ネットワーク
文:Matt Kapko

楽天モバイルの課題、米Dish Network社にとっては問題の予兆

楽天モバイルの課題、米Dish Network社にとっては問題の予兆

米国で衛生放送サービスを提供し、新興の通信事業者でもあるDish Network社は、熱心なファンよりも冷笑的な批評家たちに刺激を与え続けている。米調査会社MoffettNathansonによると、グリーンフィールドのオペレータである同社が13年間かけて全米規模の無線ネットワークを構築する歩みは大きな課題に直面しており、もし日本における楽天モバイルのこれまでの経験が予兆となるとすれば、この取り組みは現実を知って愕然とする結果になるかもしれないという。

日本の楽天モバイルと米国のDish Network社はモバイルネットワークのアーキテクチャについて共通のビジョンを持っており、クラウドネイティブかつオープンな完全仮想化RANに賭けている。これはまだ初期段階にある一般的でないフレームワークであり、大規模なスケールではなおさらそうだ。しかしオープンRANは従来の3大RANサプライヤーが持つ業界での支配力を弱める力を持っており、ますます多くのグローバルオペレータがオープンRANに重きを置き、資金を投じている。

楽天モバイルには大規模なオープンRAN商用ネットワークを展開した初のオペレータであるという栄誉があるが、その達成は簡単にはいかなかった。MoffettNathanson社のアナリストはレポートの中で、楽天モバイルは積極的な展開を行いネットワークの負荷は比較的低いにもかかわらず、「ネットワークパフォーマンスは悪化してきている」と書いている。加入者数の伸びは「期待外れ」であり、損失は累積しているとも付け加えている。

 

Dish社はネットワーク設備投資を100億ドルと予測、アナリストらは疑問視

無線関連の資産に対し2008年からの累積で少なくとも260億ドル(約2兆7000億円)を投資・調達してきたDish Network社の幹部は、一貫して全米規模の5Gネットワークを100億ドル(約1兆500億円)で構築できると述べているが、多くの業界アナリストは今も懐疑的だ。

楽天モバイルが発表した全国ネットワーク構築の費用は77億ドル(約8000億円)だが、これは人口にして米国の38%、国土に至ってはわずか4%の国での数字だとMoffettNathanson社は指摘する。同社がDish社に対して悲観的な見通しを持っているのは、Dish社がまだ克服できていない多くの課題を抱えていることによる。

Dish社の周波数帯保有状況は米国の既存オペレータの間では羨望の的ではあるが、最近クローズしたCバンドの周波数オークション(3.7 GHz~3.98 GHz)でさらなる周波数帯を獲得していないとしたら、オークション以前に保有していた約100 MHzのミッドバンド周波数帯のライセンスだけでは「十分に競争力のある5Gネットワーク体験を提供するには十分ではない」だろう、とMoffettNathanson社のアナリストらはまとめている。

T-Mobile US社はオークション前の段階で2.5 GHz帯のうち175 MHzを保有しており、アナリストらの予測ではVerizon社は今回のオークション終了時点で少なくともCバンド帯の150 MHzを保有するという。

同調査会社はまた、数週間後に発表されるライセンス割り当て結果を見れば明らかになることだが、「Dish社のネットワーク全体に対して同社が費やさなければならないと多くの人が予想した金額をオークションで費やさなければならなかったかどうか」を気にかけている。

 

FCC、Dish社に楽天モバイルの現行ネットワークを上回る性能を要求

周波数帯以外では、Dish社が何を構築し、最終的にいくらかかるのかについて「最も類似しているもの」は楽天モバイルだとMoffettNathanson社は言う。

同社は楽天モバイルについて、新規顧客に最初の1年間は無料でサービスを提供すると決定したにもかかわらず、契約者数の伸びは期待外れだったと指摘する。「さらに不吉なことに、楽天モバイルのネットワークパフォーマンスは(2020年4月から)悪化し続けています。同社はネットワークの展開を積極的に進めており、ユーザー数の伸びが想定よりもゆっくりだったことでネットワーク負荷は予定より低いにも関わらずです」と同社は書いている。

同社は2020年9月にモバイル分析の英Opensignal社が収集したデータを引用し、日本の既存キャリア3社の平均ダウンロード速度が46.9 Mb/秒であったのに対し、楽天モバイルのネットワークでは平均ダウンロード速度は21.6Mb/秒だったと述べている。楽天モバイルの顧客の一部は今もなお既存キャリアのネットワークを利用したモバイル仮想ネットワークを介してローミングを行っているが、「楽天モバイルのオンネット通信の速度でさえ、5月に比べて9月は遅くなっています」とMoffettNathanson社は書いている。

米連邦通信委員会 (FCC) がDish社に課したネットワーク構築要件では、2023年6月までに米国人口の70%をカバーし、最低35 Mb/秒のダウンロード速度を提供するよう定めている。

「私たちの目的は、Dish Network社は競争力のあるネットワークを構築できないとほのめかすことではありません」「成功への道のりは険しいということです」とMoffettNathanson社のアナリストらは書いている。

「楽天モバイルがこれまでに実証してきたのは、コスト面でのメリットが約束された新しい技術でゼロからネットワークを構築することには、デメリットもあるということです」と同社は締めくくっている。

Rakuten Challenges Portend Trouble for Dish Network

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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