5G
文:Matt Kapko

NOKIA、Massive MIMO 5G無線機を発売

NOKIA、Massive MIMO 5G無線機を発売

フィンランドの通信機器ベンダー、ノキア初のMassive MIMO(マッシブマイモ)5G無線機がこのほど発売となった。価格が手頃でエネルギー効率に優れたSoC(システムオンチップ)を搭載した製品だ。

今回のリリースは、5Gチップに関する初期の失敗から脱却するというノキアの長年にわたる取り組みの新たな節目となる。また、最新のSoCチップセット「ReefShark」を搭載した各種ベースバンドプラグインカードとリモート無線ヘッドも発売した。

Massive MIMOアンテナを搭載した「AirScale5G機器には、32個の送受信機を搭載したバージョンと64個の送受信機を搭載したバージョンの2種類がある。ノキアは32TRX製品について、17 kgで業界最軽量のMassive MIMO製品だとしているが、これは必ずしも同一条件で重量を比較したものではない。

 

5G Massive MIMO機器の軽量化競争

エリクソンは今年、20 kgMassive MIMO装置を発表し、その数日後にファーウェイは19 kgの製品を発表しているが、どちらも送受信機を64個搭載したものだ。

英調査会社GlobalDataの主席アナリスト、Ed Gubbins氏は、以前にSDxCentralが行ったインタビューの中で次のように説明している。「ネットワーク上にMasive MIMO装置を大規模に設置するには少なからぬ費用がかかるが、装置の設計が小型かつ軽量なものであれば通信事業者が展開コストを最小限に抑えるのに役立つため」、フットプリントが小さいことや軽量であるということは重要な特長だという。

ノキアが昨年ベライゾンとの大口契約を失った一因は5G RAN機器に関する初期の判断を誤ったことにあったと思われるが、同社はその後、新CEOPekka Lundmark氏による3年がかりの再建計画と4つの事業部のもとで事業を展開し、2021年を迎えた。

Lundmark氏は直近の決算発表の場で、新しいMassive MIMO 5G無線機のリリースが間近に迫っていると予告し、同製品は「広範な帯域幅」を備え、他社製品よりも軽量だとしていた。Massive MIMOはミッドバンドでの展開を加速するものであり、5G事業者にとって非常に重要なものだ。ミッドバンドでの展開は、5Gフレームワークによって可能となる速度やカバレッジの向上をもたらすとされている。

調査会社IDCのシニアリサーチアナリスト、Patrick Filkins氏は、あるステートメントで次のように述べている。「ネットワークの容量とパフォーマンスを向上させるには、5Gネットワークが不可欠です。高周波数帯域幅の需要がある場合にはなおさらです。ノキアの新しい製品群はこうした問題を解決するものです。モバイル事業者が柔軟に容量を拡張したり、既存の機器から5Gへ簡単かつコスト効率よくスムーズに移行したりできるよう支援するものです」

氏によると、新型SoCsが新しい無線機やベースバンド装置に搭載されたことで「パフォーマンスと容量が向上して」おり、ノキア最新のMassive MIMOアンテナは「パフォーマンスを損なうことなくどれだけ軽量化できるかの新たなベンチマークとなった」という。

 

ノキアの各種新型SoC、ハイエンド5G機器にも搭載

2021年第1四半期に出荷されたノキア製5G機器のうち、44%は競争力があり機能豊富な各種のSoCが搭載されたものだ。ノキアによれば、2021年末までに70%という目標を達成するペースで進捗しているという。来年末までには5G関連の出荷品全てが新型SoCを搭載したものになる見込みだ。

ノキアでモバイルネットワーク部門のプレジデントを務めるTommi Uitto氏は、SDxCentralの最近の電話インタビューでこう語っている。「シリコンチップはあらゆる競争力の中でもとても、とても重要な要素です。接続性や容量、消費電力、製品の大きさや重さ、製品コストなど、一定の特徴や機能を備えられるかどうかはまさにシリコンチップによって決まるためです。これらはいずれも無線事業において重要なものです」

ノキアは無線機メーカー上位3社の中でも最も強く仮想化オープンRANを支持するRANベンダーでもある。同技術はRAN事業の将来像だとまで言っているほどだ。Uitto氏はあるステートメントの中で、「当社の新しいAirScale製品群はオープンRANに対応しています」と述べている。

ノキアの発表によると、32TRX200 MHzの占有帯域幅と最大400 MHzの瞬時帯域幅をサポートしているという。また、新しいプラグインベースバンドカードは9万人の接続ユーザーを同時にサポートし、前世代に比べて最大8倍のスループット(84 Gbps)を実現、最大8倍のセル数に対応するとしている。


https://www.sdxcentral.com/articles/news/nokia-ships-massive-mimo-5g-radios/2021/06/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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