5G
文:Dan Meyer

NEC、5GオープンRANのインテグレーション能力を強化

NEC、5GオープンRANのインテグレーション能力を強化

NECによると、オープンRANの分野はまだ序盤戦にあり、通信事業者がこの技術のメリットを最大限に享受するにはインテグレーションによる支援が必要だという。同社はそれができる企業を買収したばかりだ。

NECはオープンRAN分野に長年携わっており、数多くの商用展開やネットワーク試験運用に関わっている。そのため、通信事業者が複数のベンダーを自社のRAN計画に統合する際、どこで苦労するのかを理解している。

「簡単なことではありません」。NEC傘下の米ブルーダニューブシステムズ(Blue Danube Systems)のラウル・チャンドラ(Rahul Chandra)CEO兼社長が米SDxCentralの取材に対して語っている。「多くの可動部品があり、1度展開すれば完了するというものでもありません。そうした部品のライフサイクルを維持・管理する必要があります」

チャンドラ氏は今年NECが同社を買収した後、同事業の責任者に新しく任命されている。

NECは楽天モバイルの5GオープンRAN展開に参加しているが、同事業では現在も統合に関する課題が続いている。それよりもずっと限定的な提携を米ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)とも結んでいるが、同キャリアは5Gネットワークの立ち上げに苦戦しており、その原因は統合に関する課題だとしている。

「進捗は想定よりも6ヶ月遅れています。これは私の責任です」。ディッシュの会長兼共同創業者、チャーリー・アーゲン(Charlie Ergen)氏が2021年第4四半期の決算電話会議で述べている。「私たちは技術面でこれほど多くのことをしなければならないとは予想できていなかったかもしれません」

チャンドラ氏によると、ディッシュのネットワーク展開に対するアプローチは独特だという。

「グリーンフィールド事業者でありながら、こうした可動部品を自分たちですべて統合するという課題に挑戦することにしたのです」。氏は言う。「実を言うと驚きました。彼らがそうした戦略を取ったことに、多くの業界人が驚いたのではないかと思います」

通信事業者は代わりにシステムインテグレータのオープンRAN展開管理支援を検討するようになるのではないかとチャンドラ氏は考えている。「SIを利用することには間違いなく価値があります。スタックの一部になっている企業に頼めれば特にそうでしょう」

 

NEC、アスパイヤーを買収

NECはアイルランドのアスパイヤーテクノロジー(Aspire Technology)を買収し、SIの取り組みを強化した。買収額は非公開。2010年に元エリクソンの技術者たちが設立、通信事業者に対してオープンRAN製品を中心としたコンサルティングとネットワークインテグレーションサービスを提供する企業だ。

「今回、Aspire Technologyの強力なシステム構築力と優秀なエンジニアを加えることで、NEC Open Networksの戦略を大きく前進させることができます」。NECの5G戦略&事業統括部長、松田尚久氏が買収に関するステートメントで述べている。「NECは、様々なネットワークコンポーネントを統合しOpen RANエコシステムを確立する事業者として、他社をリードする立場になります」

この買収はオープンRANベンダーにとっての変曲点となる可能性がある。

米クアルコム(Qualcomm)は6月、イスラエルに拠点を置くセルワイズ(Cellwize Wireless Technologies)を買収した。オープンRAN展開に対するサービス管理とオーケストレーションの提供を目指す。

一方で、最近になって米パラレルワイヤレス(Parallel Wireless)が人員削減を実施、アナリストらはこのビジネスの競争的な性質が浮き彫りになったと指摘している。

「オープンRAN市場はあらゆる可能性を秘めているものの、小規模なベンダーにとっては厳しい市場だということを明白に示す出来事です」。パラレルワイヤレスのニュースを受けて、米調査会社センツァ・フィリ(Senza Fili)のモニカ・パオリーニ(Monica Paolini)社長がSDxCentralのメール取材に対して書いている。「驚くには当たらないでしょう。どんな技術分野でも、革新的なスタートアップ企業は例外なくこうした状況です……(中略)……このケースでも、他のケースと同様、市場の潜在需要が多くの人が予想したほど早く顕在化しないことがあるというのが原因です。オープンRANはネットワークの構築・運用方法を大きく変えるものであり、広く展開されるまでには時間がかかるでしょう。Tier 1ベンダーにとっては、これはメリットとさえ言えるかもしれません(対応する時間が取れるため)。小規模なベンダーにとっては難しい問題です。統合はすでに始まっており(米アルティオスター等)、今後も続くでしょう。RANは特に、小規模ベンダーにとって非常に難しい市場セグメントです。インターフェイスがどんなにオープンであろうと、どんなにネットワークのディスアグリゲーションが進もうと、通信事業者はサプライヤーの数はなるべく増やさず、投資を守るためにネットワークの大部分で大手サプライヤーを選好し続けると思われます」

https://www.sdxcentral.com/articles/interview/nec-boosts-5g-open-ran-si-capabilities/2022/07/

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on containers, lifecycle service orchestration, cloud automation, and DevOps. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

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Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on containers, lifecycle service orchestration, cloud automation, and DevOps. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

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