情報格差は要するにある場所にインターネット接続があるかないかという問題に帰結するが、人々がブロードバンド接続を利用できずにいる要因はそれだけにとどまらない。

ノキアのWebサイト（英語版）には「Insights」というページがあり、さまざまな洞察を提供している。最近の投稿では情報格差の解消に関するノキアのスタンスが明らかにされた。それによると、情報格差を強化してしまう「断層」が7つあるという。地理的条件、所得、ジェンダー、年齢、民族、身体能力、教育の7つだ。

ノキアの説明によると、インターネット接続が可能かどうかは経済的結束のためばかりでなく、身体的・精神的な健康にも関わる問題だという。

パンデミックの期間中、インターネットを利用できる人々は「安全な自宅で仕事や勉強をし、公開情報にアクセスし、ストリーミングで娯楽を楽しみ、オンラインで交流することもできました」。一方で、そうでない人々は情報や教育へのアクセス、人とのつながりを奪われていたことになる。

「こうしたことを鑑みれば、商業的な可能性だけを基準に（ある地域に）ブロードバンド展開をするかどうかを判断することはもはやできません」。ノキアは述べている。インターネット接続があるかないかの差異は、せんじ詰めると人口の少ない地域にインフラを構築するのは収益性に欠けるという問題に帰結することが多いという。

構造的変化に向けた戦略

ノキアによると、すべての人への接続提供を「確約」できるようなただ1つの戦略は存在しないものの、変化を起こす上で中心に据えるべきは、デジタルインクルージョンへの取り組みは各セクターを超えて人々が平等な機会を得るという権利の問題であり、企業が慈善の対象とする範囲を広げるということではない、という扱い方をすることだという。

「光ブロードバンドを広範囲に展開するよう奨励し」、新しいコミュニティへと増築されるのが信頼性の高い高速接続のインフラとなるようにするには、政府による資金援助と政策の確立が不可欠だという。一方、「断層」については、不均衡の裏にあって問題を助長しているとしていくつかの主立った所見を述べた。

2019年の国連報告書「ソーシャル・インクルージョン（社会的包摂）のためのデジタル技術活用（Leveraging digital technologies for social inclusion）」で明らかになったのは、世界平均で男性の58％がインターネットを利用していたのに対し、女性は48％に過ぎなかったということだ。さらに、この男女格差は先進国ではわずか3%だったのに対し、後発開発途上国（LDC）では53%に達した。

ノキアはこの問題に取り組む上では必ずしも業界の利益重視のプレイヤーと対立する必要はないと考えている。2015年のマッキンゼー・グローバル・インスティテュートの報告では、経済活動への参加における男女平等が達成されれば、世界GDPは2025年までに28兆ドル成長するとしている。

男女格差のほか、（米国の）排他的な政府政策や言語的包摂の欠如も先住民族のコミュニティの疎外を強めている。さらに、身体障害者のインクルージョンについても、音声テキスト化サービスや音声認識インテリジェント・パーソナル・アシスタントのような支援技術をフル活用するにはさらなる取り組みが必要であることも分かった。

ノキアの投稿では、こうした包摂性については教育機関でも教え込むようにするべきだと強調している。デジタルスキルと教育年数の間には直接的な相関関係があり、これが所得水準に影響し、デジタル格差を広げる要因になっているという。

「義務教育でデジタルスキル・能力を開発することは重要ですが、同じくらい重要なのが生涯学習や職場での必要性に対応したスキル開発ができるようにすることです」。ノキアは書いている。

「途上国市場は女性や若者がデジタル経済に参加できるようにすることで社会・経済的な利益が得られます」。このプロセスに当たっては、格差是正を完全に成功させるために制度的構造に取り組む必要があるとした。

「先進国市場では、高齢者、低所得者、先住民族、身体障害者などに目を向けて、誰も取り残されないようにすることが必要です」。ノキアは述べている。

https://www.sdxcentral.com/articles/analysis/nokia-attributes-digital-divide-to-7-fault-lines/2022/08/