セキュリティ
文:Jessica Lyons Hardcastle

ノキアがAT&T、米Dish、T-Mobileを顧客にXDRを提供開始

ノキアがAT&T、米Dish、T-Mobileを顧客にXDRを提供開始

ノキアは2日、XDR(Extended Detection and Response)ソフトウェアを発表した。顧客にはAT&T、米Dish Network、オランダのT-Mobile Netherlandsが名を連ねる。

ノキアでデジタルトラストセキュリティポートフォリオの製品マーケティングを率いるGerald Reddig氏によると、新製品「NetGuard XDR Security Operations」では通信サービス事業者に対して5Gネットワークの優れた保護を提供できるという。また、5Gスライス監視、エンタープライズIoTデバイスのエンドポイント保護、ID管理・アクセス管理といった新しいセキュリティサービスを収益化する方途も提供する。

今回発表されたXDRプラットフォームは、「2019年後半にNetGuard Adaptive Security Operationsという名称で立ち上げたものが、次の進化を遂げたものです」とReddig氏は言う。NASOという略称で呼ばれた当時の製品群には、NTA(Network Traffic Analysis:ネットワークトラフィック分析)やEDR(Endpoint Detection and Response:エンドポイントでの検出・対応)とともに、SOAR(Security Orchestration, Automation, and Response:セキュリティオーケストレーション・自動化・対応)が含まれていた。「最初からXDRを念頭に置いたアプローチでした」と氏は言う。

XDRはまだ新しいセキュリティ分野であり、SIEM(Security Information and Event Management:セキュリティ情報・イベント管理)、SOAR、EDR、NTAの要素を1つのクラウド型プラットフォームに統合したものだ。セキュリティデータ、脅威ハンティング、インシデント対応を一元化することができる。

NetGuard XDRにはNASOがもともと持っていた機能の他に、分析、機会学習、自動化の新しい機能が加えられた。「そして現在ではあらゆるクラウドを調査し、脅威の検知と阻止に務めています」とReddig氏は言う。これは、ノキアのXDRがエンドポイントやクラウドを含めた5Gネットワーク全体の相関ビューを提供できるということだ。「これが今回のXDRリリースでの大きな進歩です――クラウドネイティブ環境であることから、どのクラウドにも提供できるのです」とReddig氏。

サービス事業者はXDRプラットフォームのみを選択することもできるし、MDR(Managed Detection and Response:マネージド検出対応)がついたバージョンを選ぶこともできる。同バージョンではXDR機能のほか、5Gネットワークのマネージド脅威検知とインシデント対応を提供する24時間365日体制のセキュリティインテリジェンスオペレーションセンター(SIOC)を利用できる。

 

ノキアのXDR、統合とマネタイズに注力

また、このプラットフォームはSIEMをはじめとする既存のセキュリティツールとも統合されている。実際、ノキアのSIO(セキュリティインテリジェンスオペレーション)は
「Splunk」をSIEMとして利用しており、自社のXDRとSplunk社のセキュリティ情報・イベント管理機能を統合している。

ノキアによると、NetGuard XDRでは複数のベンダーのツールを統合し、これまでサイロ化されていた情報をコンテキスト化し、ネットワーク全体でセキュリティを自動化し、分析、対応アクションを能率化したことで、顧客のフィールドテストのデータでは脅威をブロックする効果が70%向上したという。

「NetGuard XDRでは、統合とマネタイズという2つのテーマに取り組んでいます」とReddig氏。統合については、セキュリティツールやデータレイク、サードパーティやオープンソースの脅威インテリジェンスフィードを対象としているという。

「そして最後に、運用の統合です」とReddig氏は言い、そこでは「サービス運用とセキュリティ運用が2つのサイロ化したワークフローにはならない」ようにすると続けた。

これはマネタイズにも関わってくる部分で、これこそXDRが通信事業者に対してSaaS(セキュリティ・アズ・ア・サービス)の販売機会をもたらす部分だとReddig氏は言う。「たとえば5Gスライスサービスです」と氏。「5Gスライシングは現在、私たちがお客様と対話する際に鍵となるテーマの1つです。5Gの未来を決定づけるものだからです」

しかし、別々の5Gネットワークスライスのセキュリティを確保することは「それほど簡単ではありません」と氏は言う。「特定のスライスのセキュリティパラメータを事前に記述する手作業が必要です。たとえば、自動車向けのスライスと電力会社用のスライスでは、異なるセキュリティパラメータが必要になります」

ノキアのサービスとセキュリティオーケストレーションが重要な役割を果たし、同社のXDRアプローチの差別化となるのはこの部分だとReddig氏は言う。「双方のソフトウェアは互いに対話しています」と氏。「ある特定のスライスに対してサービス運用でどのようなセキュリティパラメータが必要なのか決めるのに当たって、セキュリティオーケストレーションが役に立つのです」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/nokia-rolls-out-xdr-with-att-dish-t-mobile-as-customers/2021/06/

Jessica Lyons Hardcastle
Jessica Lyons Hardcastle Managing Editor

Jessica is Managing Editor at SDxCentral covering security technology, trends, and threats. She has worked as an editor and reporter for more than 15 years at a number of B2B publications including Silicon Valley Business Journal, Environment + Energy Leader, and Solar Novus Today. Jessica can be reached at jhardcastle@sdxcentral.com or @JessicaHrdcstle.

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