ネットワーク刷新の主な目的はプライベート5Gとサイバーセキュリティ=NTT調査結果
グローバルITソリューション大手NTT Limitedがプライベート5Gの拡大について検証した。最近ではラスベガス市との契約やVMwareとの提携を結んだばかりだ。
同社が先月発表した「2022 Global Network Report」では企業のネットワーク担当者1,300人を対象に調査を行い、ネットワークのモダナイゼーションが進む際の主な要因4つを明らかにした。サイバーセキュリティの強化やプライベート5Gの導入がトップ、ハイブリッドな職場環境への対応やクラウドネイティブプラットフォームの構築が僅差で続いた。
回答企業のうち現在のネットワーク機能に非常に満足していると答えたのは5社中2社にとどまり、企業幹部の70%がネットワークの成熟度が原因で事業や成長に負の影響が生じていると報告している。
それに伴い、ネットワーク管理を外部委託する動きも明らかに見て取れた。業績上位の企業の72%が自社のインフラの半分以上をアウトソーシングしており、企業幹部の94%がMSP(マネージドサービスプロバイダー)または専門プロバイダー1社との提携を検討しているとした。
「法人需要が発展し、技術革新のスピードが上がり、デジタル最適化技術も進展しています。アウトソーシングはさまざまなレベルに広がり、増加していく見込みですが、それにはこうした状況が大きく関連しています」。バイスプレジデントのアルフォンソ・ディガブリエレ(Alfonso DiGabriele)氏が米SDxCentralの取材に対して語った。
セキュリティとプライベート5Gが変化を促進
調査では企業によるネットワーク改修を推進しているのは主にサイバーセキュリティとプライベート5Gだということがわかった。
ディガブリエレ氏によると、ハイブリッドな働き方が新しく登場したことでサイバーセキュリティへの注目が高まったという。調査回答者の93%が新たな脅威によってセキュリティ要求事項が増加、アクセス制御検査のレベルを高める必要があると考えているとした。
企業が「従業員にエクスペリエンスを提供し、あらゆる場所、あらゆるデバイスから人やアプリケーションにアクセスし、協力作業ができるよう保証する」ことに焦点を移しているため、プラットフォームレベル、アプリケーションレベル、ユーザーレベルの全体をカバーするセキュリティへの需要が大きく高まっているという。
調査報告ではもう1つ明確なしるしが見て取れる。回答者の86%がプライベート5GはLANの延長として管理されるものと考えているという。
「(プライベート5Gによって)オフィスビルのような『じゅうたん敷きの』エリアと同じ機能、同じビジネス上の利点を『じゅうたんの無い』環境にも提供することが可能になります」。ディガブリエレ氏は説明している。「(プライベート5 Gは)特定の業種によく適したものでもあります。たとえば、製造施設、空港、物流企業で企業のオフィス環境にあるようなユビキタスなワイヤレス体験を提供しています――データやアプリケーションへのアクセス、協力作業を可能にしています」
モダナイゼーションへの動き
調査回答者の95%以上がネットワークは事業の成長に不可欠であるとした一方で、CEOの70%は現在のネットワークが原因で成長が鈍化していると答えている。ディガブリエレ氏の考えでは、企業は投資の優先順位を変えてこうした不備への対処を始めるべきだという。
「成功するためには、まず技術・ネットワーク戦略を事業目標に直接合わせたものにする必要があります。この連携がなければ、技術やネットワークへの投資は(全体最適ではなく)部分最適なものになってしまうでしょう」。業績上位の企業の89%が事業目標に沿った技術戦略を持っていると補足した。
「2点目として、企業が遅れをとらないようにするためには技術とネットワークプラットフォームへの投資には本気で取り組まなくてはなりません」と氏。「じっさい、業績上位の企業の89%以上がデジタル変革への投資を加速させていると回答されたのに対し、下位企業では半数未満となっています」
調査では上位企業の76%がネットワーク管理をMSPにアウトソーシングしているか、2年以内に全面的にアウトソーシングする予定であることが分かっている。ディガブリエレ氏の考えでは、企業の成功いかんに関わるもう1つの大きな要素は現在のネットワークの状態や機能を現実的に把握し、何を改善できるかを確認することだとした。
「投資先を決定する際には、専門家を頼ることが可能であり、それによって企業としてコアコンピタンスに集中できることは認識していた方がよいでしょう」
通信技術やサービス、ローカルキャリア、ブロードバンドアクセス、およびダイバーシティ&インクルージョンを担当。 コロラド大学デンバー校で音楽ビジネスを専攻し、副専攻は映画脚本。ダイバーシティとインクルージョン、ニュース、芸術関連の報道、グラントライター、脚本家、アーティスト・コレクティブ・ジャーナリズム、イベント・キュレーティングなどの経歴を持つ。
連絡先:clift@sdxcentral.com
通信技術やサービス、ローカルキャリア、ブロードバンドアクセス、およびダイバーシティ&インクルージョンを担当。 コロラド大学デンバー校で音楽ビジネスを専攻し、副専攻は映画脚本。ダイバーシティとインクルージョン、ニュース、芸術関連の報道、グラントライター、脚本家、アーティスト・コレクティブ・ジャーナリズム、イベント・キュレーティングなどの経歴を持つ。
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