環境および事業の持続可能性を追求する企業には、人、モノ、プロセスをつなぐインテリジェントで回復力の高いネットワーク基盤が不可欠だという。ノキアの交通・製造・エネルギー・資源担当グローバルバイスプレジデント、ヨハン・アペル（Jochen Apel）氏が語った。

氏が自社ブログで説明したところによると、財務目標とサステナビリティ目標はもはや互いに不可分なものになっているという。人、プロセス、機械の連携がますます複雑化し、環境持続性と業績の双方に影響を及ぼすようになっているためだ。

ペッカ・ルンドマーク（Pekka Lundmark）CEOも今年のMWCの基調講演でこのことについて語っている。「デジタルなくしてグリーンなし」と主張、デジタルの世界で成功することと持続可能性の関連性をさらに踏み込んで指摘した。

アペル氏によると、秘訣となるのはインテリジェントな通信ネットワーク、クラウド機能、デジタルデジタルアプリケーションを利用し、そうした複雑な連携を管理、最適化することだという。「サステナビリティ目標と業績目標の両方を達成するために、デジタル化戦略に目を向ける企業がますます増えている」のはそれが理由だと話す。

地球のためのデジタル化

ネットワークはデジタル化の中核となる要素であり、1つの拠点や複数の拠点間、エンドツーエンドなど、バリューチェーン全体に対して必須機能である接続やクラウドサービスを提供する部分だ。

企業が持続可能性ツールを事業全体に広げるための主な手段として、具体的には産業グレードのプライベート無線ネットワーク、ミッションクリティカルなIP・MPLSネットワーク、固定アクセスネットワークを挙げている。

利用形態としては、IoTセンサーをCO2排出量や温度の監視、物流、データ共有に利用したり、AIシステムを導入して交通を最適化、燃料消費量を削減したりするような形になるかもしれないと説明している。

アペル氏は、ノキアが垂直都市農業の米エアロファームズ（AeroFarms）と共同で進めている農業分野のデジタル化の取り組みについてもアピールしている。CO2排出量の11%を占める業界だ。

ノキアのAIプラントビジョン技術を基盤に「マシンビジョンと機械学習を統合、植物の相互作用・相互影響の特定・追跡」に利用するという。データはノキアのプライベート無線接続で運ばれる。

この技術によって、消費地に近い場所で食料を栽培・収穫するエアロファームズは従来の農場の約400倍の食料を生産することが可能になり、水の使用量は95%削減、有害な農薬の使用も回避できるという。

一石二鳥

環境持続性の確保はシンプルに事業にとっても良いとアペル氏は言う。「適切な接続とデジタル技術があれば、サステナビリティ対策は事業を改善することにもなります」

例として、物流オペレーションを加速・最適化すれば、従来以下のリソースでこれまでよりも多くのことを実行できるという。物流大手DHLと共同でスマートウェアハウスソリューションを開発した件に触れた。

他にも、車両のアイドリング時間の短縮、スマート照明の産業利用、環境条件データのリアルタイム監視といった取り組みは、いずれも持続可能性に焦点を置きながらもビジネス的にも合理的なものとなっている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/nokia-network-resiliency-drives-sustainability-business-goals/2022/07/