Verizon社、移動式5G NaaSを発表

Verizon社は自ら選んだ環境で運用したい企業顧客向けに、5Gやエッジのユースケースに対応することができる移動式のNetwork-as-a-Service(NaaS)パッケージを発表した。
同社のシステムアーキテクチャ担当ディスティングイッシュト・エンジニアであるCarlo Thompson氏はSDxCentralの取材に対し、全長約3メートルのトレーラー型ネットワークサービス「Mobile OnSite NaaS」にはVerizon社の技術が詰め込まれていると語り「我々が最も感心しているのはその点です」と付け加えた。
この車両には、エッジアプリケーションやサービスに物理的に近い場所で運用し、Verizon社の商用5Gネットワークに接続することができる5GC(SA)機能、Verizon社の4G LTEネットワーク対応機器、エッジアプリケーションの運用を支えるプライベートモバイルエッジコンピュート(MEC)ボックス、有線やセルラー接続が利用できない場合のバックホールのための衛星接続、内部および外部のトラフィックを管理できるSD-WAN機能が搭載されている。
Thompson氏によると、SD-WAN機能は特に重要だという。「さまざまなバックホールの選択肢にSLA(サービス品質保証)を設定し、どのバックホールのレスポンスが最も良いかに基づき、あるいは顧客の要求に基づいて、そのユースケースに使用するバックホールを選択できるようになったからです」。同SD-WAN サービスは、Mobile OnSite NaaSを通過するトラフィックのセキュリティを支えるのにも役立っている。
同機器はVerizon社が以前から取引しているベンダーのものである。
Mobile OnSite NaaSからのセルラー接続は、まずはCBRS(Citizen Broadband Radio Service:市民ブロードバンド無線サービス)の周波数帯を利用して実行される。これが最も柔軟性を持っていると氏は述べた。この帯域はVerizon社の公共5Gネットワークに使用されていないため、「公共ネットワークとの干渉を心配することなく、導入することができます」と氏は説明、同社では認可された周波数帯域資産を追加する方法を検討していると付け加えた。
Thompson氏は、MobileOnSite NaaSのコンセプトは、Verizon社の「Tactical Humanitarian Operations Response」(戦術的人道主義活動対応、THOR)車両をベースにしていると説明した。エッジ・ロケーションや、氏が「テクノロジー・ギャップ」と表現するような場所にでも、ネットワーク接続を提供することなどがある。
「テクノロジー・ギャップとは、何かが存在しないことです」と氏は言う。「カバレッジはあるが、MECが遠すぎる。MECはあっても、そのエリアの容量の関係で十分な周波数帯域がない。サービス品質に影響を及ぼす可能性がある要素はさまざまありますが、エッジを近づけ、アプリケーションをエッジのすぐそばに置くことでこれを解決します。特定のエリアにおける遅延は低くなり、とユースケースの品質が大幅に向上します」
ロッキード・マーティン社による試験運用
Mobile OnSite NaaS独自のモビリティにより、さまざまなユースケースのシナリオと組み合わせることができる。 これには、コンサートやイベント会場の監視カメラに電力を供給するために使われる公共安全も含まれるが、トンプソン氏は、「大半は、特定のサービスや、さまざまな場所でそのユースケースに対応したサービス品質の保証を求める(BtoB)タイプのシナリオになるでしょう」と付け加えた。
Mobile OnSite NaaSは、コロラド州にあるロッキード・マーティン社の施設で試験運用され、データおよびビデオ・テスト・プラットフォームとして使用されている。この使用例では、ネットワーク運用の主要なパフォーマンス指標を表示することができる。
この移動式NaaSは、ベライゾン社のイノベーション・ラボのモバイル版としても利用できると氏は指摘する。ベライゾンのイノベーション・ラボは、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコの3カ所に常設されており、顧客に新サービスの開発とテストのための統合ラボ環境を提供している。
これらの常設ラボは、5GC(NSA)およびIMS(IPマルチメディアサブシステム)コアを利用可能で、複数のRFシールドルーム、開発者向けの完全なプライベート5G MECポートフォリオも備えており、Mobile OnSite NaaSを上回る機能を備えている。
Verizon社は、企業や組織が新しいモバイル・プラットフォームへのアクセスを調達する方法について、まだ公には明らかにしていないが、公開ウェブサイトを使用するイノベーション・ラボをモデルにする可能性がある、と氏は付け加えた。
「私たちはお客様が何を求めているのかを理解しようと努めています」と氏。「お客様のことを知っていくと、ラボ・アズ・ア・サービスや固定ロケーションの方が適している場合もあれば、オフィスでのネットワークが必要になる場合もあります。(当社では、)顧客のニーズに最も適したものを提案し、最適なサービスを提供することができます」

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

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