ノキア、新たな再編で14,000人を削減へ
ノキア 最高経営責任者(CEO)のPekka Lundmark(ペッカ・ルンドマルク)氏
フィンランドに本社を置く通信機器ベンダーであるノキアは、事業運営に影響を及ぼす短期的な逆風に対抗するために必要な企業再編の一環として、最大14,000人の削減を行う。これまでの3年間にわたる再建計画の最終段階でもある。
ノキアは、今回の人員削減を「収益性を守るためのコスト基盤」の「リセット」と位置づけている。これにより、ノキアの従業員数は現在の約86,000人から72,000人~77,000人へと削減される。
今回の人員削減では、2026年までに最大13億ドルの営業費用削減を目標としており、これにより人件費の10%から15%の削減となる。人員削減はモバイルネットワークス(Mobile Networks)、クラウド/ネットワークサービス(Cloud and Network Services)、コーポレート部門に影響を与える見通しだ。
最高経営責任者(CEO)のPekka Lundmark(ペッカ・ルンドマルク)氏は、第3四半期決算説明会で投資家に対し、人員削減の総数や財務への影響は今後の市況にも左右されると語った。
「プログラムの正確な規模は、今後数年間の市場需要の推移いかんによります」と氏は述べた。「(人員削減による)コスト削減は見込んでいますが、その規模はインフレの展開次第です」
研究開発(R&D)の保護を重視していることも指摘した。研究開発では、人間の取り組みに代わる人工知能(AI)の活用を拡大する可能性がある。
「新しい技術によって研究開発の生産性を向上させる非常に興味深い機会があることは明らかです」と氏は述べた。「例えば、AIコパイロットは適切な人材が利用すればソフトウェア開発の生産性を大幅に向上させられることがすでに分かっています。ですから、研究開発の生産性を向上させる機会はありますが、当社としては、研究開発で成果を出す能力を常に守っていくことは言うまでもありません」
ノキアはまた、さまざまな事業部門の独立性を高めるために経営モデルの再編も進めている。各事業部門が特定の市場により機敏にアプローチできるようにすることが目的だ。
「これにより、各事業グループは、既存および新規のお客様と共に、それぞれ異なる市場のビジネスチャンスに、より適切に対処できるようになります」としている。「より迅速に多様化を図り、新しいエコシステムパートナーシップを構築し、新しいビジネスモデルを実装し、テクノロジーを主導する立場を維持、あるいは目指して投資を行うことができるようになります」
氏はこの動きを今年のMWCバルセロナで行ったプレゼンテーションと関連付けて語った。同イベントでは、ノキアがどのように事業を成長させるかについて、セグメント別のアプローチを示した。セグメントごとに異なる戦略を取るアプローチは、今年初めにノキアがコンテナおよびクラウドインフラストラクチャの主要なサポートと継続的な開発をレッドハットに委託するという決定を通じて、すでに市場で実施されている。
ノキア、再びの再建
今回の人員削減と再編のタイミングは、氏が前CEOのRajeev Suri(ラジーブ・スリ)氏からノキアを引き継いだ直後に実施したノキアの再建戦略の終了と一致している。再建計画には、2年間で最大1万人の雇用削減を求めたコスト基盤のリセットが含まれていた。
これらの取り組みはこれまでのところ持続的な成果を上げることができず、ノキアは大きな浮き沈みの中でかじ取りを続けている。これには直近の数四半期も含まれる。
ノキアは今年に入り、アーリーアダプター向けの好調な5G機器の販売が終盤に入りながらも続いていたこととインドでの力強い成長の始まりに支えられ、好調だった。しかし、過去2四半期は再び地に落ちている。
ノキアは、第3四半期の売上高が前年同期比で20%減少したと報告、その原因はマクロ経済の不確実性と金利上昇にあるとしている。経営陣は、北米などの確立された5G市場での「在庫消化」が続いていること、インドの通信事業者による初期の5G展開に伴う支出の鈍化が始まっていることにより、短期的な見通しが影響を受けていると説明した。
5G SAの市場機会
市場機会を模索する中で、氏は、ネットワークスライシングのようなサービスを中心にネットワークの収益化を推進するために、通信事業者が5GC SAを導入する必要性を強調した。これは、ノキアが最近発表したNetwork-as-code(コードとしてのネットワーク)プラットフォームの立ち上げに関連しており、氏によると、すでに4社の顧客を獲得しているという。
しかし、通信事業者各社の5G SAに対する現在のニーズは、依然としてまちまちだ。米国内では、Tモバイル(T-Mobile)USと米ディッシュ・ネットワーク(Dish Network)が完全な5GC SAを展開しているが、VerizonとAT&T はまだ傍観している。
Verizonのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼グローバルネットワーク・テクノロジー担当プレジデントである Joe・Russo(ジョー・ルッソ)氏は、最近のSDxCentralの取材で、「その方向に進む大きな必要性があるとは考えていません」と語った。「顧客が必要とするキャパシティとカバレッジを備えており、顧客が必要なことを実行できる機能を備えているためです」
Russo氏はまた、Verizonが独自に5G SAをテストした結果、差し迫った必要性だけでなく、この技術を改善する必要性もあることが分かったと述べた。
「信頼性とパフォーマンスの観点から、後退になるような技術をネットワークに導入するつもりはありません」とRusso氏は述べた。「我々が行ったテストや、現在SA機能を試している内容から考えて、ネットワークに投入する準備はできていないと言えます」
プライベートネットワーク市場では、比較的不確実性が少なく、ノキアにとって引き続き明るい話題となっている。
Lundmark氏によると、同社は第3四半期に同市場で2桁成長を遂げ、四半期末の顧客数は約675社となっている。
「全体として、エンタープライズ事業は引き続き我々の戦略の重要な部分を担っています。他の事業分野ではマクロ的な不確実性が見られますが、このセグメントの進展には満足しています」と述べた。
また、ノキアが米国政府のBroadband Equity, Access and Deployment(BEAD)プログラムによって成長する可能性についても指摘した。同プログラムの一環として確保された420億ドルのうち、ノキアが獲得可能な市場は10%程度と推定されるという。
ノキアは、BEAD資金へのアクセス獲得を支援するため、米国の製造拠点を拡大する取り組みを宣伝してきた。
「投資やBEADイニシアチブからの資金調達を行う予定のティア2およびティア3のサービスプロバイダーを含め、いくつかのサービスプロバイダーから大きな支持を得ています」と氏は述べ、この機会は「2024年中に徐々に訪れ始めるでしょう」と付け加えた。
ノキアの経営陣は、今年後半に開催される年次投資家会議で、再編への取り組みの詳細をさらに具体的に発表すると述べた。
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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