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O-RAN Alliance、ノキアの要求を受け入れ

O-RAN Alliance、ノキアの要求を受け入れ

それほど時間はかからなかった。業界団体「O-RAN Alliance」とノキアが再びベストフレンドに戻ったようだ。

ノキアは中国の複数のメンバー企業が米国政府のブラックリストに載っていることを懸念し、O-RAN Allianceでの活動を突然休止した。O-RAN Alliance側は曖昧な形でではあるが、これを受け入れている。

「理事会はO-RAN Alliance参加に関する文書と手続きの変更を承認しました。今回の変更をどう評価するかは各メンバー企業しだいですが、O-RAN Allianceとしては今回の変更で懸念を解消し、私たちのミッションを促進できると楽観視しています」。同団体は用意したステートメントで述べている。

ノキアが喜んで同団体に復帰するのに必要なのはこれだけだったようだ。

 

不明瞭な変更で成果は持続するのか

どのような変更があったのかを説明することなく、ノキアはO-RANアライアンスに復帰し、活動を再開している。「私たちは、O-RAN Allianceが参加に関する文書と手続きの変更を行ったことを発表し、米国の法律に準拠しつつ技術活動を継続できることを保証したという心強いニュースを歓迎します」。ノキアのモバイルネットワーク部門プレジデント、Tommi Uitto氏はブログ記事に書いている。

ノキアが懸念したと思われる、米国政府がブラックリストに載せた3社のうち2社は、O-RANアライアンスのWebサイトにまだメンバー企業として掲載されている。Kindroid社はメンバー企業リストから消えているが、Phytiums社とInspur社は今もリストに残っている。

O-RAN Allianceはノキアの抗議を受けて行った参加手続きの変更に関する質問に対し、すぐに回答することはせず、米国のエンティティリストに載っているそのほかの企業がメンバー企業として参加ないし残留することを認める意思も明らかにしなかった。

この問題によって浮き彫りになったのは、米国や多くの欧米諸国で中国ベンダーに課されている様々な規制を利用しながらも、国際標準化団体やO-RAN Allianceのような技術仕様団体でその同じ企業各社と協力していくという、ベンダーや通信事業者各社が直面している難しさだ。

また、ブラックリスト企業を指定する公式文書である米国エンティティリストには、定期的に企業が追加され、あるいは削除されているため、問題はさらに複雑になっている。

懸念を表明したのはノキアだけではないが、O-RAN Allianceの中でこうしたパワープレーを選択したのはノキアだけであり、このこともまた世界のテクノロジー業界に影響を与えているこの根本的な課題を浮き彫りにした形となった。9月上旬にはエリクソンとサムスンがノキアの立場を支持し、現在の状況が同団体での進展を妨げる可能性があるとの懸念を表明したが、状況は早期に解決するだろうという期待も述べている。

その結果は速やかに得られたが、この対立が永続的な解決をみたという気配は感じられない。実際、この問題は今やオープンRANコミュニティ全体の中心的な問題となっており、深刻化する可能性が高い。

 

ノキア、技術的貢献を再開

ノキアからすれば、少なくとも現在のところ、この問題は解決済みだということになった。O-RAN Allianceの対応はノキアの懸念を払拭するのに十分だったと言える。

「重要な法的問題は解決されました」とUitto氏。「ノキアはオープンRANに全力で取り組んでおり、オープンRANの可能性を信じています」とも付け加えている。

氏によると、ノキアの同団体に対する技術的貢献は14日をもって再開されたという。また、ノキアは同団体に参加した最初の主要ベンダーであり、わずかに通信事業者5社だけが参加していた頃に業界団体としての結成を支持、支援した最初の大手サプライヤーであるとも付け加えた。「今日では、同団体に参加している通信サービス事業者29社のうち、26社がノキアのお客様です」と氏。

また、Uitto氏はノキアがO-RAN Allianceのワーキンググループやフォーカスグループのほとんど全てに関わっていることを強調し、今も「アライアンスの技術的作業に最も貢献している企業」であると語った。

「O-RAN仕様はまだ発展途上であり、克服すべき技術的課題があり当然ながらエコシステムが成熟するまでには時間がかかります」と氏。「O-RAN Allianceが最近の問題を迅速に解決できたことは、設立時からのコミュニティ精神、協力精神を物語っています」

ノキアに同団体の運営手順や会員規約の変更についての詳細を尋ねたところ、即座の回答は得られなかった。

ところで、突然の活動休止とこれにまつわる騒ぎは1つの大きな疑問を残している。なぜノキアとO-RAN Allianceは、舞台裏で解決することができなかったのか? O-RAN Allianceはノキアにやれるものならやってみろと挑んで問題を無いものとすることができると思ったのだろうか。冷静な方が勝つということわざのとおりにはならなかった。この騒動の臭いはまだ残っている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/o-ran-alliance-acquiesces-to-nokias-demands/2021/09/

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