KDDI、サムスンがSLA保証型ネットワークスライシングのフィールド実証に成功
KDDIとサムスンがRIC(RANインテリジェントコントローラー)開発で大きなマイルストーンを達成した。RICを活用したSLA保証型ネットワークスライシングの商用基地局でのフィールド実証に成功したという。KDDIはこれを基に法人顧客向け商用5Gネットワークスライシングの提供を開始する。
本実証では東京で稼働中の商用5G SAを利用したネットワークスライスを複数生成。検証に使用した複数のアプリケーションに対し、SLAで定めた低遅延、スループットの基準をいずれも満たすことに成功したという。
RICはサムスンが提供、端末ごとに生成した複数のネットワークスライスでもSLA要件を満たしている。RICはオープンRANの中央部分にあり、広範なネットワークへの一種のリンクとして働く。これによって――ネットワークスライシングもそうだが――準リアルタイムあるいは非リアルタイムで動作するマイクロサービスベースのアプリケーション(xApps/rApps)を展開することが可能になり、RAN機能の設計・制御を行い、RANを管理する上では一般に基地局に実装されているプロプライエタリな機能に対して「主権」を握ることもできる。
KDDIはこれを法人向けサービスに活かしたいとしている。
「ネットワークスライシングは高い性能や低遅延を要求するさまざまなサービスを実施するのに役立ちます。個人のお客様にも法人のお客様にもメリットとなるでしょう」。KDDI執行役員常務兼モバイル技術本部長の要海敏和氏がコメントしている。
今回の取り組み以前にも、サムスンがKDDIの5Gネットワーク展開の中核を担うなど、両社の機器契約は長年にわたって続いている。最近ではKDDIがオープンRAN仕様に準拠した5G SA基地局の商用利用を開始した際にもサムスンが一角を担い、vRAN(RAN仮想化)技術の展開計画にも参加している。
ネットワークスライシングにおけるSLA保証のメリット
アナリスト企業各社は何年も前からネットワークスライシングを商用化すれば財務面でメリットになるとアピールしてきたが、なかでも強調していたのが業種を選ばない点だ。
米ABIリサーチ(ABI Research)は2018年後半、5Gネットワークスライシングによって「2026年までに製造、物流、輸送などの業種で660億ドル(約8兆5,710億円)が生み出される」と予測した。最近では「5Gスライス・アズ・ア・サービスをはじめ、収益化に不可欠な『付加価値サービス』」に通信事業者は「注意を払う」必要があると述べている。
ネットワークスライシングのテスト事例はここ12か月のあいだ増え続けており、ノキアやエリクソンなどの大手ベンダーがさまざまな成功例をアピールしている。
訳注:文中の各氏によるコメント内容は英文ソースからの翻訳です。
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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