ノキアのRAN事業トップ、5G初期の失敗を振り返る
RAN(無線アクセスネットワーク)ビジネスにおいて、半導体は非常に重要な要素だ。ノキアに聞いてみるといい。同社は5Gの初期に半導体についていくつかの失敗をしており、その誤った判断が引き起こした問題から抜け出そうと今も取り組んでいる。
ノキアのモバイルネットワーク事業を率いるTommi Uitto氏は、SDxCentralによる最近の電話インタビューで次のように語っている。「ノキアは3年ほど前に、Massive MIMO技術を使った5Gレイヤー1(物理層)やeCPRI(enhanced common public radio interface)向けのSoC(システムオンチップ)なしで最初の5G製品を商品化しなければならない状況に陥りました」「私たちは、この25Gb/秒のインターフェースに適したSoCを持っていませんでした。今ではこれは過去のことです――今はあらゆる基地局機能に対応した第1世代のSoCがありますし、次の世代もすでに開発中です」
実際、ノキアは昨年、より競争力のある多機能なSoCを搭載した新しい5G RAN機器の出荷を開始している。こうした製品は直近の四半期に出荷された全製品の44%を占めており、同社によれば、2021年末までに70%という目標に向けて順調に進んでいるという。来年末までにはすべての5G出荷製品に新型SoCが搭載される見込みだ。
ノキア、初期の5G展開のニーズを見誤る
「半導体は全体的な競争力の確保に置いて非常に重要な部分です。接続性、容量、消費電力、製品のサイズと重量、製造コストなど、一定の機能性を持てるかどうかはまさに半導体によって決まるためです。こうした機能性はすべて、無線ビジネスにおいて重要なものです」とUitto氏は言う。
「これは後知恵ですが――常に正しくなるという点では完璧な科学と言えます――3GPP規格がまだ進化の途上にあった頃、ノキアはおそらくFPGAの柔軟性に対するニーズを過大評価していたのだろうと思います」と氏。「また、スタンドアロンよりもノンスタンドアロンの5Gが先行して導入されることを正しく認識していなかったと思います」
そうした方向に状況が進展していったことは「ノキアを少し驚かせた」ものの、「遠い昔の話です」とUitto氏は付け加えた。「今日では私たちにはSoCがありますし、現在のSoCの研究開発(R&D)にはとても満足しています」
半導体に関するこうした失敗ののち、2019年にはRAN事業の方向転換に向けた取り組みが始まった。その主な内容は「製品の開発方法、製品そのもの、製品プラットフォーム、SoC、ベースバンドプラットフォーム、無線プラットフォームの改善」であったと氏は言う。
こうした取り組みの成果はまだ完全には現れていない。ノキアは新製品の投入を続けており、今年後半にはさらに多くの製品が登場するためだ。以前に明らかにしたMassive MIMOの5G無線機も「間もなく」リリースされる予定で、より具体的には競合するMassive MIMO製品との真っ向勝負に間に合う時期になる、と4月末の決算説明会でCEOのPekka Lundmark氏が述べている。
また、ノキアのMassive MIMO 5G機器は競合製品よりも帯域幅が広く、重量も軽くなるとLundmark氏は主張した。
復活への取り組みは半導体の研究開発次第
「今年はまさに5G分野での復活の年と言えるでしょう」とUitto氏。「そしてもちろん、ただ追いつくだけではなく、5Gの特定の分野では優位に立つことを目指しています」
ノキアのRAN事業のトップである同氏は、人員を40%増やして5Gの研究開発を強化したと話している。「アウトプットが約60%増加しました。インプットよりもアウトプットの方が早く成長したため、生産性が向上したことになります」と話す。
「5Gの研究開発のいくつかの分野では過去2年間で100%以上の成長を遂げ、特にSoCの開発では200%の成長を遂げました。SoCの研究開発を3倍にしたのです」とUitto氏。
Lundmark氏はUitto氏を1月1日付で組織再編後のモバイルネットワーク事業部のトップに昇格させ、事実上、RAN製品事業にネットワークのプランニング、展開、テクニカルサポートといった関連サービスを統合した。
「以前、ノキアではこうした事業を別々に行っていましたが、これらを組み合わせたことによって価値を生み出すことができるようになりました。サービスの設計、拠点全体のコストの最適化、展開のしやすさなど、より自然な形で実現できるようになったのです」とUitto氏は説明する。「現在はこれを同一の分野として運営しています」
https://www.sdxcentral.com/articles/news/nokias-ran-boss-reflects-on-early-5g-misfires/2021/05/
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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