サムスンのケーブル搭載型5Gスモールセル、米事業者向けに一般提供開始
サムスンが革新的な「ストランド(ケーブル搭載型)スモールセル(Strand Small Cell)」の一般提供を開始した。ターゲットとするのは、すでに所有しているインフラと周波数を利用した、5Gセルラーサービスの提供拡大に関心のある米国のケーブル通信プロバイダーだ。
このオールインワンプラットフォームは昨年、米コムキャスト(Comcast)との提携と同時に発表された。同社はVerizon社とMVNO(仮想移動体通信事業者)契約を結んで提供しているセルラーサービスを補完する計画を進めており、同製品はその中核を担う。今回、関心を持つすべての事業者が利用できるようになった。
同デバイスは、既存の空中ケーブルに取り付けるように設計されている。ケーブルは必要な電力とバックホール機能を提供し、デバイスは5Gベースのワイヤレス信号を発信する。
サムスン電子アメリカ(Samsung Electronics America)の米国ケーブル事業者ネットワークビジネス担当シニアディレクターであるRick Svensson(リック・スヴェンソン)氏はブログ投稿で、このスモールセルは最大で合計80MHz幅のCBRS(市民ブロードバンド無線サービス)をサポートできると説明した。
「これは本質的に、完全に統合されたDOCSISケーブルモデムを備えたスタンドアロンの本格的な5Gセルサイトの小型版です」と氏は書いている。
DOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specification)とは、既存のケーブル・インフラを利用した高速データ伝送のためにケーブル業界で使用されている国際規格である。コムキャストは、2年前から最新のDOCSIS 4.0仕様の導入を推進し始め、各拠点への双方向10Gbpsの速度をサポートし、先週商用導入の開始と発表した。
サムスンの5Gケーブル分野での商機
商用提供の開始は「複数の顧客による広範なラボテストとフィールドテスト」に続いて行われた。スモールセルは現在、一部の市場でコムキャストの商用5Gサービスを支えていると氏は付け加えた。
先月、コムキャストは保有する広範なCBRS周波数帯を使ったセルラーテストの成功を発表し、同社の取り組みは加速した。これを受けて、同社は保有するローバンド(600MHz帯)の周波数帯の大半を米通信大手Tモバイル(T-Mobile)に売却する契約を結んでいる。
他のケーブル会社もCBRSを利用したセルラー分野への参入を拡大している。これには米コックス・コミュニケーションズ(Cox Communications)とチャーター・コミュニケーションズ(Charter Communications Inc)が含まれ、両社は Verizon社と同様のMVNO関係を結んでおり、自社の5Gネットワーク・インフラの拡大も狙っている。
調査会社SNS Telecom&ITは最近、4G LTEと5GベースのCBRS無線アクセスネットワーク(RAN)機器への投資が今年9億ドルに達すると予測した。この投資は今後3年間、年平均成長率20%で増加し、2026年までに売上高が15億ドルに達すると予想されている。
「この成長の多くは、プライベートセルラーネットワーク、ニュートラルホスト、および固定無線ブロードバンドネットワークの展開と、ケーブル事業者のMVNOサービスの収益性を改善することを目的とした5Gの構築によって牽引されるだろう」と同アナリスト会社は指摘している。
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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