ノキア、サプライチェーンの逼迫で成長に抑制
ノキアの2021年第2四半期の決算報告では、CEOのPekka Lundmark氏が少なくとも2021年まではサプライチェーンの逼迫によって成長が抑制されるだろうと語った。
「部品市場は逼迫しています」と氏は言う。「毎日シェアを奪い合わなければならない状況が続いています。私たちは毎日多くのサプライヤーと連絡を取っています」
ノキアはこうしたサプライチェーンの制約をおおむね乗り切ってきたが、「興味深いことに、もっと多くの部品が手に入れば、もっと速く成長できそうです」とLundmark氏は言う。
こうした課題があるにもかかわらず、ノキアは最近、2021年の売上高の見通しについて、最高で259億ドル(約2兆8,640億円)としていたものを新たに最高で270億ドル(約2兆9,850億円)近くになると上方修正した。Lundmark氏によると、世界的な供給不足がなければこの数字はもっと高くなるという。
Lundmark氏が就任後すぐに策定した3カ年の再建計画を実行するなかで、ノキアはこのところ立ち直りの兆しを見せている。とはいえ、その過程ではいくらかの障害があることを同社は予想している。
ノキア、第2四半期のRAN装置出荷台数の54%に新SoCを搭載
「事業のすべての領域、戦略のすべての要素で進展が見られます」と氏は言う。「今回の結果は単発的な成果がいくつかあったことによるもので、今後も多くの課題を抱えていることを心に留めておくことが大事です。私たちはまだ戦略実行の最初の段階にしか来ていません」
第2四半期、ノキアは63億1,000万ドル(約6,980億円)の売上に対して4億1,700万ドル(約460億円)の純利益を計上し、売上は前年同期比4%増、利益は前年同期比255%増となった。
この利益のかなりの部分は、5G製品の第1弾で犯したチップに関する失敗を克服しようと数年かけて取り組んできた努力によるものだ。ノキアは昨年、より価格競争力が高く機能豊富なSoC(システムオンチップ)を搭載した5G RAN装置の出荷を開始した。第2四半期はこうした機器が全出荷台数の54%を占めた。年内に70%という目標を達成できるペースだという。
米国市場では明るい見通し
また、Lundmark氏はT-Mobile US社およびAT&T社と5Gの5カ年契約を結んだばかりであることを挙げ、米国市場での見通しについて楽観的な見方を示した。また、ベライゾンについても多くのセグメントにおける「超大手の重要顧客」だとしているが、ベライゾンが5G RAN契約の大半をサムスンとエリクソンに与えたことで被った数十億ドルの損失を相殺できたわけではない。
ベライゾンはノキアをお払い箱にした後、サムスンと64億4,000万ドル(約7,120億円)で2025年までの契約を結んだ。その先も延長となる可能性が高い。
「このことについて昨年10月に交渉を始めて以降、言わば新たな逆風がありえたかもしれませんが、それは起こっていません」とLundmark氏は言う。
モバイルネットワーク部門が競合他社に追いつく
ノキア最大の事業部門であるモバイルネットワーク部門の第2四半期の売上高は約28億3,000万ドル(約3,130億円)で、前年同期比で1.8%の減少となった。同部門はこれまでに、170件の5G商用契約を締結しており、稼働中の5Gネットワークは67個ある。
Lundmark氏は「年末までには競合他社にほぼ追いつくことができるでしょう」と述べ、最近発表したMassive MIMO5G無線機など、いくつかの分野ではリードできるとした。
ネットワークインフラ部門の売上高は前年同期比15%増の21億ドル(約2,320億円)だった。同部門のうち、固定ネットワーク関連の売上高は第1四半期の成長率28%から第2四半期は成長率49%へと急増し、IPネットワーク関連の売上成長率も8%から22%に改善した。一方、海底ケーブルネットワーク関連の売上成長率は第1四半期から第2四半期にかけて72%から57%に、光ネットワークでは13%から7%にそれぞれ低下した。
クラウド&ネットワークサービス部門の売上高は前年同期比2%減の8億3,500万ドル(約920億円)だった。同部門では現在、5Gコアネットワーク関連の顧客を150社以上、プライベートワイヤレス関連の案件を340件以上抱えており、後者は年初から36%の増加だ。
第2四半期、ノキアは63社のエンタープライズ顧客を新たに獲得したが、エンタープライズ関連の売上は前年同期比で2%減少している。
同四半期の売上高の80%は通信サービス事業者によるもので、エンタープライズ顧客によるものが7%、ライセンシーが8%だった。Nokia Technologies社の売上高は前年同期比約16%増の4億7700万ドル(約530億円)だった。
同四半期の売上高の構成比は、欧州および北米がそれぞれ31%、アジア太平洋地域が11%、中東が8%、中華圏が7%、中南米およびインドがそれぞれ6%と続く。
第2四半期の研究開発費は対前年比5%増の約12億6000万ドル(約1,400億円)となっている。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/supply-chain-squeeze-depresses-nokias-growth/2021/07/
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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