が何年も前から構築を約束しているグリーンフィールド5Gの展開で重要な役割を果たすことが広く期待されている。
「私たちは多くのRANベンダーと協力しています」とGarcia氏。「今回、Xilinxの技術に(Mavenirによる)いくつかの技術を加え、完全なMassive MIMO無線機ポートフォリオを提供する運びとなりました」
Mavenir社とXilinx社が同ハードウェアで示そうとしている主な成果として、「コスト削減と消費電力の削減を実現するために完全なカスタムASICを使用する必要はもはやありません」とBaker氏は話している。
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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