NFV
文:Dan Meyer

Verizon社、仮想化への取り組みでCOVID-19の混乱に打ち勝つ

Verizon社、仮想化への取り組みでCOVID-19の混乱に打ち勝つ

Verizon社は、COVID-19ウイルス流行によって起きたトラフィックパターンの変化に対処するため仮想化に取り組み、ネットワーク運用の在り方を迅速に変更することに成功した。仮想化の道を選んだことは今では報われつつあるが、紆余曲折がなかったわけではない。

Verizon社のテクノロジーおよびサプライヤー戦略VPのSrini Kalapala氏は、4月の最終週のイベント「Red Hat Summit 2020 Virtual Experience」の中で、Red Hat社CEOのPaul Cormier氏に次のように語った。「Verizonでは数年にわたる仮想化の取り組みによって、増えた在宅勤務者を支えるなど、顧客の新しい要求に迅速に対応することができました」

「こうした顧客は常に在宅で仕事をしているため、それを支えるアプリケーションの容量を増やす必要がありました」とKalapala氏は言う。「もし仮想化を行っていなかったら、新しい容量を追加するのに数週間から数ヶ月かかっていたでしょう。今では、数時間のうちに容量を増やし、必要とされるクリティカルなサービスを提供できるようになりました。私たちが乗っている船は確かに役に立っています」

また、ネットワーク容量の面に関して、ニューノーマル(New Noraml)に適応する必要があるという、同じ必要性を指摘する人は他にもいる。

Cisco社の大規模インフラストラクチャグループのSVP兼GMであるJonathan Davidson氏は、4月最終週のオンラインパネルディスカッションの中で次のように述べている。「インターネットは巨大なものから極めて膨大なものへと変化しています。インターネットは経済、ビジネス、行政にとって重要なものから不可欠なものへと変化しており、私たち全員のつながりを維持しています。COVID-19の結果、多くの仕事や学習が在宅で行われており、私たちは今日のインターネットの未来を垣間見ることができました」

Kalapala氏はそのコントロールの水準について、手の届かない目標として通信事業者が切望し続けている、Webスケール企業のそれと関連づけて話した。

「仮想化によって可能になったのは…(中略)…Webスケール企業が自社の技術を紹介してきたやり方を、規模を拡大して行うことです」とKalapala氏は言う。「この技術の許す限り柔軟な対応ができるようになったので、新しいサービスや新しい機能をより早く、顧客中心のモデルで提供できるようになりました」

Kalapala氏は、5Gネットワークをこのようにきめ細かく制御することで、氏が言うところの「第4次産業革命を牽引する可能性を秘めている」ネットワークスライシングなどの機能も可能になるとしている。

「私たちは確かに 5G を推進していますが、5Gをうまく使うだけの柔軟性を実際に私たち皆に提供してくれるのは、今私たちが5Gネットワークを展開しているやり方なのです」

 

Verizon社「仮想化までの道のりにおける紆余曲折」

Kalapala氏は、今日では広範なレベルでの制御が可能になっているものの、Verizon社の仮想化の未来に向けた5年間の道のりには問題がなかったわけではないとしている。そうした「紆余曲折」には、ハードウェアとソフトウェアを分離するという考えに全員が慣れることと、その2つが独立して動作するようにさせることなどがあったとKalapala氏は言う。

「これは当社とサプライヤーにとって全く新しい領域であり、仮想インフラストラクチャを介して多くのネットワークトラフィックを駆動しているところまでたどり着くのには、私たちは自社で問題を解決しなければなりませんでした」とKalapala氏は言う。

これについては、日本の楽天モバイルも同じような感想を持っている。楽天モバイルは最近、完全仮想化4G LTEサービスを開始し、今後数か月で5Gに移行する予定だ。

「私たちの夢は、多くの既存の通信事業者にこのように伝えることです。『さあ、私たちの2年間の道のりを見てください。シンプルなものではありませんでした。組織を構築するのは簡単ではありませんでした。適切なスキルセットを獲得するのは簡単ではありませんでした。あなた方は同じ過ちを繰り返さないほうがよいでしょう』」と、楽天モバイルCTOのTareq Amin氏は最近SDxCentralに語っている。

キャリアがこうした問題を乗り越えるためには、「5G向けのwebスケールに寄った」エコシステムが必要だとKalapala氏は言う。これは、組織間でより一貫した、より簡単に管理でき、「我々の環境全体の中にある摩擦を取り除くことができる」インフラストラクチャを持つという意味だ、と氏は説明する。

「私たちは、webスケールやその他の人たちが(Red Hat社や)一般的なオープンソースコミュニティから得ているものと何か違ったものを通信会社用に求めているわけではありません。必要としているものは同じだと考えています」とKalapala氏は言う。

「ですが、パフォーマンスや信頼性、その他の面に関して、我々の要求は他の人々よりもはるかに高いと言えます。そこで私たちは製品の強化を模索し、そうしたニーズをいくらか満たすためにコミュニティを牽引しています」

楽天モバイルのAmin氏によれば、同社は「6種類のコモディティハードウェアタイプのみでインフラ全体を運用している」という。ハードウェアアーキテクチャはほんの一握りだ。このようにして、氏はすべてのベンダーに、これら6種のハードウェアタイプのいずれかでそのベンダーのアプリケーションが実行できないのであれば、「楽天モバイルの冒険の一翼を担うのにふさわしいソフトウェアアーキテクチャを持っているとは言えない」と伝えている。

仮想化への道のりはある程度の成功を収めたとはいえ、まだ続くことに変わりはない。Kalapala氏は、通信事業者とそのベンダーパートナーが目的地に到達するためには、進路を維持する必要があると話している。

「全員がそのような(…中略…)運用モデルに移行することができれば、私たちは基盤となる機能をより早く提供できようになると思います。そうなれば、エコシステムの他の人々がこの流れに乗るのを推進し、もって彼らが必要とするどんなイノベーションでも実施することができるようなになるでしょう」と氏は補足している。

Verizon Virtualization Efforts Vanquished COVID-19 Chaos

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.

記事一覧へ