Nokia社、オープンRANは無線ビジネスの未来だと話す
Nokia社はRAN市場における大手競合のどこにもまして、オープンRANとネットワーク仮想化への取り組みを進めている。今ではこれを競争上の優位性とみなし始めており、これによって市場シェアを獲得し、通信事業者との契約を増やせる可能性があると考えている。
Nokia社のモバイルネットワーク部門のTommi Uitto社長は、先月18日に行われたアナリスト・投資家向けプレゼンテーションの中で、「私たちは、オープンRANはシェアを獲得するための方策と捉えています。特に、RANサプライヤーにオープンRAN準拠の機器を提供するよう求めるネットワークオペレータが増えているためです」と話した。
「オープンRANに準拠しなければ、サプライヤーはシェアを失うリスクがあるでしょう」と氏は述べ、サプライヤーベースをいずれ調整しなければならなくなるオペレータも出てくるはずだと付け加えた。「オープンRANに準拠しているかを選択基準にするのは、彼らがサプライヤーベースを変更し、サプライヤーの多様性を高めるのに良い方法です」
こうした意思決定から生まれるRAN契約を、オープンRAN準拠の製品製造を約束したベンダーが獲得していくだろうとUitto氏は言う。「実際、それが未来の無線ビジネスの仕方になるはずです」
Nokia社、オープンRANとvRANの新製品を年内に発表
氏によると、Nokia社は今年、「初のオープンRAN完全準拠の製品と、ハードウェアアクセラレーションを備えた完全仮想化RAN製品を提供する」という。
調査会社GlobalDataの主席アナリストであるEd Gubbins氏はSDxCentralに対し、オープンRANとvRANは「Nokia社の戦略における大きな注力分野」だが、まだ比較的初期の段階にあり、同社が関連エコシステムを推進・発展させるにはまだ為すべき仕事が多くあると話した。
「Nokia社はオープンRANに積極的に取り組んでおり、その点では多くの競合他社と一線を画しています」とGubbins氏は言う。Huawei社やZTE社といった中国ベンダーはオープンRANやvRANをサポートする計画を表明しておらず、「Ericssonj社はこの分野をNoki社ほど強くは推進していません。Noki社はこの点で差別化ができるでしょう」と氏は説明した。
とはいえvRAN開発に関しては、Samsung社が同様の道を歩んでいると氏は付け加えている。
米調査会社Technology Business Researchの主席アナリスト、Chris Antlitz氏は、「オープンRANはNokia社の従来のビジネスを破壊するものですが、絶対に為すべき正しいことでもあります」と話す。「RANはいずれオープンかつ仮想化されたものになるでしょう。それは必然であり、「そうなるかどうか」というよりも「それはいつになるか」という問題です。Nokia社がこの長期的な動きに先んじているのは良いことです」
オープンRAN市場の展望
Uitto氏はオープンRAN市場の規模がどの程度になるかを予測するには時期尚早であるとしながらも、米調査会社Dell’Oroグループが2025年までにオープンRANのハードウェア・ソフトウェアがRAN市場の10%近くを占めることになると予測したことに触れた。
オープンRANに関する予測にはさまざまなものがあり、何をオープンRANとしてカウントし、何をカウントしないかを決めるのにもさまざまな要件や基準が用いられている。Dell’OroグループはオープンRANの2025年までの累積売上は50億ドル(約5540億円)を超えるだろうと述べており、米調査会社ABI Researchは最近、公共屋外ネットワーク向けのオープンRAN無線機に対する設備投資の総額が2026年には407億ドル(約4兆5090億円)に達するという予測を出している。
実際、オープンRANという言葉の細かい意味やオープンRANと呼べる特長は何かということは、業界全体にとってそれほど重要ではないかもしれない。Uitto氏によると、Nokia社はその方針のもと、「無線ビジネスで勝ち、ベースバンドで勝ち、両方で勝つことができるでしょう。実際我々としては、オペレータが契約ではオープンRAN準拠の製品を求めていても、実際には同じサプライヤーから無線機器とベースバンド機器を購入するということもあるだろうと予想しています」
調査会社IDCのシニアリサーチアナリスト、Patrick Filkins氏によると、このことはなぜNokia社がクラウドとオープンRANに重点を置いていることが重要なのかという理由の一部を示しているという。「欧州(のオペレータ)は団結してベンダーにこの技術をサポートするよう働きかけるうえで優れた仕事をしましたが、間違えてはいけません、アジア太平洋や北米のオペレータも自社のロードマップにオープンRANを置いています」と氏は言う。
「しかしソリューションセットの構築が完了すれば、実際に問題になるのはブラウンフィールドのオペレータがどれだけ熱心にオープンRANへと進んでいくかということです。RANやトランスポートの分野ではオープンRANをサポートできる製品が市場に投入されていっています。既存のオペレータ各社がそれを展開したいかどうか、またそれはいつになるのかということです」とFilkins氏は説明する。
また、Gubbins氏によると、Nokia社はオペレータや法人のニーズに合わせてRANを最適化するサードパーティのアプリケーションをサポートしたオープンRANコントローラの利用を推進してきたという。「企業の具体的なニーズに合わせてRANをカスタマイズするというアイデアは面白いし、エンタープライズRANのビジネスチャンスに注力するというNoki社の戦略ともよく合うものです」
Gubbins氏は締めくくりに、「Nokia社はエンタープライズRANの分野ですでに多くの実績を上げていますが、ほとんどは4G LTEに焦点を当てたものでした。この分野の技術は成熟しており、Nokia社はエンタープライズ分野の5Gに関するビジネスチャンスを利用できる位置につけていると言えます」と述べている。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/nokia-calls-open-ran-the-future-of-radio-business/2021/03/
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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